木更津工業高等専門学校、通称「木更津高専」に興味を持ってくれてありがとうございます。この学校は、中学校を卒業した人が5年間通って、科学技術やものづくりのプロフェッショナル、「技術者」を目指すための特別な場所です。普通の高校とは少し違い、もっと早くから専門的なことを深く学びたい、という君のような探求心旺盛な生徒にぴったりの選択肢かもしれません。

木更津高専は、千葉県で唯一の国立高等専門学校(高専)として、これまで多くの優れた技術者を社会に送り出してきました。卒業生は、有名企業で活躍したり、さらにレベルの高い大学に進学したりと、その未来は大きく拓けています。5年間という時間を使って、じっくりと自分の専門分野を究めることができるのが、この学校の大きな魅力です。

この記事では、そんな木更津工業高等専門学校がどんな場所なのか、偏差値や難易度といった受験情報から、校風、部活動、そして卒業後の進路まで、皆さんが本当に知りたい情報を分かりやすく解説していきます。この記事を読んで、君の未来の選択肢の一つとして、高専という道を具体的にイメージしてもらえたら嬉しいです。

木更津工業高等専門学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。

項目 内容
正式名称 国立木更津工業高等専門学校
公立/私立の別 国立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒292-0041 千葉県木更津市清見台東2-11-1
代表電話番号 0438-30-4000
公式サイトURL https://www.kisarazu.ac.jp/

木更津工業高等専門学校の偏差値・難易度・併願校

木更津高専への進学を考える上で、最も気になるのが偏差値や難易度ですよね。詳しく見ていきましょう。

偏差値

木更津工業高等専門学校の偏差値は、全ての学科で「63」程度とされています。これは全国にある高専の平均偏差値が約62.2であることから、平均よりもやや高いレベルにあり、しっかりとした学力が必要な学校だと言えます。

難易度と内申点の目安

高専の入試は、偏差値だけでは測れない部分があります。特に、合格者の約半数を占める「推薦選抜」では、中学校2年生と3年生の成績(内申点)が非常に重要になります。

  • 出願の目安:9教科の5段階評定が全て3以上、かつ中学2年・3年ともに9教科の合計が「32」以上であることが望ましいとされています。

  • 合格を目指すなら:しかし、これはあくまで出願の目安です。実際に推薦での合格を目指すのであれば、9教科の合計で「36」(オール4に相当)以上は確保しておきたいところです。特に、数学・理科・英語といった主要5教科の成績は、高専独自の計算方法で重視される傾向があるため、得意にしておくと有利になります。

学力検査で受験する「一般選抜」でも、内申点は評価の対象になります。内申点が高いに越したことはありませんが、当日の学力検査で高得点を取れれば逆転のチャンスも十分にあります。

主な併願校

木更津高専は国立の学校なので、千葉県の公立高校との併願はできません。そのため、併願校は私立高校を選ぶことになります。学力レベルが近い生徒が併願先として選ぶことが多いのは、以下のような私立高校です。

  • 芝浦工業大学柏高等学校

  • 日本大学習志野高等学校

  • 暁星国際高等学校

  • 敬愛学園高等学校

木更津工業高等専門学校に設置されている学科・コース

木更津高専には、未来のエンジニアを育てるための5つの専門学科があります。どの学科も魅力的ですが、自分の興味に合う場所を見つけることが大切です。

  • 機械工学科

    • どんなことを学ぶ?:ロボットや自動車など、「ものづくり」の基本を学びます。機械がどうやって動くのか、どうすればもっと良くできるのかを、設計から製作まで一貫して探究します。

    • どんな生徒におすすめ?:機械いじりが好き、プラモデルやロボット作りに夢中になる人におすすめです!

  • 電気電子工学科

    • どんなことを学ぶ?:電気エネルギーやスマートフォンの中にある半導体など、電気と電子の世界を幅広く学びます。私たちの生活を支えるテクノロジーの根幹に触れることができます。

    • どんな生徒におすすめ?:電気回路や電子工作に興味がある、身の回りの電化製品の仕組みが気になる人におすすめです!

  • 電子制御工学科

    • どんなことを学ぶ?:機械を思い通りに動かすための「頭脳」を作る学問です。機械、電気、情報を組み合わせて、工場の自動化ロボットなどのシステムを開発します。

    • どんな生徒におすすめ?:ロボットを自分でプログラミングして動かしてみたい、自動で動くものにワクワクする人におすすめです!

  • 情報工学科

    • どんなことを学ぶ?:プログラミングやコンピュータの仕組み、AI(人工知知能)など、デジタル社会の最先端技術を学びます。アプリ開発やゲーム制作にも繋がる知識が身につきます。

    • どんな生徒におすすめ?:パソコンが好きで、コーディングに挑戦したい、新しいサービスやシステムを自分の手で生み出したい人におすすめです!

  • 環境都市工学科

    • どんなことを学ぶ?:人々が安全で快適に暮らせる社会を作るための学問です。橋や道路などのインフラ整備から、環境保全や防災まで、大きなスケールで社会に貢献する方法を学びます。

    • どんな生徒におすすめ?:地図や街づくりに興味がある、環境問題の解決に貢献したいという大きな目標を持つ人におすすめです!

木更津工業高等専門学校の特色・校風

木更津高専は、一言で言うと「大学のような雰囲気」を持つ学校です。その自由な校風と、専門性を追求する真面目な雰囲気が両立しているのが最大の特色です。

  • 校風キーワード:自由闊達、自主自律、専門探究

  • 宿題の量:専門科目を中心にレポートや課題が多く、決して楽ではありません。特に実験の後は、考察をまとめるレポート作成に時間がかかることが多いようです。計画的に学習を進める自己管理能力が求められます。

  • 校則(スマホ、服装など):校則は非常に緩やかです。スマートフォンの使用も基本的には自由で、服装に関しても、制服はありますが上からパーカーを着たり、学年が上がると私服で過ごす生徒も増えたりと、個性が尊重される雰囲気です。髪を染めている生徒もいるなど、高校というよりは大学に近い感覚です。

  • 生徒たちの雰囲気:個性的で、自分の好きなことに熱中している生徒が多いようです。「頭の良い変わり者」と表現されることもありますが、それはお互いの趣味や興味を尊重し合える良い雰囲気の裏返しでもあります。5年間クラス替えがないため、クラスメイトとは非常に強い絆で結ばれます。

  • アルバイト:可能ですが、学業が忙しいため、長期休暇中に行う生徒が多いようです。平日に両立させるのはかなり大変かもしれません。

  • 制服の評判:制服はありますが、着こなしが自由なため、制服そのものへの関心はあまり高くないようです。制服で個性を出すというよりは、服装全体の自由度が魅力と捉えられています。

  • 土曜授業:基本的にはありません。

木更津工業高等専門学校の部活動・イベント

部活動

木更津高専では、勉強だけでなく部活動も非常に盛んです。体育系19、文化系9、さらに20以上の同好会があり、自分の興味に合わせて活動を選ぶことができます。

  • 全体の様子:多くの生徒が部活動や同好会に所属し、専門分野の学習と両立させています。体育系の部活は、毎年夏に行われる全国の高専が集まる「高専体育大会(高専大会)」を目標に日々練習に励んでいます。文化系の部活や同好会は、専門知識を活かしたものづくり系の団体が特に活発です。

  • 注目の部活動

    • ロボット研究同好会:高専の代名詞ともいえる「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)」への出場を目指す、学校の顔ともいえる同好会です。機械、電気、情報など、各学科の知識を結集して、毎年ユニークなロボットを開発しています。ものづくりが好きな生徒にとっては、最高の環境です。

    • 陸上競技部・水泳部:高専大会の全国大会に出場する選手を輩出するなど、実績のある部活動です。高いレベルで競技を続けたい生徒が集まっています。

    • プログラミング研究同好会、ドイツゲーム研究同好会など:専門分野や趣味を深く探究するユニークな同好会が多数存在します。自分の「好き」を共有できる仲間が必ず見つかるはずです。

イベント

5年間の学生生活を彩る、高専ならではのイベントもたくさんあります。

  • 祇園祭(ぎおんさい):毎年11月上旬に行われる文化祭です。学生が主体となって運営され、各クラスや部活動の出店・展示はもちろん、各学科が専門性を活かした体験型の企画(ロボット操縦体験やプログラミング教室など)を行うのが大きな特徴です。高専の学びを肌で感じられる、地域でも人気のイベントです。

  • 体育祭:5月に全学年・全学科が一体となって盛り上がるイベントです。クラスメイトとの団結力が深まります。

  • 見学旅行:4年生の時に行く、いわゆる修学旅行です。しかし、行き先は工場や研究所、大規模なインフラ施設など、自分たちの専門分野に関連する場所が多く、学びを深める研修旅行としての側面が強いのが特徴です。

  • 新入生合宿研修:入学してすぐの4月に行われる1年生対象の宿泊研修です。これから5年間を共に過ごす仲間たちと、ハイキングやバーベキューを通して一気に仲良くなるための大切なイベントです。

木更津工業高等専門学校の進学実績

木更津高専の卒業後の進路は、大きく分けて「就職」と「進学」の2つがあり、その割合は例年およそ半々です。どちらの道を選んでも、非常に明るい未来が待っているのが高専の強みです。

大学進学(編入)

高専卒業生の大学進学は、一般的な大学受験とは異なり、大学の「3年次」に編入するという形を取ります。これは、高専の5年間で大学2年次修了相当の知識・技術を身につけていると認められているためです。

  • 国公立大学:進学希望者の現役での理工系国公立大学合格率は千葉県トップクラスを誇ります。特に、高専からの編入生を積極的に受け入れている長岡技術科学大学や豊橋技術科学大学への進学者が多いほか、千葉大学、筑波大学、東北大学、東京工業大学といった難関国立大学への編入実績も多数あります。

  • 高専専攻科への進学:木更津高専に設置されている2年制の「専攻科」に進学する道もあります。専攻科を修了すると、4年制大学卒業と同じ「学士」の学位が取得でき、その後、大学院へ進学する学生も少なくありません。

就職

高専生の就職状況は、驚異的と言っても過言ではありません。企業からの評価が非常に高く、毎年、就職希望者1人に対して15社以上から求人が来る「求人倍率15倍以上」という圧倒的な売り手市場です。

  • 主な就職先:SUBARU、キヤノン、KDDI、LIXILといった大手メーカーやIT企業、インフラ関連企業など、日本の産業を支える優良企業が名を連ねています。また、千葉県警や市役所などの公務員になる卒業生もいます。専門知識を活かして、研究・開発・設計といった部門で大学卒業生と同等に活躍しています。

木更津工業高等専門学校の特長・アピールポイント

他の高校や工業高校とはひと味違う、木更津高専ならではの強みや魅力をまとめました。

  • 大学受験なしで5年間、専門分野を究められる

    • 中学卒業後すぐに、興味のある工学分野の学習をスタートできます。大学受験に追われることなく、5年間かけてじっくりと知識と技術を深められるのは、高専だけの特権です。

  • 「就職」と「大学編入」の2つの強い選択肢

    • 卒業時には、大手企業への就職と、難関国立大学への編入という、2つの確かな道が用意されています。将来の選択肢が広く、安心して学ぶことができます。

  • 実験・実習中心の実践的なカリキュラム

    • 座学だけでなく、実際に手を動かす「実験・実習」の時間が非常に多いのが特徴です。ものづくりの楽しさや難しさを体感しながら、社会で即戦力となる実践的な技術を身につけます。

  • 博士号を持つ教員など、大学レベルの教育環境

    • 多くが博士号を持つ専門家である先生方から、最先端の知識を直接学ぶことができます。研究室や実験設備も、一般的な高校とは比較にならないほど充実しています。

  • 自主性を尊重する、自由で大学のような校風

    • 厳しい校則が少ない代わりに、学生一人ひとりの自主性が求められます。この環境で5年間過ごすことで、社会で必要な自己管理能力や責任感が自然と養われます。

  • 世界と繋がる国際交流プログラム

    • ドイツや台湾、シンガポールなどの海外の学校と連携しており、短期留学や研修に参加するチャンスがあります。キャンパス内で留学生と交流する機会も豊富です。

  • 遠方からでも通える学生寮を完備

    • 男子寮(雄峰寮)と女子寮(なのはな寮)があり、千葉県内各地はもちろん、県外からの学生も多く受け入れています。寮生活を通して、学年を超えた強い絆が生まれます。

木更津工業高等専門学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からは、高専ならではの魅力や、少し大変な点について、様々な声が聞かれます。

良い点

  • 「将来の選択肢がとにかく広い」:就職にも進学にも非常に強く、卒業後の安心感が大きいという声が圧倒的に多いです。努力すれば、自分の望むキャリアを実現しやすい環境です。

  • 「好きなことをとことん学べる」:工学やものづくりが好きな生徒にとっては、中学卒業後すぐに専門的な内容に触れられることが最高の魅力とされています。

  • 「同じ趣味の仲間と出会える」:専門分野に特化しているため、似たような興味を持つ友人が見つけやすく、マニアックな話で盛り上がれるのが楽しい、という意見が多くあります。

  • 「自由な校風が自分に合っていた」:校則に縛られず、自分のペースで学習や活動を進めたい生徒にとって、大学のような自由な雰囲気は非常に快適なようです。

気になる点

  • 「課題やレポートが多く、勉強はかなり大変」:最も多く聞かれる注意点です。自由な校風の裏返しとして、高いレベルの学業が求められます。特に赤点(合格点)が60点と高く、留年する学生も毎年一定数いるため、強い学習意欲と自己管理能力が不可欠です。

  • 「文系などへの進路変更が難しい」:15歳で専門分野を決めるため、もし途中で興味が工学系以外に移った場合、進路を変更するのは簡単ではありません。理工系に進むという強い意志が必要です。

  • 「イメージする『高校生活』とは少し違うかも」:5年間クラス替えがなかったり、大学受験という共通の目標がなかったりと、一般的な高校生活とは異なる点も多いため、そのギャップに戸惑う可能性も指摘されています。

  • 「寮のルールは少し厳しい面も」:キャンパス内は自由ですが、寮生活には門限や当番など、集団生活ならではのルールがあり、それを窮屈に感じるという声も一部あります。

アクセス・通学

木更津高専への主なアクセス方法は以下の通りです。

最寄り駅 アクセス方法 所要時間
JR内房線 木更津駅 路線バス 約15分
JR久留里線 祇園駅 徒歩 約20分

木更津駅からは、「清見台団地」行きのバスに乗り、「高専前」で下車すると目の前です。バスは駅の西口(2番のりば)と東口(6番のりば)から出ています。

通学している生徒は、木更津市、君津市、富津市、袖ケ浦市といった近隣の市からが多いですが、学生寮があるため、千葉県内全域や、さらには県外から進学してくる生徒もいます。

木更津工業高等専門学校受験生へのワンポイントアドバイス

進学アドバイザーとして、木更津高専を目指す君に最後のアドバイスを送ります。この学校は、「数学や理科が大好き」「ものを作ったり、仕組みを考えたりすることに夢中になれる」「人に言われなくても自分でどんどん勉強できる」そんな君にこそ、挑戦してほしい場所です。普通の高校では物足りない、もっと早く専門家への一歩を踏み出したいという強い気持ちがあるなら、木更津工業高等専門学校は最高の環境を提供してくれるでしょう。

受験勉強で特に力を入れてほしいのは、やはり数学、理科、そして英語です。これらの科目は、入学後の専門的な学びの土台になります。推薦選抜を考えているなら、中学2年生の成績からが勝負です。日々の授業を大切にし、定期テストで確実に高得点を取ることを心がけてください。一般選抜を目指す君は、全国の高専で共通して出題される過去問に繰り返し取り組み、問題の傾向に慣れておくことが合格への近道です。

高専という道は、少しユニークな選択かもしれません。しかし、そこには君の「好き」を「未来の仕事」に繋げるための、太くて確かな道が続いています。挑戦は大変ですが、その先には大きな成長と、かけがえのない仲間たちが待っています。自分の可能性を信じて、頑張ってください!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。