北杜市立甲陵高等学校は、八ヶ岳の豊かな自然に抱かれた環境の中で、全国でもトップクラスの進学実績を誇る、非常にユニークな高校です。この学校の最大の魅力は、生徒一人ひとりの自主性を最大限に尊重する「自由な校風」と、その信頼に応えようと切磋琢磨する生徒たちが作り出す、質の高い学習環境にあります。
進学校と聞くと、厳しい校則や膨大な宿題をイメージするかもしれません。しかし、甲陵高等学校が目指すのは、ルールで縛るのではなく、生徒が自ら考え、判断し、行動する力を育むこと。この教育方針が、難関大学への高い合格実績という確かな成果に結びついています。甲陵高等学校は、まさに生徒の「大人」としての成長を信じ、その可能性を全力でサポートしてくれる場所なのです。
「自分自身の力で、高校生活をデザインしてみたい」「信頼される環境で、本気で大学進学を目指したい」。もしあなたがそう考えているなら、この先をぜひ読み進めてみてください。ここには、あなたの高校選びの価値観を大きく変えるヒントが詰まっているはずです。
北杜市立甲陵高等学校の基本情報
甲陵高等学校は、山梨県北杜市が運営する公立高校です。県立高校が多い中で、市が主体となって特色ある教育を展開している点は、この学校の大きな特徴の一つと言えるでしょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 北杜市立甲陵高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒408-0021 山梨県北杜市長坂町長坂上条2003 |
代表電話番号 | 0551-32-3050 |
公式サイトURL | https://koryo.main.jp/hs/ |
北杜市立甲陵高等学校の偏差値・難易度・併願校
甲陵高等学校の偏差値は、各種の模擬試験や塾のデータによると、おおむね63から67の間に位置づけられています。一般的には「65前後」と認識しておくと良いでしょう。この数値は、山梨県内の公立高校の中でトップグループに属することを意味しており、非常に高い学力が求められます。
この難易度をより具体的にイメージするために、他の高校と比較してみましょう。甲陵高等学校は、甲府南高校(理数科)や甲府第一高校(探究科)、甲府東高校(理数コース)といった、県内屈指の進学校と肩を並べるレベルにあります。甲府市周辺の進学校ではなく、八ヶ岳南麓の落ち着いた環境でハイレベルな教育を受けたいと考える、意識の高い生徒が集まる学校と言えます。
合格に必要な内申点の目安としては、45点満点中「39〜40点」が一つの基準とされています。ただし、これはあくまで目安であり、当日の学力検査での得点が最も重要です。公立高校のため、山梨県内の他の公立高校との併願はできません。そのため、多くの受験生は、万が一の場合に備えて私立高校を併願します。主な併願校としては、同じく高い学力レベルが求められる「駿台甲府高等学校」や、「山梨学院高等学校」の特進コースなどが挙げられます。
北杜市立甲陵高等学校に設置されている学科・コース
甲陵高等学校に設置されているのは、以下のコースのみです。
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普通科特進コース(単位制)
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どんなことを学ぶ場所か:国公立大学や難関私立大学への進学に特化したカリキュラムで学びます。「単位制」という大学のようなシステムを取り入れており、自分の進路希望に合わせて科目を選択できる自由度が高いのが特徴です。
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どんな生徒におすすめか:明確に大学進学を目標とし、自らの興味や受験に必要な科目に合わせて主体的に学習計画を立てたい生徒に最適です。
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北杜市立甲陵高等学校の特色・校風
甲陵高等学校の文化をキーワードで表すなら、「自由闊達」「生徒主体」「自己管理能力」といった言葉がぴったりです。学校が生徒を信頼し、生徒がその信頼に応えるという、成熟した関係性が根付いています。
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宿題の量:一般的な「宿題」という形での課題は少ないと言われています。その代わり、毎週末に行われるテストに向けて、生徒が自主的に予習・復習を行う学習スタイルが定着しています。90分という長い授業の密度も濃く、日々の自己管理と計画的な学習が不可欠です。
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校則(スマホ、服装など):校則は「必要最小限」というのが基本方針で、県内でもトップクラスに自由度が高いことで知られています。「自分で判断する」という考え方が浸透しており、先生から細かく注意されることは少ないようです。
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スマホ:ルールを守れば校内での使用が認められています。
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服装:指定のブレザーはありますが、ブラウス(白色)やスカート(チェック柄)は色や細かなデザインを自分で選ぶことができます。常識の範囲内で、自分らしい着こなしを楽しんでいる生徒が多いようです。
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頭髪・メイク:派手な染髪やピアスは禁止されていますが、こちらも常識的な範囲であれば、メイクやヘアアクセサリーなども比較的自由なようです。
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生徒たちの雰囲気:生徒は真面目で落ち着いており、自分の目標に向かって努力する人が多い印象です。同時に、アニメやアイドルなど、様々な趣味を持つ生徒が互いを尊重し合う、多様性に富んだ雰囲気もあります。「いじめは皆無」という声が多く聞かれるのも、生徒一人ひとりが精神的に自立していることの表れでしょう。
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アルバイト:長期休暇中のアルバイトは許可されているようで、実際にしている生徒もいます。
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制服の評判:女子の制服はスカートやブラウスを自由に組み合わせられるため、自分好みのおしゃれを楽しめると評判が良いようです。
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土曜授業:毎週土曜日には授業がありますが、これは通常の授業ではありません。週末テストが実施され、約1ヶ月間の学習内容の定着度を確認する重要な機会となっています。このテストが学習のペースメーカーとなり、継続的な学習習慣を身につける助けになっています。
北杜市立甲陵高等学校の部活動・イベント
部活動
甲陵高等学校では、勉強が最優先とされつつも、部活動も生徒の自主性を重んじる形で活発に行われています。多くの生徒が学習の合間のリフレッシュとして部活動を楽しんでいますが、中には全国レベルで活躍する強豪部も存在します。
運動部、文化部ともに種類が豊富で、同好会も活発です。特に以下の部活動は、甲陵高校を代表する存在と言えるでしょう。
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フェンシング部:高校の部活動としては非常に珍しく、全国大会の常連としてその名を馳せています。高いレベルで競技に打ち込みたい生徒にとって、最高の環境が整っています。
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ユネスコ部:こちらも全国的な活動で知られる部活動です。ボランティア活動やディベート大会への参加など、社会問題に目を向け、国際的な視野を広げる貴重な経験ができます。
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箏曲部・かるた同好会:日本の伝統文化に触れることができる部活動も盛んです。特にこの2つは、全国大会に出場するほどの高い実力を持っています。
イベント
甲陵高校の学校行事は、「生徒主体」の校風を最も象徴するものです。生徒たちが自ら企画・運営することで、社会で必要とされる実践的なスキルを身につけていきます。
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紫蝶祭(しちょうさい):毎年6月下旬に行われる学園祭です。テーマ設定から各クラスの企画、ステージ発表のスケジュール管理まで、そのすべてを生徒会が中心となって行います。1年がかりで準備されるこの一大イベントは、地域にも開かれ、大変な盛り上がりを見せます。
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修学旅行:2年次に実施される修学旅行は、学校が一方的に行き先を決めるのではありません。アメリカやシンガポールといった海外から、沖縄や関西などの国内まで、複数のコースの中から生徒自身が希望する行き先を選択できます。少人数での行動となるため、より深く、思い出に残る体験ができると評判です。
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生徒会の日:年に3回、生徒会が企画する特別な日があります。球技大会を開くか、音楽会にするかなど、その日の内容をすべて生徒たちで決定し、運営まで行います。
北杜市立甲陵高等学校の進学実績
甲陵高等学校の最大の強みは、その卓越した大学進学実績にあります。自由な校風の中で育まれた生徒たちの高い学習意欲が、毎年素晴らしい結果を生み出しています。
最新の大学進学実績を見ると、そのレベルの高さがよく分かります。
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国公立大学:京都大学、東京科学大学(旧東京工業大学)、東北大学、名古屋大学、大阪大学といった最難関大学へ毎年合格者を輩出しています。特に、東京大学や京都大学の学校推薦型選抜・特色入試では、5年連続で合格者を出すなど、新しい入試制度にも非常に強いことが証明されています。また、地元の山梨大学(特に医学部)や、近隣の静岡大学などにも多数の合格者を出しています。2024年度入試では、国公立大学医学部医学科に6名が合格するなど、理系の最高峰への道も開かれています。
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難関私立大学:早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学を合わせた「早慶上理」に合計29名、GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)に合計30名、関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)に合計17名など、首都圏や関西の有名私立大学にも圧倒的な強さを見せています。
この輝かしい実績を支えているのが、甲陵高校独自の進学サポート体制です。
3年生の前期には教科書の内容を終え、早期から大学入試演習に取り組めるカリキュラムが組まれています。また、1クラス約30名という少人数教育を活かし、担任の先生が一人ひとりの学習状況や進路の悩みにきめ細かく対応する面談が頻繁に行われます。この手厚いサポート体制が、生徒一人ひとりの「行きたい大学」への合格を力強く後押ししています。
北杜市立甲陵高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、甲陵高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。
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全生徒が取り組む「課題研究」(スーパーサイエンスハイスクール指定)
文系・理系を問わず、全生徒が3年間かけて一つのテーマを深く探究する「課題研究」を行います。自ら課題を見つけ、仮説を立て、検証し、発表するという一連のプロセスは、大学での学問や社会での問題解決に直結する本質的な力を育てます。
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大学の講義を先取りする「90分授業」
1コマ90分という大学と同じスタイルの授業は、表面的な知識だけでなく、物事をじっくり深く考える思考力を養います。また、大学入試で求められる高い集中力も自然と身につきます。
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生徒の自主性を育む「自由な校風」と「最小限の校則」
服装や持ち物に関する校則が非常に少ないのは、学校が生徒を信頼している証です。この自由な環境が、他人に言われなくても自らを律する「自己管理能力」を育みます。
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生徒がゼロから作り上げる学校行事
学園祭「紫蝶祭」や選択制の修学旅行など、学校行事の多くが生徒の企画・運営に委ねられています。仲間と協力して一つのことを成し遂げる経験は、何物にも代えがたい財産になります。
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学習習慣を確立する「週末テスト」
一夜漬けの定期テストではなく、毎週土曜日に小範囲のテストを繰り返すことで、継続的に学習する習慣が身につきます。自分の苦手分野をこまめに把握し、克服していくことができます。
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全国レベルで活躍する個性的な部活動
全国大会常連のフェンシング部やユネスコ部、かるた同好会など、他の高校ではなかなか経験できないユニークでハイレベルな部活動に挑戦できます。
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一人ひとりに向き合う手厚い進路指導
約30名の少人数クラス編成により、先生の目が生徒一人ひとりに行き届きます。頻繁に行われる個人面談を通じて、学習面から精神面まで、きめ細やかなサポートが受けられます。
北杜市立甲陵高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生からは、甲陵高等学校の教育方針を高く評価する声が数多く寄せられています。一方で、その特殊な環境ゆえの注意点も指摘されています。
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良い点:
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「本気で勉強したい人には最高の環境。周りの意識が高いので、自然とやる気が出る」
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「先生方は、自分から質問に行けばどこまでも熱心に付き合ってくれる」
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「校則が自由なので、自分らしくのびのびと過ごせる。個性を尊重してくれる雰囲気が良い」
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「90分授業は最初は大変だったが、集中力がつき、大学の授業にもスムーズに対応できた」
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「いじめのようなものは全く聞いたことがない。みんな大人で、自分のやるべきことに集中している」
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「少人数なので、先生との距離が近く、相談しやすい」
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気になる点:
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「学校の周りには遊ぶ場所がほとんどない。勉強に集中するしかない環境」
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「自由な分、自分で自分を管理できないと落ちこぼれてしまう。厳しい校則で縛ってほしい人には向かない」
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「駅から学校まで坂道が続くので、夏や冬の通学は少し大変」
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「地方の小規模な学校なので、少し閉鎖的だと感じる人もいるかもしれない」
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アクセス・通学
甲陵高等学校への主なアクセス方法は以下の通りです。
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最寄り駅:JR中央本線「長坂駅」
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駅からのアクセス:長坂駅から学校までは、徒歩で約15分です。ただし、口コミにもあるように、駅から学校までは上り坂が続くため、体感的にはもう少し時間がかかるかもしれません。
通学エリアについては、学校が北杜市にあるため、市内の生徒が多いですが、その高い教育レベルから、市外や県外から通う生徒もいます。実際に、遠方からの生徒のために「立志館」という学生寮も設置されています。学区外出願の制度も整っており、強い意志があれば広い地域から進学が可能です。
北杜市立甲陵高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれて、本当にありがとう。進学アドバイザーとして、最後に甲陵高等学校を目指す君にメッセージを送ります。
甲陵高等学校は、「自由」という言葉が持つ本当の意味を教えてくれる学校です。それは、何でも好き勝手にして良いということではなく、自分の行動に責任を持つということ。だからこそ、この学校は、誰かに指示されるのを待つのではなく、自分で目標を見つけ、それに向かって努力できる人に特におすすめです。知的好奇心が旺盛で、「なぜだろう?」と物事を深く考えるのが好きな君なら、きっと最高の3年間を送れるはずです。
受験勉強では、ただ暗記するだけでなく、「なぜそうなるのか」という本質を理解することに力を入れてください。甲陵高等学校の入試問題、特に国語や英語は、思考力を問う長文問題が出される傾向があります。90分授業に耐えられる集中力を、今から勉強机で養っておくことも大切です。君が甲陵高等学校で学びたいという強い気持ちこそが、合格への一番の近道です。頑張ってください、応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。