日本大学第三高等学校、通称「日大三高」は、高いレベルでの「文武両道」を本気で目指せる、全国でも数少ない学校の一つです。多くの人が甲子園常連校としての屈強な野球部の姿を思い浮かべるかもしれませんが、その一方で、難関大学への進学者を多数輩出する進学校としての一面も持っています。学業と部活動、その両方に全力で打ち込める環境が、ここには確かに存在します。

その舞台となるのが、東京都町田市の豊かな自然に抱かれた広大なキャンパスです。都心では考えられないほどの広々とした敷地には、最新の設備を誇るグラウンドや体育館が点在し、生徒たちは日々伸び伸びと活動しています。この恵まれた環境が、日大三高の生徒たちのエネルギーの源となっているのかもしれません。春には桜が咲き誇り、秋には紅葉が美しいキャンパスは、訪れるだけでも価値があるでしょう。

しかし、「スポーツが強い学校?」「それとも勉強が大変な進学校?」と、その両立のイメージがなかなかつかめない中学生や保護者の方も多いのではないでしょうか。この記事では、そんな日本大学第三高等学校の本当の姿を、偏差値や進学実績といったデータから、在校生のリアルな口コミ、学校生活の細部に至るまで、進学アドバイザーの視点から詳しく、そして分かりやすく解き明かしていきます。

日本大学第三高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。

項目 内容
正式名称 日本大学第三高等学校
公立/私立の別 私立
共学/男子校/女子校の別 共学
所在地 〒194-0203 東京都町田市図師町11-2375
代表電話番号 042-789-5535
公式サイトのURL https://www.nichidai3.ed.jp/

日本大学第三高等学校の偏差値・難易度・併願校

日本大学第三高等学校の学力レベルは、東京都内でもトップクラスに位置します。しかし、偏差値の数字だけでは本当の難易度は分かりにくいものです。ここでは、具体的な数字と合わせて、合格に必要な内申点の目安や主な併願校を紹介します。

学科・コースごとの最新の偏差値は以下の通りです。

  • 普通科 特進クラス: 69

  • 普通科: 66-68

この偏差値は、東京都内の私立高校の中でもかなり高い水準です。同じくらいの偏差値の高校としては、成蹊高等学校、法政大学高等学校、明治大学付属八王子高等学校などが挙げられ、これらの学校と肩を並べる難易度であることが分かります。

特に注目すべきは、合格に必要な内申点の目安です。推薦入試を視野に入れる場合、「5教科の評定合計で22〜23以上」が一つの大きな目標となります。これは、主要5教科でオール4を基本とし、さらにいくつかの教科で5を取る必要があることを意味します。この事実は、日本大学第三高等学校が、入学試験一回だけの学力だけでなく、中学校3年間を通じた継続的な学習姿勢や真面目さを非常に重視していることを示しています。中学1・2年生のうちから、定期テストにしっかりと取り組み、高い内申点を維持しておくことが合格への鍵となります。

主な併願校としては、同じように文武両道を目指せる学校や、同程度の学力レベルの学校が選ばれる傾向があります。具体的には、拓殖大学第一高等学校、桜美林高等学校、東海大学付属相模高等学校などがよく挙げられます。

日本大学第三高等学校に設置されている学科・コース

日本大学第三高等学校では、生徒一人ひとりの多様な進路目標に対応するため、大きく分けて3つのコースを設置しています。このコース制こそが、高いレベルの「文武両道」を実現するための学校の仕組みそのものと言えるでしょう。

  • 特進クラス

    • どんなことを学ぶ場所か:東京大学をはじめとする最難関国公立大学や、早稲田大学、慶應義塾大学などの難関私立大学への現役合格を目指すコースです。授業の進度も速く、より発展的な内容を学びます。

    • どんな生徒におすすめか:高い学力と強い意志を持ち、大学受験という大きな目標に向かって仲間と切磋琢磨したい生徒に最適です。

  • 普通クラス

    • どんなことを学ぶ場所か:日本大学への内部進学を主な視野に入れつつ、GMARCHをはじめとする他の難関私立大学への進学にも対応できる学力を養成する、学校の中核をなすコースです。文系・理系に分かれ、それぞれの進路希望に合わせた学習を進めます。

    • どんな生徒におすすめか:日本大学という大きな受け皿の安心感を持ちながら、自分の可能性を広げ、幅広い進路選択をしたい生徒におすすめです。

  • スポーツクラス

    • どんなことを学ぶ場所か:スポーツ推薦で入学した、野球部、柔道部、アメリカンフットボール部、サッカー部の生徒が所属します。全国レベルでの部活動に専念しながら、学業との両立を図るためのカリキュラムが組まれています。

    • どんな生徒におすすめか:トップアスリートを目指し、厳しい練習と学業を両立させる強い精神力と自己管理能力を持つ生徒のためのコースです。

日本大学第三高等学校の特色・校風

日大三高のスクールライフはどのような雰囲気なのでしょうか。ここでは、口コミなどを基に、中学生が本当に知りたい学校生活のリアルな姿を詳しく見ていきます。

学校全体の雰囲気を表すキーワードは、「文武両道」「自主独立」「自然豊か」といった言葉がぴったりです。

  • 宿題の量:コースにもよりますが、全体的には「やや多め」という声が多いようです。特に特進クラスでは、日々の予習・復習が欠かせません。先生から細かく管理されるというよりは、生徒の自主性に任される部分が大きいようです。

  • 校則:校則は「厳しい」という口コミが非常に多く、これが日大三高の大きな特徴の一つです。特にスマートフォンの扱いについては厳格で、校内での使用は原則として一切禁止されています。朝のホームルームで預かり、帰りに返却するという運用がされているようです。これは、生徒たちに授業や部活動、友人との対面に集中してほしいという学校側の明確な教育方針の表れと言えます。服装や頭髪に関する指導も行われており、自由な校風を求める生徒にとっては少し窮屈に感じるかもしれません。

  • 生徒たちの雰囲気:スポーツに打ち込む活発な生徒と、真面目に勉強に取り組む生徒が自然に共存しています。全体的に、何事にも真剣に取り組む、ひたむきな生徒が多い印象です。内部進学生と高校からの入学生は、1年生のうちは別々のクラスですが、2年生からは混合クラスになるため、すぐに打ち解けられるようです。

  • アルバイト:原則として禁止されています。学校としては、学業や部活動といった学校生活に集中することを推奨しています。

  • 制服の評判:伝統的で落ち着いたデザインです。男子は黒の学ラン(詰襟)、女子は紺を基調としたブレザーとスカートです。流行を追ったデザインではありませんが、品があり、清楚な印象を与えると評判です。

  • 土曜授業:土曜日も授業があります。多くの場合は午前中4時間で終わるため、午後は部活動や自分の時間に充てることができます。

  • キャンパス環境:日大三高を語る上で欠かせないのが、その独特な校舎です。教室の外がすぐに屋外につながる「廊下のない」開放的な作りが特徴で、自然を身近に感じられます。しかし、その反面、「雨の日や冬は寒くて移動が大変」という声や、「自然が豊かな分、夏は虫が多い」といった正直な意見も多く聞かれます。

日本大学第三高等学校の部活動・イベント

部活動

日大三高の「文武両道」を象徴するのが、非常に活発な部活動です。高校生の部活動加入率は80%を超え、多くの生徒が学業と両立させながら活動に打ち込んでいます。全国レベルで活躍する部もあれば、自分のペースで楽しめる部もあり、選択肢は多彩です。

  • 硬式野球部:言わずと知れた全国屈指の強豪校です。夏の甲子園で複数回の全国制覇を成し遂げており、その名は全国に轟いています。野球部の活躍は、学校全体の誇りであり、一体感を生み出す源にもなっています。

  • 男子テニス部:野球部だけでなく、テニス部も全国大会の常連です。インターハイ(全国高等学校総合体育大会)で優勝するなど、輝かしい実績を誇ります。

  • 放送部:文化部の活躍も目覚ましいものがあります。放送部は、NHK杯全国高校放送コンテストで何度も上位入賞を果たしており、文化部でも全国の頂点を目指せることを証明しています。

  • サッカー部:70名を超える部員が所属する人気の部活動です。広大なグラウンドを活かして、日々練習に励んでいます。

これらの部活動を支えているのが、広大で充実した施設です。専用野球場や全天候型のグラウンド、複数の体育館など、トップレベルの活動を可能にする環境が整っていることこそが、日大三高の強さの秘訣と言えるでしょう。

イベント

日大三高の学校生活は、勉強や部活動だけでなく、多彩なイベントによって彩られます。

  • 体育大会:毎年6月に行われる体育大会は、学校が最も盛り上がるイベントの一つです。特に、スポーツクラスの生徒たちが見せる圧巻のパフォーマンスは必見で、全校生徒が一体となって応援に熱中します。

  • 三黌祭(さんこうさい):9月に行われる文化祭です。クラスや文化部による展示や発表が行われます。体育大会の熱気とは少し異なり、生徒たちの創造性や文化的な側面が発揮される場となっています。一部には「体育祭に比べると少し落ち着いている」という声もありますが、学校の雰囲気を知る良い機会です。

  • 修学旅行:2年生の時に実施される修学旅行は、生徒たちにとって最高の思い出の一つです。行き先はコースによって異なり、過去には特進クラスがシンガポール、普通クラスは沖縄か北海道の選択制といった、非常に魅力的なプランが用意されていました。

日本大学第三高等学校の進学実績

日大三高の進路指導は、大きく分けて二つの大きな柱で成り立っています。一つは日本大学への内部進学という「安心感のある道」、もう一つは国公立大学や難関私立大学を目指す「挑戦の道」です。この両方を高いレベルでサポートする体制が整っています。

まず、最大の強みである日本大学への進学です。卒業生の約4割から5割が、日本大学の付属校推薦制度を利用して進学しています。これは、高校3年間の学業成績や、年に数回行われる「基礎学力到達度テスト」の結果によって決まります。このテストに向けて計画的に学習を進めることで、多くの生徒が希望の学部への切符を手にしています。

一方で、他大学への進学実績も非常に優れています。国公立大学では、筑波大学、東京都立大学などに合格者を輩出しており、過去には東京大学や一橋大学といった最難関大学への合格実績もあります。

私立大学では、難関とされるGMARCH(学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)に毎年合計で100名以上の合格者を出すなど、圧倒的な実績を誇ります。さらに、早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学といった最難関私立大学にも多くの生徒が進学しています。

こうした高い進学実績を支えているのが、手厚い進路指導体制です。生徒・保護者・担任による三者面談を定期的に実施し、一人ひとりの目標を明確にしていきます。また、進路指導室には専門の教員が常駐し、いつでも個別の相談に応じているほか、予備校と連携した講座を開講するなど、外部の力も積極的に活用して生徒の夢の実現を後押ししています。

日本大学第三高等学校の特長・アピールポイント

これまでの情報をまとめ、日大三高ならではの強みやユニークな取り組みを5つのポイントに絞って紹介します。

  • 日本大学への強力な連携と進学の道

    日本大学の16学部87学科という幅広い学問分野へつながる内部進学の道は、生徒にとって大きな安心材料であり、将来の選択肢を広げる最大の魅力です。

  • 全国レベルで「文武両道」を実践できる環境

    甲子園優勝経験のある野球部をはじめ、多くの部活動が全国で活躍しています。学業と部活動のどちらも妥協せず、高みを目指したい生徒にとって最高の環境が用意されています。

  • 広大で自然豊かなキャンパスと充実した施設

    都内有数の広さを誇るキャンパスには、専用野球場や総合グラウンド、複数の体育館、温水プールなどが完備されています。この恵まれた物理的環境が、生徒の活動を力強く支えています。

  • 多様な目標に対応する3つのコース制

    最難関大学を目指す「特進クラス」、日大進学と他大学受験を両立する「普通クラス」、トップアスリートを目指す「スポーツクラス」という明確なコース分けにより、多様な生徒のニーズに応える教育を可能にしています。

  • 伝統を重んじる規律ある校風

    スマートフォン使用の禁止など、一見厳しく感じられる校則は、生徒が目の前の学業や活動に集中し、人間関係を深めるための教育的な配慮に基づいています。この規律ある環境が、生徒の集中力と自己管理能力を育みます。

日本大学第三高等学校の口コミ・評判のまとめ

ここでは、在校生や卒業生から寄せられたリアルな声を、良い点と気になる点に分けて公平に紹介します。学校選びの参考にしてください。

  • 良い点

    • 「部活動に本気で打ち込みたい人にとっては、これ以上ない最高の環境です。施設も指導者も揃っています。」

    • 「キャンパスがとにかく広くて緑が多いので、気持ちよく過ごせます。都会の学校にはない開放感があります。」

    • 「先生方が熱心で、質問に行くといつでも親身になって教えてくれます。先生との距離が近いのが良いところです。」

    • 「スポーツ推薦の生徒も一般の生徒も、お互いをリスペクトしていて良い雰囲気です。高い目標を持つ仲間が多いので刺激になります。」

    • 「日本大学への進学という選択肢があるのは、精神的にとても大きいです。」

  • 気になる点

    • 「校則が厳しいです。特にスマホが使えないのは、最初は戸惑いました。もう少し自由でも良いのに、と思うことはあります。」

    • 「最寄り駅からバスに乗らないといけないので、通学時間は長めです。朝のバスはとても混みます。」

    • 「廊下がない校舎なので、雨の日や冬の寒い日は教室の移動が少し大変です。」

    • 「自然が多いのは良いのですが、夏場は虫が多いのが少し苦手です。」

    • 「体育祭はすごく盛り上がるけれど、文化祭はそれに比べると少し地味かもしれません。」

アクセス・通学

日大三高のキャンパスは駅から少し離れた場所にありますが、主要な駅からスクールバスを含む路線バスが多数運行されており、通学の便が図られています。

  • 町田駅(JR横浜線・小田急線)から

    • 町田バスセンター15番乗り場から「日大三高」行きの急行バスで約20〜25分。

  • 淵野辺駅(JR横浜線)から

    • 北口1番乗り場から「日大三高」行きの直行バスで約15〜20分。

  • 多摩センター駅(京王相模原線・小田急多摩線・多摩モノレール)から

    • 11番乗り場から「日大三高」行きの急行バスで約15〜20分。

登下校の時間帯には、生徒の利用に合わせてバスが増便されるなど、学校とバス会社が連携して生徒の通学をサポートしています。在校生の約7割が淵野辺駅と多摩センター駅を利用しており、神奈川県方面や多摩地区から通学している生徒が非常に多いのが特徴です。

日本大学第三高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、日本大学第三高等学校を目指す君たちにメッセージを送ります。

もし君が、「勉強も部活も、どちらか一つなんて選べない。どっちも日本一を目指すくらいの気持ちで頑張りたい!」と思っているなら、日本大学第三高等学校は最高の挑戦の場になるはずです。規律ある環境の中で、同じ志を持つ仲間たちと切磋琢磨する3年間は、君を心身ともに大きく成長させてくれるでしょう。

日本大学第三高等学校の合格を勝ち取るために最も大切なのは、「中学校での日々の積み重ね」です。特に、内申点は非常に重視されます。一夜漬けの勉強ではなく、毎日の授業を大切にし、一つひとつの定期テストで着実に結果を出すことが、合格への一番の近道になります。広大で緑豊かなキャンパスは、情熱と挑戦する強い意志を持った生徒を待っています。自分の可能性を信じて、頑張ってください!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。