広島市立基町高等学校は、広島県内でトップクラスの学力と輝かしい進学実績を誇り、多くの受験生が憧れる目標としてその名を知られています。しかし、この学校の魅力は、高い偏差値や難関大学への合格者数だけでは語り尽くせません。建築家の原広司氏が設計した近未来的で美しい校舎は、生徒たちの知的好奇心と創造性を日々刺激し、学びへの意欲をかき立てる特別な空間となっています。

「自主自律」の校訓のもと、生徒一人ひとりの主体性を尊重する自由な校風が根付いており、勉強だけでなく部活動や学校行事にも全力で打ち込む「文武両道」の精神が息づいています。特に、全国的にも珍しい「創造表現コース」の存在は、学問と芸術が共存する広島市立基町高等学校ならではの多様性を象徴しており、活気あふれる学校生活を生み出す源となっています。

この記事では、そんな広島市立基町高等学校のリアルな姿を、中学生とその保護者の皆さんに分かりやすくお伝えします。偏差値や入試の難易度といった基本的な情報から、在校生の声に基づいた学校生活の実態、そして卒業後の進路まで、皆さんが本当に知りたい情報を詳しく解説していきます。この記事が、あなたの未来の選択肢を考える上での、確かな道しるべとなることを願っています。

広島市立基町高等学校の基本情報

広島市立基町高等学校の基本的な情報を以下の表にまとめました。学校選びの第一歩として、まずは正確な情報を確認しておきましょう。

項目 内容
正式名称 広島市立基町高等学校
公立/私立の別 公立
共学/別学の別 共学
所在地 広島市中区西白島町25-1
代表電話番号 082-221-1510
公式サイトURL https://www.motomachi-hs.jp/

広島市立基町高等学校の偏差値・難易度・併願校

広島市立基町高等学校への合格を目指す上で、偏差値や難易度を正確に把握することは非常に重要です。ここでは、最新のデータと具体的な目安を交えながら解説します。

  • 普通科: 71

  • 普通科 創造表現コース: 60 – 62

偏差値71を誇る普通科は、広島県内の公立高校の中で最難関に位置づけられています。同じくらいの偏差値を持つ高校としては、広島大学附属高校(国立)や、公立では広島高等学校(偏差値69)、広島市立舟入高等学校(偏差値67)などが挙げられますが、基町高校の普通科はそれらを上回る学力が求められると考えてよいでしょう。

合格に必要な内申点の目安としては、225点満点中190点から200点あたりが一つのボーダーラインと言われています。広島県の公立高校入試では中学3年生の成績が特に重視されるため、中学生活の集大成として高い成績を維持することが不可欠です。また、広島市立基町高等学校の入試には、一般枠とは別に「特色枠」という選抜方法があります。この特色枠では、調査書(内申点)の中でも音楽や美術、保健体育、技術・家庭といった副教科の評定が2倍で計算されるという特徴があります。これは、学力だけでなく、特定の分野で秀でた才能や努力を評価しようという学校の姿勢の表れです。もしあなたが副教科に得意なものがあれば、この特色枠を戦略的に活用することで、合格の可能性を高めることができるかもしれません。

広島県の公立高校入試制度では、原則として他の公立高校を併願することはできません。そのため、基町高校を第一志望とする受験生の多くは、私立高校を併願校として選択します。主な併願校としては、学力レベルが近く、進学実績も豊富な修道高等学校、近畿大学附属広島高等学校(東広島)、崇徳高等学校などが挙げられます。

広島市立基町高等学校に設置されている学科・コース

広島市立基町高等学校には、生徒一人ひとりの興味や進路希望に応えるための、特色ある2つのコースが設置されています。

  • 普通科

    難関国公立大学や私立大学への進学を目指す、ハイレベルでスピーディーな学習を展開します。将来、学問の世界で活躍したい、高い目標に挑戦したいという人におすすめです。

  • 普通科 創造表現コース

    全国でも類を見ない、美術や工芸の専門的な学びと普通科の学習を両立させるユニークなコースです。将来、芸術系の大学に進みたい、自分の創造力や表現力をとことん伸ばしたいという人におすすめです。

広島市立基町高等学校の特色・校風

広島市立基町高等学校の学校生活を語る上でのキーワードは、「自主自律」「文武両道」「青春と勉強の両立」です。これらの言葉が示す通り、生徒の主体性を重んじる自由な雰囲気の中で、勉強もそれ以外の活動も全力で楽しむ文化が根付いています。

  • 宿題の量は多いか少ないか

    多くの在校生が「課題は多い」「授業の進度が速い」と口を揃えます。日々の予習・復習はもちろん、週末課題などもあり、学習量はかなり多いと言えるでしょう。高いレベルの授業についていくためには、相応の家庭学習時間と自己管理能力が求められます。

  • 校則は厳しいか緩やかか

    校則は「生徒心得」という形で示されており、他の高校と比較してかなり緩やかで自由なようです。頭髪は染色などが禁止されているものの、髪型自体は自由で、リボンやシュシュなどのアクセサリーも認められています。スマートフォンの校内への持ち込みは許可されていますが、授業中の使用は禁止です。厳しい規則で縛るのではなく、生徒一人ひとりの良識と判断に委ねる「自主自律」の精神が、こうした点にも表れています。

  • 生徒たちの雰囲気

    「真面目だけど、明るく活発な人が多い」というのが全体的な印象です。県内トップクラスの秀才が集まっていますが、いわゆる「ガリ勉」タイプばかりではなく、勉強と部活、行事を器用に両立させている生徒が大多数を占めます。互いに切磋琢磨し合える、知的で刺激的な仲間たちと出会える環境です。

  • アルバイトは可能か

    校則で明確に禁止されているわけではありませんが、多くの生徒が「毎日がとても忙しい」と感じているようです。膨大な課題や部活動との両立を考えると、学業に支障なくアルバイトを続けるのは現実的に難しいかもしれません。

  • 制服の評判はどうか

    制服は、濃紺を基調としたブレザータイプで、「スーツのようでかっこいい」と評判は上々です。落ち着いたデザインでありながら、スタイリッシュな印象を与えます。

  • 土曜授業はあるか

    毎週の土曜授業は実施されていません。ただし、希望者を対象とした補習や講習が土曜日に開かれることがあり、生徒たちは自分の学習計画に合わせて活用しています。

この学校の文化の根幹には、自由と責任のバランスがあります。「自主自律」という校訓が示す通り、学校は生徒に大きな自由を与えますが、それは同時に、高い学業水準を自らの力でクリアするという責任を伴います。この環境は、自ら考えて行動できる自立した生徒にとっては最高の成長の場となりますが、受け身の姿勢でいると厳しいと感じるかもしれません。

広島市立基町高等学校の部活動・イベント

部活動

広島市立基町高等学校の大きな魅力の一つが、非常に活発な部活動です。全校生徒の約95%が何らかの部に所属しており、勉強と両立させながら3年間打ち込む生徒がほとんどです。体育系13、文化系18と多種多様なクラブがあり、初心者でも安心して始められる環境が整っています。

  • 特に有名な部活動

    • 美術部:部員数が125名にも上る、学校を象徴する部活動です。全国レベルの実力を誇り、創造表現コースの生徒も多く在籍しています。その活動はテレビで紹介されることもあるほどで、文化祭での作品展は圧巻の一言です。

    • 器楽部:こちらも90名近い部員を擁する大規模な部です。文化祭や地域のイベントでの演奏会は非常に人気が高く、高い演奏技術で聴衆を魅了します。

    • 全国大会の常連たち:書道部、放送部、競技かるた部も、毎年全国大会に出場する強豪として知られています。書道部が文化祭で行う書道パフォーマンスは、基町高校の名物の一つです。

    • 体育系部活動:水泳部が県大会で女子総合3位に入るなど、優れた成績を収めています。その他の部も県総体などで活躍しており、学校全体で文武両道を実践しています。

イベント

基町高校の学校行事は、「手作りと工夫」をコンセプトに、生徒が主体となって企画・運営するのが最大の特徴です。クラスや学年が一丸となって創り上げるイベントは、一生の思い出になること間違いありません。

  • 文化祭(基高祭)

    毎年7月上旬に開催される、学校最大のイベントです。名物は、各クラスがテーマに沿って制作する巨大な「壁画コンテスト」。そのクオリティの高さは圧巻です。その他にも、工夫を凝らした展示や模擬店、ステージ発表などでキャンパス中が熱気に包まれます。

  • 体育大会

    9月に行われる体育大会の華は、クラス対抗の「ダンスフェスタ」です。選曲から振り付け、衣装のデザインまで、すべて生徒たちが自分たちで創り上げます。練習を通してクラスの団結力が一気に高まり、本番では感動的なパフォーマンスが繰り広げられます。

  • 修学旅行

    2年生で行く修学旅行は、単なる観光旅行ではありません。「進路別研修」として位置づけられており、生徒たちは東京などの大都市で、自分の興味や志望進路に関連する大学や企業、研究施設を訪問します。最先端の学問や仕事に触れることで、将来への目標をより具体的にし、学習意欲を高める貴重な機会となっています。

広島市立基町高等学校の進学実績

広島市立基町高等学校は、県内屈指の進学校として、毎年多くの生徒を難関大学へと送り出しています。その確かな実績は、質の高い授業と手厚い進路指導の賜物です。

2025年度の大学入試では、以下のような素晴らしい結果を残しています。

大学分類 主な合格大学と人数
国公立大学 京都大学10名、大阪大学13名、九州大学20名、広島大学55名、国公立大学医学科8名など、合計261名が合格
難関私立大学 早稲田大学14名、慶應義塾大学1名、上智大学5名、GMARCH合計28名、関関同立合計174名など

こうした輝かしい進学実績を支えているのが、学校独自のきめ細やかなサポート体制です。生徒の希望進路実現のため、大学別の志望者集会や、大学教授を招いての出前講義などが頻繁に開催されます。また、記述対策や小論文指導といった個別指導も充実しており、生徒一人ひとりの弱点を克服するための補習も随時行われています。

特に注目すべきは、探究活動「MOTO7」と進路指導の連携です。生徒たちは、職業探求セミナーや修学旅行での進路別研修を通して、社会や学問への理解を深めます。こうした活動を通じて自らの興味や目標を明確にすることが、最終的な大学選びと高いレベルでの合格へと繋がっているのです。

広島市立基町高等学校の特長・アピールポイント

広島市立基町高等学校には、他の高校にはないユニークな魅力がたくさんあります。ここでは、その中でも特に注目すべきポイントを5つに絞ってご紹介します。

  • 未来を感じさせる、刺激的な学習環境

    世界的な建築家・原広司氏が設計した校舎は、まるで大学のキャンパスのよう。その象徴であるエスカレーターをはじめ、開放的で美しい空間が、生徒の知的好奇心を刺激します。さらに、新入生全員にiPadが導入されており、最先端のICT環境で学ぶことができます。

  • 本物の「探究」を学ぶ「MOTO7」プログラム

    単なる知識の詰め込みではなく、生徒が自ら課題を見つけ、解決する力を養う独自の探究活動「MOTO7」を実践しています。大学教授や社会で活躍する専門家から直接学ぶ機会も豊富で、将来に繋がる「生きる力」を育みます。

  • 公立高校の枠を超えた、本格的な芸術教育

    全国でも珍しい「創造表現コース」と、全国屈指の実力を誇る美術部・器楽部が連携し、非常に高いレベルの芸術教育を提供しています。芸術系の難関大学への進学者も多く、まさに「芸術の基町」とも言える環境です。

  • 平和への想いを繋ぐ「原爆の絵」制作

    被爆者の証言に耳を傾け、その体験を一枚の絵として描き残す「原爆の絵」の制作は、基町高校が長年続ける尊い活動です。広島の高校だからこそできるこの取り組みを通じて、生徒たちは命の尊さや平和への想いを深く心に刻みます。

  • 「自主自律」の校風が育む、大人の精神

    校則が緩やかで自由なのは、学校が生徒を信頼している証です。この「自主自律」の精神のもと、生徒は自らを律し、責任感を持って行動することを学びます。この経験は、大学進学後や社会に出てから必ず役立つ、大きな財産となるでしょう。

広島市立基町高等学校の口コミ・評判のまとめ

ここでは、在校生や卒業生から寄せられたリアルな声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。学校生活を具体的にイメージするための参考にしてください。

  • 良い点

    • 「最高の仲間と充実した高校生活が送れる」という声が非常に多いです。レベルの高い仲間たちと切磋琢磨しながら、勉強も行事も全力で楽しむことができるようです。

    • 「校舎がとにかく綺麗で自慢できる」という意見も目立ちます。近未来的で美しいキャンパスで過ごす3年間は、特別なものになるようです。

    • 「周りの意識が高く、自然と勉強する習慣がつく」という声もあります。学習意欲の高い生徒に囲まれているため、モチベーションを維持しやすい環境だと言えます。

    • 「先生方は熱心で、質問に行けば丁寧に教えてくれる」と、教員のサポート体制を評価する声も多く聞かれます。

  • 気になる点

    • 最も多く聞かれるのが、「とにかく忙しい」「課題が多くて大変」という点です。授業の進度が速く、部活動との両立には相当な努力と自己管理能力が求められるようです。

    • 「勉強についていけなくなると精神的に辛い」という意見もあります。レベルが高いため、一度つまずくと遅れを取り戻すのが大変だと感じる生徒もいるようです。

    • 「自主自律」の校風について、「自由で良い」と感じる生徒がいる一方で、「先生が干渉しないので、放置されていると感じることもある」という声も少数ながら存在します。生徒の性格によって、向き不向きがあるかもしれません。

    • 「食堂や自動販売機が教室から少し遠い」といった、施設に関する細かい不満点も挙げられていました。

アクセス・通学

広島市立基町高等学校は広島市の中心部に位置し、交通の便が非常に良いのが特長です。これにより、市内外の広いエリアから多くの生徒が通学しています。

  • 最寄り駅からのアクセス

    • アストラムライン:「城北駅」下車、目の前

    • JR:「新白島駅」下車、徒歩約5分

  • 通学エリア

    基町高校はコースによって通学区域が異なります。

    • 普通科:広島市内全域から通学が可能です。

    • 普通科 創造表現コース:広島県内全域から通学が可能です。このため、創造表現コースには、市外から通う生徒も多く在籍しています。

広島市立基町高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

広島市立基町高等学校が求めているのは、ただ学力が高いだけの生徒ではありません。校訓である「自主自律」を体現できる、自立した学習者を求めています。高い目標を持ち、その達成のために自ら計画を立てて努力できる人、自由な環境の中で自分を律し、責任ある行動がとれる人にとって、広島市立基町高等学校は最高の成長の舞台となるでしょう。

合格を勝ち取るためには、まず中学校の授業を完璧に理解し、高い内申点を確保することが絶対条件です。特に中学3年生の成績は重要視されます。副教科も決して手を抜かず、得意な分野は積極的に伸ばしてください。それが「特色枠」での大きな武器になる可能性があります。そして何より、今のうちから「誰かに言われたからやる」のではなく、「自分のために学ぶ」という姿勢を身につけてください。その自立した学習習慣こそが、基町高校での充実した3年間、そしてその先の未来を切り拓く鍵となります。

受験勉強は決して楽な道のりではありませんが、その先には、刺激的な仲間たちとの出会い、知的好奇心を満たす学び、そして一生忘れられない青春が待っています。自分の可能性を信じて、憧れの基町高校への扉を開いてください。心から応援しています。

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。