県立川越高等学校埼玉県立川越高等学校、通称「川高(かわたか)」。その名前を聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?県内トップクラスの偏差値、それとも、映画『ウォーターボーイズ』のモデルになったあの熱い文化祭…?そのどちらも、間違いなく川高を象徴する一面です。しかし、この学校の本当の魅力は、それだけにとどまりません。川高の根底に流れるのは、「自主自立」という揺るぎない精神です。

ここでは、生徒一人ひとりが主役となり、与えられるのを待つのではなく、自らの手で最高の高校生活を創り上げていきます。勉強も、部活動も、学校行事も、すべてに全力で打ち込む「文武両道」の気風の中で、仲間たちと切磋琢磨しながら、かけがえのない3年間を過ごすことができます。

この記事では、そんな埼玉県立川越高等学校の奥深い魅力について、詳しくご紹介していきます。

埼玉県立川越高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。進路を考える上で、正確な情報を把握することはとても大切です。

項目 内容
正式名称 埼玉県立川越高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男子校
所在地 埼玉県川越市郭町2-6
代表電話番号 049-222-0224
公式サイトURL https://kawagoe-h.spec.ed.jp/

埼玉県立川越高等学校の偏差値・難易度・併願校

県立川越高等学校は、埼玉県内でも屈指の難関校として知られています。その難易度を、偏差値や内申点の目安、そして併願校の傾向から具体的に見ていきましょう。

偏差値・難易度

県立川越高等学校の偏差値は、各種の模試や塾のデータによると、おおよそ67から68とされています。これは埼玉県内の公立高校の中でトップクラスに位置し、合格するためには非常に高い学力が求められます。

合格に必要な内申点の目安としては、45点満点中でおおよそ39〜41点が一つの基準となるようです。中学1年生から3年生まで、全ての教科で高い成績を維持し続ける努力が必要です。

この高い偏差値と内申点の基準は、単に学力が高い生徒を選抜しているだけではありません。これだけの成績を収めるには、日々の学習に対する高い自己管理能力とモチベーションが不可欠です。つまり、川越高校の入試は、同校の校風である「自主自立」を高校生活で実践できる素養を持った生徒を見極める、最初のステップとも言えるでしょう。同じくらいの偏差値の高校としては、川越女子高校や所沢北高校(理数科)などが挙げられます。

主な併願校

埼玉県では公立高校を複数併願することはできないため、川越高校を第一志望とする受験生の多くは、万が一に備えて難関私立高校を併願します。この併願校の選択からも、川越高校受験生のレベルの高さがうかがえます。

学校名 特徴
川越東高等学校 難関私立大学への進学に強い、同じ川越エリアの男子進学校。
栄東高等学校 非常に高い進学実績を誇る、県内トップクラスの共学進学校。
城北埼玉高等学校 理系、特に医歯薬系への進学にも定評がある男子進学校。
西武学園文理高等学校 近年進学実績を伸ばしている、バランスの取れた共学進学校。
早稲田大学本庄高等学院 最難関私立大学の附属校として、多くの受験生が目標とする学校。

これらの併願校もそれぞれが高い競争率を誇る進学校です。川越高校を目指すということは、こうしたハイレベルな受験生たちと競い合うことを意味します。

埼玉県立川越高等学校に設置されている学科・コース

県立川越高等学校に設置されている学科は、以下の通りです。

  • 普通科(単位制)

    • どんなことを学ぶ場所か:特定のコース分けはなく、生徒が自分の興味や進路希望に合わせて、幅広い選択科目の中から自由に時間割を組み立てていく「単位制」を採用しています。これは、学校の「自主自立」の精神をカリキュラムに反映したもので、生徒の主体性を最大限に尊重するシステムです。

    • どんな生徒におすすめか:将来の目標が明確で、そのために必要な科目を自分で選びたい生徒や、逆に、様々な分野の授業を体験しながら自分の進むべき道を見つけたいと考えている、探究心旺盛な生徒に最適です。

埼玉県立川越高等学校の特色・校風

県立川越高等学校の最も大きな特色は、その独特の校風にあります。「川高気質」とも呼ばれるその文化は、多くの生徒や卒業生に愛され、誇りとなっています。

キーワード:自主自立、自由闊達、文武両道、川高気質

  • 校則や制服について

    川越高校には、いわゆる「制服」がありません。服装や髪型は生徒の自由裁量に任せています。これは、単におしゃれができるという意味ではなく、「高校生としてふさわしい判断を自分自身で下す」という信頼と責任の表れです。校則も細かく生徒を縛るものはなく、代わりに先輩たちが定めた「生徒憲章」が行動の指針となっています。

    ただし、完全に何でもありというわけではありません。例えば、授業中や考査中のスマートフォンの使用は禁止されており、マナーを守ることが求められます。また、アルバイトは原則として禁止されています。このことから、「自由」とは「責任」とセットであり、他者への配慮や社会のルールの中で最大限に個性を発揮することが期待されていると分かります。土曜授業も行われており、学習機会は豊富に用意されています。

  • 生徒たちの雰囲気

    口コミを見ると、「男子校ならではのノリが最高」「女子の目を気にせず、何事にも全力で打ち込める」といった声が多く見られます。生徒たちは活発でエネルギッシュ。勉強はもちろん、学校行事や部活動にも本気で取り組み、互いを高め合う雰囲気があります。この「何事にも全力」という姿勢が、川高生の誇り「川高気質」を形作っています。

  • 宿題や学習環境について

    自由な校風の一方で、学習に対する要求は高いレベルにあります。特に決まった量の宿題が毎日課されるというよりは、日々の授業内容を確実に理解し、自分で学習計画を立てて進める「自学自習」の姿勢が強く求められます。夏休みには93もの講座が開講されるなど、意欲のある生徒を支える体制は万全です。

    施設に関しては、「校舎やトイレが古い」という声も一部で見られますが、現在、大規模な改修工事が進行中であり、学習環境は着実に改善されています。

この学校の「自由」は、裏を返せば「高いレベルの自己管理能力」が求められる環境です。自分で目標を設定し、計画を立てて実行できる生徒にとっては、これ以上ないほど成長できる場所でしょう。しかし、手厚い指導や細かい指示がないと不安に感じる生徒にとっては、厳しい環境になる可能性もあります。自分がどちらのタイプかを見極めることが、川高を目指す上で非常に重要になります。

埼玉県立川越高等学校の部活動・イベント

「文武両道」を掲げる川越高校では、部活動や学校行事が非常に盛んで、学校生活の大きな柱となっています。

部活動

川越高校には文化部23団体、運動部16団体と、非常に多くの部活動が存在し、多くの生徒が加入して活発に活動しています。

  • 水泳部:元祖「ウォーターボーイズ」

    川越高校を語る上で欠かせないのが、映画『ウォーターボーイズ』のモデルとなった水泳部です。後述する文化祭「くすのき祭」で披露される男子シンクロナイズドスイミングは、もはや伝説的な名物。毎年、プールサイドは立ち見の観客で埋め尽くされ、その圧巻のパフォーマンスは多くの感動を呼びます。この伝統は、川高の「何事にも本気で取り組む」精神を象徴しています。

  • 応援部:「川高魂」の体現者

    学ラン姿で力強い応援を繰り広げる応援部は、まさに「川高魂」の象徴です。体育祭や各運動部の大会に駆けつけ、選手たちを鼓舞し、学校全体を一つにまとめ上げます。その伝統的な演舞は、見る者の心を揺さぶる力を持っています。

  • 門班:「くすのき祭」の顔を創る専門部隊

    これは正式な部活動ではありませんが、くすのき祭の実行委員会に属する専門チーム「門班」の存在もユニークです。彼らは夏休みの多くの時間を費やし、文化祭の入り口にそびえ立つ巨大で精巧な「門」を設計・制作します。毎年異なるテーマで建てられる門は、来場者を驚かせる芸術作品であり、生徒たちの技術力と創造性、そして団結力の結晶です。

その他にも、部員数の多い吹奏楽部、陸上競技部、古典ギター部なども活発に活動しています。

イベント

川越高校の学校行事は、生徒が主体となって企画・運営されるのが大きな特徴です。

  • くすのき祭(文化祭)

    毎年9月上旬に開催される「くすのき祭」は、来場者数が1万5千人を超えることもある、日本で最も有名で大規模な高校文化祭の一つです。その歴史は古く、企画から運営、予算管理、広報(専用ウェブサイトまであります)に至るまで、そのすべてを生徒たちの手で行います。

    前述の「門」と「ウォーターボーイズ」の演技が二大名物ですが、各クラスや文化部による趣向を凝らした展示や発表、ステージパフォーマンスなども非常にレベルが高く、学校全体が熱気に包まれます。この祭りは単なるお祭りではなく、生徒たちが企画力、実行力、協調性といった社会で役立つスキルを実践的に学ぶ、壮大なプロジェクト・ラーニングの場と言えるでしょう。

  • 体育祭

    6月に行われる体育祭は、学年縦割りの団に分かれて競い合う、熱い一日です。応援団を中心に各団が一体となって勝利を目指す姿は、まさに青春そのものです。

  • 修学旅行

    2年生の12月には、沖縄へ修学旅行に行きます。美しい自然や文化に触れるだけでなく、平和学習にも力を入れており、班別自主行動を通じて自主性や協調性を育みます。

埼玉県立川越高等学校の進学実績

埼玉県内トップクラスの進学校として、県立川越高等学校は国公立大学や難関私立大学へ、毎年優れた進学実績を誇っています。

2025年度の主な大学合格実績

最新の2025年度の合格実績(既卒生を含む)は以下の通りです。全国の最難関大学に多くの合格者を輩出していることが分かります。

国公立大学 主な合格実績

大学名 合格者数 (うち現役)
東京大学 10 6
京都大学 6 3
一橋大学 10 6
東京工業大学 9 5
東北大学 16 11
北海道大学 12 10
埼玉大学 24 20
国公立大学医学部 8 2
国公立大学合計 186 125

難関私立大学 主な合格実績

大学名 合格者数 (うち現役)
早稲田大学 87 65
慶應義塾大学 45 32
上智大学 11 8
東京理科大学 92 56
明治大学 128 96
立教大学 44 34
中央大学 61 41
法政大学 86 59

進学実績を支える取り組み

この高い進学実績は、生徒自身の努力はもちろん、学校のサポート体制によって支えられています。注目すべきは、現役合格者数と全体の合格者数との間に差がある点です。これは、第一志望の大学に合格するために、浪人という選択肢を視野に入れ、粘り強く挑戦する生徒が少なくないことを示しています。学校が「絶対に現役で」というプレッシャーをかけるのではなく、生徒一人ひとりの高い志を尊重し、最後まで挑戦し続ける姿勢を育む文化があることの表れと言えます。

  • 充実した講習体制:夏休みには、個々のニーズに合わせて選択できる93もの講座が開講されるなど、生徒の「学びたい」という意欲に応える環境が整っています。

  • 探究学習プログラム:スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定の経験を活かした「川高サイエンス探究」などのプログラムがあり、大学での研究につながる高度な探究活動に取り組むことができます。

川越高校の進学指導は、単に受験テクニックを教えるのではなく、生徒の「自主自立」の精神を尊重し、彼らが自らの力で目標を達成するための道具(機会や情報)を豊富に提供するというスタイルが特徴です。

埼玉県立川越高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、県立川越高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。

  • 徹底された「自主自立」の校風

    制服がないことに象徴されるように、生徒を信頼し、その自主性と責任感を育むことを第一に考える文化があります。

  • 日本一と名高い「くすのき祭」

    企画から運営まで全てを生徒が手がける文化祭は、単なるイベントではなく、リーダーシップや協調性を学ぶ最高の学びの場です。

  • 映画『ウォーターボーイズ』の伝統

    水泳部のシンクロ演技は、学校のシンボルであり、何事にも全力で取り組む「川高魂」を体現しています。

  • 県内トップクラスの大学進学実績

    東京大学や京都大学をはじめとする最難関大学へ、毎年安定して多くの合格者を輩出しています。

  • 生徒の主体性を育む「単位制」と探究学習

    生徒が自ら学ぶ内容を選択できる柔軟なカリキュラムと、高度な研究活動ができる探究プログラムが用意されています。

  • 一生モノの仲間と育む「川高気質」

    自由で活気あふれる男子校の環境で、勉強にも行事にも本気で打ち込む仲間たちと、生涯続く固い絆を育むことができます。

埼玉県立川越高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からのリアルな声は、学校選びの貴重な情報源です。ここでは、良い点と気になる点を公平にご紹介します。

良い点

  • 「とにかく自由で楽しい。部活も行事も、やりたいことが何でもできる」という声が圧倒的に多いです。生徒の自主性が尊重される環境を、多くの生徒が満喫している様子がうかがえます。

  • 「男子校ならではの一体感があり、一生の友達ができる」といった、人間関係の濃密さを評価する声も目立ちます。気取らずに自分らしくいられる環境が、強い絆を生むようです。

  • 「文化祭や体育祭は、みんなが本気で取り組むので、達成感がすごい。川高生で良かったと心から思える」など、学校行事への満足度は非常に高いです。

  • 「先生方は基本的に生徒を信頼して見守ってくれるスタンス。相談すれば親身になってくれる」という意見もあります。

気になる点

  • 「駅から遠いのが少し大変」という意見は、多くの口コミで見られます。特に川越駅からは徒歩25分ほどかかるため、毎日の通学を考慮する必要があります。

  • 「校舎やトイレなどの施設が古い」という指摘もあります。ただし、前述の通り、現在大規模な改修工事が行われており、この点は改善が進んでいます。

  • 「自由な分、自分をしっかり律しないと周りに流されてしまう可能性がある」という声は、この学校の特性を的確に表しています。自主性が求められる環境が、人によってはプレッシャーに感じることもあるようです。

  • 「男子校なので、女子との交流が全くない」という、当然ながらもリアルな意見もあります。

アクセス・通学

県立川越高等学校へのアクセス方法は以下の通りです。複数の駅からアクセス可能ですが、いずれの駅からも少し距離があります。

  • 西武新宿線「本川越駅」より徒歩約15分

  • 東武東上線「川越市駅」より徒歩約20分

  • JR川越線・東武東上線「川越駅」より徒歩約25分

また、川越駅からはバスを利用する方法もあります。

  • 東武バス「一番街」バス停下車、徒歩約7分

  • 小江戸循環バス「県立川越高校前」バス停下車、徒歩約1分

県内トップの進学校であるため、川越市内だけでなく、さいたま市や所沢市など、埼玉県内の広範囲から多くの生徒が時間をかけて通学しています。

埼玉県立川越高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで県立川越高等学校の様々な魅力についてお伝えしてきましたが、最後に進学アドバイザーとして、受験生の皆さんにメッセージを送ります。

県立川越高等学校は、「誰かにやらされる勉強」ではなく「自分でやりたいこと」を突き詰めたいと強く思う君にとって、最高の舞台となる学校です。勉強も、部活も、学校行事も、すべてに全力で打ち込み、自由を謳歌しながら自分を大きく成長させたい。そんな熱い想いを持つ生徒を、川高は待っています。

受験勉強においては、もちろん高い学力は必須です。しかし、それと同じくらい「なぜ自分は川越高校で学びたいのか」を自分の言葉で語れるようにしておくことが大切です。ぜひ、学校説明会や、可能であれば「くすのき祭」に足を運び、川高の空気を肌で感じてください。その経験が、君のモチベーションを高め、入学後の高校生活を何倍も豊かにしてくれるはずです。君の挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。