明石工業高等専門学校、通称「明石高専」は、中学を卒業した時点から、5年間一貫で高度な科学技術を学べる、まさに未来のエンジニアを育てるための学校です。一般的な高校とは少し異なり、大学レベルの専門的な知識や技術を、いち早く、そして深く探求できるのが大きな魅力と言えるでしょう。

「ものづくりが好き」「プログラミングに興味がある」「将来は技術者として世界で活躍したい」そんな夢を持つ中学生にとって、明石高専は最高の環境です。5年間という時間の中で、同じ志を持つ仲間たちと切磋琢磨しながら、専門分野をとことん追求できます。大学受験に縛られず、自分の好きなことに没頭できる時間は、何物にも代えがたい経験となるはずです。

この記事では、そんな明石工業高等専門学校について、偏差値や難易度、学校生活の様子、そして卒業後の進路まで、進学アドバイザーの視点から分かりやすく解説していきます。この記事を読めば、きっと明石高専の魅力が伝わり、あなたの進路選びの大きなヒントになることでしょう。

明石工業高等専門学校の基本情報

項目 内容
正式名称 独立行政法人国立高等専門学校機構 明石工業高等専門学校
公立/私立の別 国立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒674-8501 兵庫県明石市魚住町西岡679-3
代表電話番号 078-946-6017
公式サイト https://www.akashi.ac.jp/

明石工業高等専門学校の偏差値・難易度・併願校

全国に51校ある国立高専の中でも、明石工業高等専門学校はトップクラスの難易度を誇ります。 そのため、合格にはしっかりとした学力と準備が必要です。

学科ごとの偏差値の目安は以下の通りです。

  • 機械工学科: 69

  • 電気情報工学科: 69

  • 都市システム工学科: 67

  • 建築学科: 67

この偏差値は、兵庫県内のトップクラスの進学校である神戸高校や長田高校に匹敵するレベルです。 合格のためには、内申点も非常に重要視されます。明確な基準は公表されていませんが、合格者の多くは主要5教科はもちろん、実技4教科でも高い評価を得ており、「45点満点中40点以上、ほぼオール5に近い成績が必要」とも言われています。 特に推薦選抜では、調査書の配点が大きい傾向があるため、中学1年生の時からコツコツと学習に取り組むことが大切です。

明石高専の学力選抜は、全国の国立高専で共通の問題が使用されますが、数学と英語の配点が1.5倍になる「傾斜配点」が採用されているのが特徴です。 そのため、この2教科を得意にしておくと、受験を有利に進めることができます。

主な併願校としては、同じく高いレベルの学力が求められる私立高校が挙げられます。具体的には、須磨学園高校、白陵高校、淳心学院高校、滝川第二高校などが主な選択肢となるようです。

明石工業高等専門学校に設置されている学科・コース

明石工業高等専門学校には、社会の様々な場面で活躍できる技術者を育成するための4つの専門学科が設置されています。それぞれの学科で、特色ある専門分野を深く学ぶことができます。

  • 機械工学科

    • どんなことを学ぶ?:ロボットやエンジン、エネルギー技術など、あらゆる「ものづくり」の基礎となる機械工学の知識と技術を学びます。

    • どんな生徒におすすめ?:ものづくりや機械の仕組みに興味があり、新しい技術を創造したい人におすすめです。

  • 電気情報工学科

    • どんなことを学ぶ?:電気エネルギーやエレクトロニクス、プログラミング、AIといった、現代社会に不可欠な電気・情報技術を幅広く学びます。4年次からは電気電子コースと情報工学コースに分かれます。

    • どんな生徒におすすめ?:コンピュータやプログラミング、電子工作が好きで、情報化社会の未来を支えたい人におすすめです。

  • 都市システム工学科

    • どんなことを学ぶ?:人々が安全で快適に暮らせる街をつくるため、道路や橋、上下水道、防災システムなどの計画・設計・維持管理について学びます。

    • どんな生徒におすすめ?:地図を見たり街を歩いたりするのが好きで、社会基盤の整備や防災に貢献したい人におすすめです。

  • 建築学科

    • どんなことを学ぶ?:快適な住まいから多くの人が集う公共建築まで、様々な建物のデザインや設計、構造、歴史などを総合的に学びます。

    • どんな生徒におすすめ?:建物のデザインやインテリアに興味があり、人々の暮らしを豊かにする空間を創造したい人におすすめです。

明石工業高等専門学校の特色・校風

明石工業高等専門学校の校風は、「大学のような自由闊達さ」と「専門性を追求する真面目さ」が両立していると言えるでしょう。

  • 校風キーワード:自由闊達、自主自律、専門探求、グローバル

口コミなどから見えてくる学校生活のリアルな姿は以下の通りです。

  • 宿題の量:一般的な高校のような毎日出る宿題は少ないですが、各専門科目でのレポートや設計製図などの課題は多く、計画的に進める力が必要とされます。 特に学年が上がるにつれて専門性が高まると、その量は増える傾向にあるようです。

  • 校則:校則は非常に緩やかで、生徒の自主性が尊重されています。 制服はなく私服通学で、髪型や持ち物に関する規定もほとんどありません。スマホの持ち込みや校内での使用も自由です。ただし、自由には責任が伴うという考え方が根底にあります。

  • 生徒たちの雰囲気:同じ専門分野に興味を持つ学生が集まっているため、共通の話題で盛り上がることが多いようです。真面目で探究心が強く、自分の好きなことに熱中する生徒が多いと言われています。学年を超えた交流も活発です。

  • アルバイト:アルバイトは原則として禁止されていませんが、学業との両立が求められます。多くの学生は、専門科目の勉強や課題、部活動に集中しているようです。

  • 制服の評判:制服はありません。生徒は各自、自由な服装で登校しており、その日の気候や気分に合わせてファッションを楽しんでいます。

  • 土曜授業:基本的に土曜授業はありません。

明石工業高等専門学校の部活動・イベント

部活動

明石工業高等専門学校では、勉強だけでなく部活動も非常に盛んです。 運動部、文化部ともに多くの部・同好会があり、多くの学生が興味のある活動に参加しています。

特筆すべきは、高専ならではの技術系コンテストで活躍する部活動の存在です。

  • ロボット工学研究部:毎年開催される「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)」の常連校として知られています。 テレビでも放映されるこの大会を目指し、学生たちがアイデアと技術を結集してロボット製作に励んでいます。

  • ものづくり研究会(エコランプロジェクト):自作の車両で燃費の限界に挑戦する「Honda エコ マイレッジ チャレンジ」などに参加しています。 設計から製作、走行まで、ものづくりの全工程を体験できるのが魅力です。

  • Web製作研究部、情報工学研究部など:「全国高等専門学校プログラミングコンテスト(プロコン)」などで活躍しています。

もちろん、一般的な運動部や文化部も充実しています。 体育系の部活は、近畿地区の高専が集う「近畿地区高専体育大会」を目標に日々練習に励んでいます。

イベント

学生生活を彩るイベントも、学生が主体となって企画・運営されており、毎年大きな盛り上がりを見せます。

  • 高専祭:毎年秋に開催される文化祭は「高専祭」と呼ばれ、地域住民にも開かれた一大イベントです。 各学科の研究発表や作品展示は、高専ならではの見どころが満載。また、部活動による模擬店やステージ企画なども大変な賑わいを見せます。 有名人をゲストに招くこともあるようです。

  • クラスマッチ(スポーツ大会):学年や学科対抗で様々なスポーツを競い合います。 クラスの団結力を高める絶好の機会となっています。

  • 修学旅行・研修旅行:一般的な高校の修学旅行とは異なり、専門分野に関連する施設の見学などを目的とした研修旅行が実施されることがあります。 また、希望者には海外の大学などでの夏期海外研修プログラムも用意されています。

明石工業高等専門学校の進学実績

明石工業高等専門学校の卒業後の進路は、大きく分けて「就職」と「進学」の二つがあり、どちらの道を選んでも非常に輝かしい実績を誇っています。

就職を希望する学生の就職率は、ほぼ100%を維持しており、大手有名企業からの求人が殺到します。 一人当たりの求人倍率は非常に高く、多くの学生が学校推薦によって希望の企業へと就職していきます。

一方、さらに学びを深めたい学生は、大学への「編入学」という道を選びます。 高専卒業生は、4年制大学の3年次に編入することができるのです。明石高専の学生は、その高い学力と専門性を武器に、難関国公立大学への編入学を数多く実現しています。

主な進学先(大学編入)は以下の通りです。

  • 国公立大学:東京大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、東京工業大学、豊橋技術科学大学、長岡技術科学大学など、全国の難関大学へ多数の合格者を出しています。

  • 明石高専専攻科:卒業後、さらに2年間学びを深めるための「専攻科」も設置されています。 専攻科を修了すると、4年制大学卒業と同じ「学士」の学位が授与され、大学院への進学も可能になります。

このように、一流企業への就職と難関大学への進学、どちらの道も高いレベルで実現できるのが、明石高専の大きな強みです。

明石工業高等専門学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、明石工業高等専門学校ならではの強みやユニークな取り組みを7つのポイントにまとめました。

  • 5年間の一貫した専門教育:中学卒業後すぐに大学レベルの専門教育をスタートできるため、興味のある分野を深く、じっくりと探求できます。

  • 全国トップクラスの学力レベル:偏差値は関西でも屈指の高さを誇り、全国の国立高専の中でも最難関の一つに数えられています。 意識の高い仲間と切磋琢磨できる環境です。

  • 抜群の就職実績:就職希望者の就職率は毎年ほぼ100%です。 大手優良企業からの評価が非常に高く、多くの求人が寄せられます。

  • 難関国公立大学への編入制度:卒業生の約6割が進学を選択し、東京大学、京都大学、大阪大学、神戸大学といった難関大学の3年次に編入学しています。

  • ロボコン・プロコンへの挑戦:高専ロボコンやプログラミングコンテストなど、全国レベルの技術系コンテストに挑戦する機会が豊富にあります。

  • 大学のように自由で自主性を重んじる校風:私服通学OK、校則も緩やかで、生徒一人ひとりの個性が尊重される環境です。

  • グローバルな視野を養うプログラム:海外の大学との連携や留学プログラムが充実しており、世界で活躍できる技術者の育成を目指しています。

明石工業高等専門学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からは、明石工業高等専門学校での学校生活について、様々な声が寄せられています。

良い点:

  • 「専門分野を早くから深く学べるのが最高の魅力。好きなことに没頭できる環境です。」

  • 「周りの学生のレベルが高く、毎日が刺激的。互いに高め合える仲間に出会えました。」

  • 「先生方が専門分野のエキスパートで、大学レベルの質の高い授業を受けられます。」

  • 「就職にも進学にも強く、将来の選択肢が広がるのが心強いです。」

  • 「校則がほとんどなく自由。服装も髪型も自由で、自分らしくいられます。」

  • 「高専祭などのイベントは学生主体でとても盛り上がり、最高の思い出になります。」

気になる点:

  • 「レポートや課題が多く、計画的に勉強しないと大変。留年する人もいるので、自己管理能力が問われます。」

  • 「駅から近いのは便利ですが、坂道が多いので夏は少し大変です。」

  • 「専門分野に特化している分、普通科の高校に比べて一般教養の授業は少ないかもしれません。」

  • 「建物が少し古いと感じる部分もあります。」

アクセス・通学

明石工業高等専門学校は、最寄り駅からのアクセスが良く、通学しやすい場所にあります。

  • JR神戸線「魚住」駅:南口から徒歩約4分

  • 山陽電鉄「山陽魚住」駅:徒歩約11分

多くの生徒は電車を利用して通学しています。JR「魚住」駅には快速電車も停車するため、神戸市や加古川市、姫路市など、広範囲のエリアから生徒が集まっています。

明石工業高等専門学校の受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとう。明石工業高等専門学校が、あなたの「好き」や「得意」を未来に繋げるための素晴らしい場所であることが伝わったでしょうか。

もしあなたが、「ものづくりの楽しさをとことん追求したい」「誰も見たことがないようなプログラムを作ってみたい」「人々の暮らしを支える大きな仕事がしたい」と少しでも感じているなら、ぜひ明石高専を目指してみてください。ここは、あなたの探究心や創造力を最大限に伸ばしてくれる場所です。5年間という時間、同じ夢を持つ仲間たちと一つのことに打ち込める経験は、きっとあなたの人生の大きな財産になります。

明石高専の入試では、特に数学と理科の力が問われます。 基礎を固めるのはもちろんのこと、少し難しい応用問題にも積極的にチャレンジし、「なぜそうなるのか」を自分の言葉で説明できるまで深く理解することが合格への近道です。あなたの挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。