学習院高等科は、140年以上の輝かしい歴史と伝統を誇る一方で、驚くほど自由で伸びやかな校風を併せ持つ、非常にユニークな男子校です。山手線の目白駅のすぐ隣にありながら、東京ドーム約4.4個分もの広大で緑豊かなキャンパスが広がり、都心とは思えない落ち着いた環境で学ぶことができます。長い歴史の中で培われた品格と、生徒一人ひとりの個性を尊重する革新的な教育方針が、この学校の大きな魅力と言えるでしょう。
この学校の教育の根幹にあるのは、生徒の自主性を信じ、一人の大人として尊重する姿勢です。校則が比較的緩やかであることは、単にルールが少ないということではなく、学校が生徒に寄せる信頼の証です。このような環境の中で、学習院高等科の生徒たちは、自ら考え、判断し、行動する力を養っていきます。受け身の学習ではなく、自分の興味や関心を深く追求したいと考える生徒にとって、最高の環境が用意されています。
高校選びは、これからの3年間、そしてその先の未来を考える上でとても大切な一歩です。自分のペースで学びを深め、個性豊かな仲間たちと共に、一生忘れられない時間を過ごしたいと思いませんか?この記事では、学習院高等科がどのような学校なのか、その偏差値から特色、学校生活のリアルな姿まで、皆さんが本当に知りたい情報を詳しく、そして分かりやすくお伝えしていきます。
学習院高等科の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 学習院高等科 |
公立/私立の別 | 私立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男子校 |
所在地 | 〒171-0031 東京都豊島区目白1-5-1 |
代表電話番号 | 03-5992-1032 |
公式サイトURL | https://www.gakushuin.ac.jp/bsh/ |
学習院高等科の偏差値・難易度・併願校
学習院高等科は、都内でもトップクラスの難関私立高校の一つです。その難易度を具体的に見ていきましょう。
偏差値
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普通科: 65 – 66
各種の模擬試験によって偏差値は多少変動しますが、おおむね65以上が一つの目安となり、合格には高い学力が求められます。この数値は、東京都内の私立男子校の中でも上位に位置づけられる難易度です。
難易度についての補足
偏差値65というのは、中学校のクラスの中でも常にトップクラスの成績を維持しているレベルです。特定の科目が得意なだけではなく、国語・数学・英語を中心に、全ての科目で高いレベルの学力が求められます。
合格に必要な内申点の明確な基準は公表されていませんが、一般的にこのレベルの私立高校を受験する生徒は、主要5教科はもちろん、9教科全体で非常に高い評価を得ていることが多いです。日々の授業態度や提出物など、中学校での学習への取り組み全体が重要になると考えてください。学習院高等科を第一志望とするなら、高い目標意識を持って受験勉強に臨む必要があります。
主な併願校
学習院高等科を受験する生徒は、同じレベルの他の難関私立高校や、都立のトップ校を併願する傾向があります。
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私立高校(例):明治大学付属中野、中央大学杉並、青山学院高等部、立教新座、城北、巣鴨、本郷、青稜、淑徳巣鴨(特進コース)など
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都立高校(例):戸山、青山、西、国立など
これらの併願校リストからも、非常に学力レベルの高い受験生たちが集まることが分かります。
学習院高等科に設置されている学科・コース
学習院高等科には、いわゆる「特進コース」や「理数科」のようなコース分けはありません。学科は「普通科」のみです。
しかし、コース分けがないからといって、全員が同じ画一的な教育を受けるわけではありません。むしろ、その逆です。この学校の大きな特徴は、2年生から始まる非常に多彩な「選択科目」制度にあります。生徒一人ひとりが自分の興味関心や将来の進路に合わせて、自分だけの時間割を組み立てていくことができるのです。
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英語・ドイツ語・フランス語・中国語: 英語以外の外国語を深く学べるのは、国際的な視野を広げたい生徒におすすめです。
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日本画・西洋画・工芸: 芸術系の選択科目が非常に充実しており、専門的なスキルを身につけたい、創作活動に打ち込みたい生徒に最適です。
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その他、人文科学、社会科学、自然科学の各分野で、大学での学びに繋がるような高度で専門的な内容の授業が多数用意されています。
この制度は、学校から与えられた道を歩くのではなく、生徒自らが自分の進むべき道を見つけ、設計していくことを促しています。これは、学習院高等科が大切にする「自主自律」の精神の表れと言えるでしょう。
学習院高等科の特色・校風
学習院高等科の最も大きな魅力は、その独特の校風にあります。キーワードで表すなら、「自由闊達」「自主自律」「穏やかな雰囲気」といった言葉がぴったりです。
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校風・生徒の雰囲気:
全体的に非常に落ち着いていて、穏やかな雰囲気が流れています。生徒たちは「義務教育を終えた一人の大人」として扱われ、互いの個性や価値観を尊重し合う文化が根付いています。口コミでは「目白の楽園」「穏やかで自由」といった表現が多く見られ、生徒たちがのびのびと学校生活を送っている様子がうかがえます。多様なバックグラウンドを持つ生徒が集まるため、知的な刺激に満ちた面白い人間関係を築けるという声も多いです。
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校則(スマホ・服装など):
校則は非常に緩やかです。スマートフォンの持ち込みや校内での使用も基本的に認められており、髪型や髪色についても厳しい規則はないようです。これは、生徒一人ひとりの自主性と責任感を信頼しているからこその方針です。ただし、自由には責任が伴うことも学校は教えており、守るべき最低限のルールを破った場合には厳しく指導されることもあります。
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宿題の量:
宿題の量が多いという口コミはあまり見られません。量で縛るのではなく、授業内容そのものが知的探究心を刺激するような質の高いものであるため、生徒は自発的に学習に取り組む傾向があるようです。
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制服の評判:
制服は、日本の学生服のルーツとも言われる、伝統的な紺色の蛇腹海軍型学生服(学ラン)です。流行のデザインではありませんが、長い歴史を持つ学習院の品格を象徴するものとして、生徒たちに受け入れられています。
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アルバイト・土曜授業:
アルバイトについては、学業や部活動に支障のない範囲で許可されている可能性がありますが、学校の方針を直接確認するのが最も確実です。土曜授業の有無についても、年度によって変更がある場合があるため、学校説明会などで最新の情報を得るようにしてください。
学習院高等科の部活動・イベント
学習院高等科では、勉強だけでなく、部活動や学校行事にも全力で打ち込む「文武両道」の精神が息づいています。
部活動
部活動への加入率はほぼ100%に近く、非常に活発です。都心にありながら広大なグラウンドが2つ、体育館も2つ、野球場や武道場まで備えた充実の施設が、その活動を支えています。
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特に有名な部活動・珍しい部活動:
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馬術部: 高校の部活動としては極めて珍しく、キャンパス内に専用の馬場と厩舎を持っています。馬の世話から本格的な乗馬技術まで学ぶことができ、学習院ならではの伝統と格式を感じさせる部活動です。
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漕艇部(ボート部): ボート競技に打ち込む伝統ある部です。仲間と力を合わせる経験は、何物にも代えがたい財産となるでしょう。
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ホッケー部: 全員が高校から競技を始めるため、新しいスポーツに挑戦したい生徒に人気です。全国大会への出場経験もあり、高いレベルを目指せる環境が整っています。
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山岳部: 長い歴史を誇り、本格的な登山活動を行っています。自然の中で心身を鍛えたい生徒におすすめです。
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この他にも、ラグビー部や硬式野球部、サッカー部といった人気の運動部から、化学部、史学部、鉄道研究会といった文化部まで、多種多様なクラブがあり、誰もが自分の情熱を注げる場所を見つけることができます。
イベント
学習院高等科の学校生活は、個性的で大規模なイベントによって彩られます。
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鳳櫻祭(ほうおうさい):
秋に開催される文化祭です。各文化部の展示や発表はもちろんのこと、名物となっているのが水泳部によるシンクロナイズドスイミング「マーメイドボーイズ」の公演です。生徒たちが主体となって創り上げるこのイベントは、学校全体が一体となる大きな盛り上がりを見せます。
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対筑波大学附属高等学校総合定期戦:
1896年から続く、筑波大学附属高校との伝統の一戦です。学習院では「附属戦(ふぞくせん)」と呼ばれ、各運動部が学校の誇りをかけて熱戦を繰り広げます。この定期戦に向けて、学校全体が応援ムードに包まれます。
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沖縄研修旅行:
2年生の秋に行く修学旅行は、単なる観光旅行ではありません。ひめゆりの塔や平和祈念資料館、ガマ(自然洞窟)などを訪れる「平和学習」が大きな柱となっています。沖縄の歴史と文化、そして社会が抱える課題について深く学び、考える貴重な機会です。また、マリンスポーツなどの体験学習もあり、仲間との絆を深める4日間となります。
学習院高等科の進学実績
学習院高等科の卒業生は、主に2つの進路を歩みます。一つは学習院大学への内部進学、もう一つは他大学への外部受験です。
学習院大学への内部進学
例年、卒業生の約55%から60%が、推薦制度を利用して学習院大学へ進学します。2024年度も、卒業生の半数以上にあたる115名が学習院大学の各学部へ進学しています。この制度があることで、受験勉強だけに追われることなく、部活動や自分の興味がある分野の探究にじっくりと時間を費やすことができるのが大きなメリットです。
他大学への進学実績(外部受験)
一方で、学習院大学以外の難関大学を目指す生徒も多く、素晴らしい合格実績を上げています。学校の授業は必ずしも受験に特化したものではありませんが、質の高い教育と、生徒が自由に使える時間が多い環境が、自律的な受験勉強を後押ししています。
2024年度 大学合格実績(抜粋)
最新の主な大学合格実績は以下の通りです。(既卒生を含まない現役合格者数を中心に記載)
大学群 | 合格者数(2024年実績) | 主な大学名と人数 |
国公立大学 | 12名 | 東北大学 2名、北海道大学 2名、大阪大学 1名、千葉大学 2名など |
早慶上理 | 55名 | 慶應義塾大学 25名、早稲田大学 10名、上智大学 10名、東京理科大学 11名 |
GMARCH(学習院大学除く) | 41名 | 中央大学 13名、明治大学 11名、青山学院大学 9名、法政大学 6名、立教大学 2名 |
医学部医学科 | 12名 | 国公立1名、私立11名 |
このように、内部進学の権利を保持しながら、より高い目標を目指して他大学に挑戦できる柔軟な進路選択が可能です。早稲田大学や慶應義塾大学などへの指定校推薦枠も用意されています。
学習院高等科の特長・アピールポイント
他の高校にはない、学習院高等科ならではの強みや魅力をまとめました。
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都心のオアシス、広大で緑豊かなキャンパス
JR山手線目白駅のすぐ近くという最高の立地にありながら、東京ドーム約4.4個分もの広大な敷地を誇ります。武蔵野の面影を残す豊かな自然に囲まれた環境は、落ち着いて学校生活を送る上で何よりの贅沢です。
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生徒を大人として信頼する「自由」な校風
緩やかな校則に象徴されるように、学校が生徒の自主性を最大限に尊重します。管理されるのではなく、自ら考え行動することが求められる環境は、生徒の精神的な成長を大きく促します。
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大学と連携した高度な学びの機会
同じキャンパス内にある学習院大学と連携し、大学教授による特別講義や、夏休みには理学部での研究室体験などが実施されます。高校の枠を超えた本物の学問に触れることができます。
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自分だけの学びをデザインできる多彩な選択科目
2年生から始まる豊富な選択科目により、文系・理系の枠にとらわれず、自分の興味に合わせて時間割を組むことができます。ドイツ語やフランス語、日本画や工芸といったユニークな科目も履修可能です。
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他では経験できない伝統の部活動
キャンパス内に馬場を持つ「馬術部」や、歴史ある「漕艇部」など、学習院ならではのユニークで格式高い部活動が存在します。ここでしかできない経験が、あなたを待っています。
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留年なしで留学できる手厚い国際交流支援
1年間の長期留学をしても、留年せずに元の学年に戻れる公認留学制度が整っています。海外での挑戦を学校が力強く後押ししてくれるため、安心して世界に視野を広げることができます。
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学習院大学への内部進学という安心感
約半数の生徒が利用する学習院大学への推薦制度は、将来の選択肢の一つとして大きな安心材料になります。これにより、目先の受験勉強だけでなく、部活や趣味など、高校時代にしかできないことに全力で打ち込めます。
学習院高等科の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生からのリアルな声は、学校選びの重要な参考になります。良い点と気になる点を公平に見ていきましょう。
良い点
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「自由な校風」への圧倒的な高評価
「とにかく自由でのびのびできる」「最高の3年間だった」という声が最も多く聞かれます。自分で考えて行動したい生徒にとっては、まさに「楽園」のような環境だと評価されています。
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一生の友人に出会える環境
個性豊かで面白い生徒が多く、互いを尊重し合う雰囲気があるため、深く付き合える友人ができるという口コミが多数あります。「ここでできた友達は最高の友達になれる」といった声も見られます。
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充実した施設と美しいキャンパス
都内トップクラスと評されるグラウンドや体育館などの施設、そして緑豊かなキャンパス環境は、多くの生徒の自慢のようです。
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知的好奇心を満たす授業
受験テクニックを教える授業ではないものの、「先生の授業は面白い」「専門的な内容を深く学べる」など、学問としての面白さを感じられる授業が多いと評価されています。
気になる点
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高いレベルの「自己管理能力」が必須
自由であることの裏返しとして、「自己が強くないと堕落してしまう」という厳しい意見もあります。流されやすいタイプの生徒は、学業がおろそかになる危険性も指摘されています。
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受験対策は自分次第
学校の授業は大学受験に直結する内容ばかりではないため、難関大学への外部受験を考えている場合は、塾や予備校などを活用しながら、自分で計画的に勉強を進める必要があります。
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先生の指導方針との相性
一部には、「先生の質にばらつきがある」「授業が面白くない先生もいる」といった声も見られます。先生の個性も多様なため、相性が合わないと感じる可能性もゼロではありません。
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部活動のレベル
全体として部活動は盛んですが、一部の部活については「顧問があまり来ない」「大会実績が芳しくない」といった否定的な意見もあり、部活選びは慎重に行う必要があるかもしれません。
アクセス・通学
学習院高等科は、交通の便が非常に良い場所にあります。
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最寄り駅からのアクセス:
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JR山手線「目白」駅下車、徒歩約5分
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東京メトロ副都心線「雑司が谷」駅下車、徒歩約5分
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都電荒川線「学習院下」停留場から徒歩約6分
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山手線の駅のすぐ近くという立地のため、都内全域からはもちろん、神奈川県、千葉県、埼玉県といった隣接県から通学している生徒も多くいます。通学時間は片道1時間程度という生徒が多いようですが、宇都宮や小田原といった遠方から通う熱心な生徒もいるそうです。
学習院高等科受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。学習院高等科の魅力、伝わったでしょうか。
最後に、進学アドバイザーとして、この学校を目指す君たちにメッセージを送ります。学習院高等科は、「誰かに管理されるのではなく、自分の意志で高校生活を創り上げたい」と考える、自立心旺盛な生徒に特におすすめしたい学校です。知的好奇心が強く、勉強も部活も行事も、すべてに全力で取り組みたい君にとって、学習院高等科は最高の舞台を用意してくれるでしょう。
受験勉強においては、苦手科目を作らず、全ての科目で高いレベルを目指すことが合格への鍵となります。しかし、学力だけが全てではありません。この学校は、君がどんなことに興味を持ち、その自由な環境で何を成し遂げたいのか、その情熱や人間性にも注目しています。なぜ学習院高等科で学びたいのか、自分の言葉で語れるように準備しておきましょう。伝統と自由が共存するこの特別な場所で、君が自分だけの物語を紡いでいく日を楽しみにしています。
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。