大島商船高等専門学校は、山口県の「瀬戸内のハワイ」とも呼ばれる自然豊かな周防大島にある国立の高等専門学校です。中学校を卒業した生徒が、5年間(商船学科は5年6ヶ月)の一貫教育を通じて、船乗りやエンジニアといった専門的な知識と技術を深く学ぶことができる、とてもユニークで魅力的な学校です。

一般的な高校とは少し異なり、「高専」という環境で、専門分野の学習に早期から集中できるのが大きな特長です。全国から同じ志を持った仲間が集まり、多くが寮生活を送る中で、深い友情を育みながら、将来の夢に向かって主体的に学んでいきます。

この記事では、そんな大島商船高等専門学校について、偏差値や難易度、気になる学校生活の様子、そして卒業後の進路まで、受験生と保護者の皆さんが知りたい情報を詳しく、そして分かりやすく解説していきます。船や機械、情報技術に興味がある人にとって、大島商船高等専門学校は、夢への最短ルートとなるかもしれません。

大島商船高等専門学校の基本情報

項目 内容
正式名称 大島商船高等専門学校
公立/私立の別 国立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒742-2193 山口県大島郡周防大島町大字小松1091番地1
代表電話番号 0820-74-5451
公式サイト https://www.oshima-k.ac.jp/

大島商船高等専門学校の偏差値・難易度・併願校

大島商船高等専門学校の偏差値は、設置されている3つの学科ともに「55」程度とされています。これは山口県内の高校と比較すると中堅レベルに位置しますが、高専は5年制の専門教育機関であり、大学受験を主とする普通科高校とは学習内容や進路が大きく異なるため、偏差値だけで難易度を測るのは難しい面があります。

合格に必要な内申点の明確な基準は公表されていませんが、学力検査だけでなく調査書(内申点)も総合的に評価されるため、中学校での成績も重要になります。同じくらいの偏差値の高校としては、公立では西京高校(普通科)、徳山商工高校(電子情報科など)、私立では高水高校(普通科)などが挙げられます。

高専の入試は、推薦選抜と学力選抜など複数の方式があります。また、大島商船高等専門学校は国立のため、山口県内の公立高校との併願が可能です。併願校としては、偏差値が近い私立高校を選ぶ受験生が多いようです。

大島商船高等専門学校に設置されている学科・コース

大島商船高等専門学校には、それぞれに特色のある3つの専門学科が設置されています。

  • 商船学科

    • どんなことを学ぶ?:船の運航や管理、海事技術全般を学びます。3年生からは、船の操縦などを学ぶ「航海コース」と、エンジンなどの機械を扱う「機関コース」に分かれます。

    • どんな生徒におすすめ?:将来、船長や機関長、航海士など、船を動かすプロフェッショナルとして世界中の海で活躍したい人におすすめです。

  • 電子機械工学科

    • どんなことを学ぶ?:電気・電子、機械、制御、情報といった幅広い工学分野の知識と技術を複合的に学びます。ロボット製作などにも力を入れています。

    • どんな生徒におすすめ?:ロボットや機械の仕組みに興味があり、ものづくりを通じて社会に貢献したいと考えている人におすすめです。

  • 情報工学科

    • どんなことを学ぶ?:プログラミングやデータベース、ネットワーク、AI(人工知能)といった情報通信技術(ICT)の専門知識と技術を基礎から応用まで学びます。

    • どんな生徒におすすめ?:コンピュータやインターネットが好きで、将来はシステムエンジニアやプログラマーとして新しいサービスや技術を創造したい人におすすめです。

大島商船高等専門学校の特色・校風

大島商船高等専門学校の校風は、「自由と自己責任」「専門性の尊重」「寮生活による協調性」といったキーワードで表現できるでしょう。

一般的な高校と比較して校則は緩やかで、生徒の自主性が重んじられているという声が多いようです。4年生からは私服での通学も可能になります。アルバイトも許可されており、勉強や部活動と両立させている生徒もいます。生徒たちは全国から集まっており、個性的で自分の好きなことに熱中している人が多い雰囲気です。

約半数の学生が寮生活を送っており、共同生活を通じて協調性やコミュニケーション能力が自然と身につきます。寮の規則は学校の校則よりは厳しい面もあるようですが、仲間との絆が深まる貴重な経験となるでしょう。

授業は1コマ90分で、大学に近い形式です。専門科目が多く、実験や実習が充実しているのが大きな特徴です。そのため、予習や復習は欠かせませんが、自分の興味のある分野を深く学べる環境は大きな魅力と言えます。制服は冬用がブレザータイプに変更されるなど、比較的好評のようです。土曜授業は基本的にありません。

大島商船高等専門学校の部活動・イベント

部活動

大島商船高等専門学校では、多くの生徒が部活動に励んでおり、運動部・文化部ともに活発に活動しています。

特に商船学校ならではの「カッター部」は有名で、瀬戸内海の穏やかな海で日々練習に励んでいます。また、ロボットコンテスト(ロボコン)やプログラミングコンテスト(プロコン)で全国的に活躍している部もあり、電子機械工学科や情報工学科の生徒を中心に、学科の垣根を越えて活動しています。硬式野球部なども活動しています。

イベント

大島商船高等専門学校の学校生活は、ユニークで魅力的なイベントで彩られています。最大のイベントは、秋に開催される「商船祭(しょうせんさい)」です。研究室の公開や模擬店、ステージ企画などが行われ、多くの地域住民も訪れる一大イベントです。

また、商船学科の生徒にとっては、練習船「大島丸」を使った航海実習が大きなイベントです。各学年で泊を伴う実習が行われ、実践的な操船技術やチームワークを学びます。その他、体育祭や球技大会なども行われ、クラスや学科の団結を深めています。

大島商船高等専門学校の進学実績

大島商船高等専門学校の卒業生は、高い専門性を武器に、就職と進学の両方で非常に優れた実績を誇っています。就職率はほぼ100%で、多くの企業から高い評価を得ています。

就職先は、各学科の専門分野を活かせる企業が中心です。商船学科の卒業生は大手海運会社や船舶関連企業へ、電子機械工学科や情報工学科の卒業生は製造業や情報通信産業へと、多くが技術者として巣立っていきます。

さらに学びを深めたい生徒のために、進学の道も開かれています。主な進学先としては、大島商船高専に設置されている「専攻科」への進学のほか、九州大学、岡山大学、広島大学といった国公立大学や、豊橋技術科学大学、長岡技術科学大学など、主に高専からの編入生を受け入れている大学への3年次編入が挙げられます。専門知識を活かして、より高度な研究に取り組むことができます。

大島商船高等専門学校の特長・アピールポイント

大島商船高等専門学校には、他の高校にはないユニークな魅力がたくさんあります。

  • 5年間の一貫教育:中学校卒業後、5年間(商船学科は5年6ヶ月)を通して、じっくりと専門分野の知識と技術を基礎から応用まで体系的に学ぶことができます。

  • 実践的な実習・実験:練習船「大島丸」での航海実習や、充実した設備を使ったロボット製作、プログラミング演習など、座学だけでなく実践的な学びの機会が豊富に用意されています。

  • 全国から集まる仲間との寮生活:日本全国から同じ夢や目標を持った仲間が集まります。多くの生徒が生活する寮では、一生涯の友人との出会いや、協調性・自主性を育む貴重な経験ができます。

  • 驚異的な就職率:卒業生は、専門知識と実践力を備えた即戦力として産業界から高く評価されており、就職率はほぼ100%を誇ります。

  • 大学3年次への編入も可能:高専卒業後、さらに専門性を高めたい場合は、国公立大学をはじめとする多くの大学の3年次に編入する道が開かれています。

  • 自然豊かな学習環境:「瀬戸内のハワイ」と呼ばれる周防大島の美しい自然に囲まれたキャンパスで、のびのびと学生生活を送ることができます。

  • 専門資格の取得:商船学科では航海士や機関士になるために必要な「海技士」の免許を取得できるなど、在学中に将来に直結する国家資格の取得を目指せます。

大島商船高等専門学校の口コミ・評判のまとめ

大島商船高等専門学校に関する口コミをまとめると、専門性を追求できる環境と自由な校風に満足している声が多く見られます。

  • 良い点:

    • 「専門的なことを深く学べるので、将来やりたいことが決まっている人には最高の環境」

    • 「就職に非常に強く、先生方のサポートも手厚い」

    • 「全国から友達ができて、寮生活が楽しい。一生の思い出になる」

    • 「校則が緩やかで、大学のように自由な雰囲気がある」

    • 「ロボコンやプロコンなど、自分の興味をとことん追求できる活動ができる」

  • 気になる点:

    • 「島にあるため、交通の便が少し不便。遊ぶ場所は限られる」

    • 「専門の勉強が合わないと、5年間続けるのは少し大変かもしれない」

    • 「女子生徒の割合が学科によっては少ない」

    • 「寮の規則は、学校の校則に比べると厳しいと感じることがある」

アクセス・通学

大島商船高等専門学校は、山口県の東部に位置する周防大島にあります。

  • 最寄り駅:JR山陽本線「大畠駅」

  • アクセス方法:

    • 大畠駅からバスで約10分、「大島商船高専」バス停下車すぐ。

島内や近隣の柳井市、岩国市などから通学している生徒もいますが、寮が完備されているため、山口県内全域はもちろん、九州や関西など全国各地から生徒が集まっています。

大島商船高等専門学校受験生へのワンポイントアドバイス

大島商船高等専門学校は、「船乗りになりたい」「ものづくりが好き」「プログラミングに夢中」といった、自分の「好き」を専門的な力に変えたいと強く願う君にこそ、ぴったりの学校です。5年間という時間を使って、同じ目標を持つ全国の仲間たちと切磋琢磨できる環境は、何物にも代えがたい経験となるでしょう。

受験勉強においては、中学での基礎学力をしっかりと固めることが大切です。特に高専の入試では、数学と理科が重視される傾向があります。苦手分野を作らないように、バランスよく学習を進めましょう。そして、なぜ大島商船高等専門学校で学びたいのか、将来どんな技術者になりたいのかという、君自身の熱い思いを明確にしておくことが、面接などでもきっと力になります。

未来の海や産業を支える技術者への第一歩を、この自然豊かなキャンパスで踏み出してみませんか。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。