東京都立農業高等学校は、100年以上の歴史を持つ、農業と家庭科の専門高校です。「農高(のうこう)」の愛称で親しまれ、府中駅から徒歩5分という便利な場所にありながら、東京ドーム約2.5個分もの広大な敷地を持っているのが大きな魅力です。

この学校では、野菜や果物を育てたり、庭園をデザインしたり、食品加工を学んだり、ファッションや調理の世界を探求したりと、普通科の高校では体験できない専門的な学びが待っています。5つの専門学科があり、それぞれの分野のプロフェッショナルを目指す仲間たちと一緒に、実習を中心とした授業で実践的な知識と技術を身につけることができます。

この記事では、そんな東京都立農業高等学校の具体的な学びの内容から、学校生活の様子、気になる偏差値や進路先まで、受験生と保護者の皆さんが知りたい情報を詳しく、そして分かりやすく解説していきます。「好き」を仕事につなげたい、専門的なスキルを身につけたいと考えている中学生にとって、東京都立農業高等学校は夢を叶えるための素晴らしい選択肢になるはずです。

東京都立農業高等学校の基本情報

項目 内容
正式名称 東京都立農業高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 共学
所在地 〒183-0056 東京都府中市寿町1丁目10-2
代表電話番号 042-362-2211
公式サイト https://www.metro.ed.jp/nogyo-h/

東京都立農業高等学校の偏差値・難易度・併願校

東京都立農業高等学校の偏差値は学科によって異なり、おおよそ43から51の範囲です。将来の夢に直結する専門的な学びができるため、毎年多くの受験生が集まります。

学科・コースごとの偏差値の目安は以下の通りです。

  • 食物科:51

  • 服飾科:46

  • 食品科学科:45

  • 都市園芸科:43

  • 緑地計画科:43

偏差値51の食物科は、都立高校の中では高島高校や鷺宮高校などが近いレベルの学校として挙げられます。また、偏差値43〜46の学科は、基礎基本をしっかりと固めることが合格への鍵となります。内申点の目安としては、オール3に加えて、いくつかの教科で4があると安心できるでしょう。ただし、専門高校の入試では、当日の学力検査だけでなく、面接や実技検査(学科による)も重視される傾向があるため、学校説明会や体験入学に積極的に参加し、東京都立農業高等学校で学びたいという強い意欲をアピールすることが大切です。

都立高校が第一志望の場合、併願校としては私立高校を選ぶのが一般的です。農業や家庭科に関連する学科を持つ私立高校や、通学しやすいエリアにある高校などが併願先として考えられます。

東京都立農業高等学校に設置されている学科・コース

東京都立農業高等学校には、農業に関する3つの学科と、家庭に関する2つの学科、合計5つの専門学科があります。それぞれの学科で、特色ある専門的な学びを深めることができます。

  • 都市園芸科

    野菜、果樹、草花の栽培について学ぶ学科です。植物を育てることが好きな人や、フラワーデザインに興味がある人におすすめです。

  • 緑地計画科

    庭園のデザインや施工、環境緑化について学ぶ学科です。公園や街の緑づくりに貢献したい、造園のプロを目指したい人にぴったりです。

  • 食品科学科

    パンやジャム、味噌などの加工食品の製造や、食品の成分分析などを科学的に学ぶ学科です。おいしいものの仕組みに興味がある人や、食品開発の仕事に就きたい人におすすめです。

  • 服飾科

    都立高校で唯一、服飾について専門的に学べる学科です。ファッションデザインから製作まで、服づくりの全てを学びたいお洒落が好きな人におすすめです。

  • 食物科

    卒業と同時に調理師免許の取得が目指せる学科です。プロの料理人や食のスペシャリストになりたいという強い意志を持つ人におすすめです。

東京都立農業高等学校の特色・校風

東京都立農業高等学校は、「実践重視」「地域貢献」といったキーワードが似合う、活気がありながらも落ち着いた雰囲気の学校です。

中学生が特に気になる学校生活のポイントについて、口コミなどを参考にまとめました。

  • 宿題の量:専門的な実習やレポートが多く、計画的に学習を進める必要があるようです。特に、資格取得を目指す場合は、授業外での勉強も重要になります。

  • 校則:校則は、都立高校としては標準的という声が多いようです。ただし、実習など専門的な授業が多いため、安全に関わる頭髪や服装のルールは守る必要があります。スマホの使用については、授業中はもちろん禁止ですが、休み時間などは使用可能なようです。

  • 生徒たちの雰囲気:同じ目標を持つ仲間が集まっているため、生徒たちは真面目で意欲的な人が多いようです。専門分野の話題で盛り上がれる、充実した学校生活が送れるという口コミが見られます。

  • アルバイト:アルバイトは可能ですが、学業との両立が前提となります。実習などで忙しい日もあるため、計画的に行うことが大切です。

  • 制服の評判:制服は男女ともにブレザースタイルです。女子はリボンではなく、男子と同じストライプ柄のネクタイを着用するのが特徴的で、シンプルで良いという評判です。

  • 土曜授業:土曜授業は基本的にありませんが、学校説明会や体験入学、文化祭などのイベントが土曜日に行われることがあります。

東京都立農業高等学校の部活動・イベント

部活動

東京都立農業高等学校では、運動部と文化部が共に活発に活動しています。特に、学科の学びに直結した専門部が充実しているのが大きな特色です。

  • 専門部・文化部

    食品加工部、園芸部、果樹部、造園部、クッキング部など、各学科の専門性をさらに深められる部活動が数多くあります。例えば、神代農場部では、学校が持つ広大な農場での活動ができます。また、漫画研究部やサウンド部、合唱部、落語研究部といった文化部も活発です。

  • 運動部

    硬式野球部、サッカー部、男女バスケットボール部、硬式テニス部、陸上競技部など、多くの運動部が活動しています。なかでも、合気道部やトレッキング部など、少し珍しい部活動もあります。

イベント

東京都立農業高等学校では、生徒たちの学びの成果を発表する場として、またクラスの団結を深める機会として、一年を通して様々なイベントが開催されます。

  • 農高祭(文化祭)

    毎年11月に行われる文化祭は「農高祭(のうこうさい)」と呼ばれ、地域でも人気のイベントです。各学科の生徒たちが実習で生産した野菜や果物、パン、ジャムなどの加工品が販売され、毎年多くの来場者で賑わいます。ファッションショーや研究発表など、日頃の学習の成果を披露する企画も満載です。

  • 体育祭

    6月に行われる体育祭は、クラス対抗で様々な競技に挑み、大きな盛り上がりを見せます。学科や学年を超えて学校全体が一つになるイベントです。

  • 修学旅行・遠足

    4月には遠足や修学旅行が実施されます。行き先は年度によって異なりますが、仲間との絆を深める貴重な機会となっています。

  • その他の行事

    5月の茶摘みや、夏休み中の夏期実習など、農業高校ならではの季節を感じられる行事も数多くあります。

東京都立農業高等学校の進学実績

東京都立農業高等学校の卒業生は、3年間で身につけた専門的な知識や技術、取得した資格を活かして、多様な進路に進んでいます。大学進学から専門学校、就職まで、生徒一人ひとりの目標に合わせた手厚い進路指導が行われています。

近年の主な進路状況は以下の通りです。

  • 大学・短期大学への進学

    専門分野をさらに深く学ぶため、大学へ進学する生徒も増えています。東京農業大学や玉川大学、麻布大学といった農学系の大学のほか、日本大学や法政大学などへの進学実績があります。また、栄養系や服飾系の短期大学へ進学する生徒も多いです。

  • 専門学校への進学

    調理、製菓、栄養、バイオ、造園、ファッション、美容など、高校での学びをさらに発展させるための専門学校へ進学する生徒が多数います。

  • 就職

    食品、造園、販売、サービス業など、高校で学んだ専門性を活かせる企業への就職に強いのが特徴です。地元企業をはじめ、全国から多くの求人が寄せられています。

学校では、進路ガイダンスや面接指導など、生徒の希望進路実現に向けたサポート体制が整えられています。

東京都立農業高等学校の特長・アピールポイント

東京都立農業高等学校には、他の高校にはないユニークな魅力がたくさんあります。ここでは、その中でも特に注目すべきポイントを6つ紹介します。

  • 駅近で広大なキャンパス

    京王線府中駅から徒歩5分という好立地にありながら、東京ドーム約2.5個分の広大な敷地を持っています。校内には畑や果樹園、温室、庭園、茶畑などがあり、都心にいながら本格的な農業・園芸の実習が可能です。

  • 5つの専門学科で「好き」を極められる

    農業と家庭科の分野で、興味や関心に合わせて5つの学科から選べます。自分の「好き」という気持ちを、将来の仕事につながる専門的な知識や技術へと高めていくことができます。

  • 卒業と同時に国家資格が取れる(食物科)

    食物科では、3年間学ぶことで卒業と同時に「調理師免許」という国家資格を取得することができます。高校在学中にプロへの第一歩を踏み出せるのは、大きな強みです。

  • 地域で大人気の「農高祭」

    生徒たちが作った農産物や加工品を販売する文化祭「農高祭」は、毎年多くの人で賑わう名物イベントです。自分たちの学びの成果を社会に発信する貴重な経験ができます。

  • 都立で唯一の「服飾科」

    ファッションに興味がある人にとって、服飾デザインや製作を専門的に学べる服飾科は都立高校で唯一の存在です。3年間の集大成としてファッションショーも開催します。

  • 充実した実習施設と複数の農場

    校内の施設のほかに、「神代農場」など複数の実習農場を所有しており、充実した環境で学ぶことができます。JGAP認証を取得するなど、食の安全や環境保全にも配慮した先進的な農業教育が行われています。

東京都立農業高等学校の口コミ・評判のまとめ

東京都立農業高等学校には、専門的な学びを求める生徒たちから多くのポジティブな声が寄せられています。一方で、専門高校ならではの注意点もいくつかあるようです。

  • 良い点:

    • 「将来の夢が明確な人には最高の環境。同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨できる」

    • 「実習が多く、座学だけでは得られない実践的なスキルが身につくのが楽しい」

    • 「先生方はその道のプロで、専門的な知識を親身に教えてくれる」

    • 「農高祭などの行事は、自分たちの学びの成果を発表できるのでやりがいがある」

    • 「資格がたくさん取れるので、進学や就職に有利だと感じる」

  • 気になる点:

    • 「駅から近いのは良いが、広大な敷地なので校内の移動が少し大変」

    • 「実習では土や虫に触れる機会が多いので、苦手な人には向かないかもしれない」

    • 「専門分野の勉強が合わないと、授業についていくのが大変になる可能性がある」

    • 「普通科の高校と比べると、大学の一般受験に向けた科目の授業は少ない傾向がある」

アクセス・通学

東京都立農業高等学校は、交通の便が非常に良い場所にあります。

  • 最寄り駅からのアクセス

    • 京王線 「府中駅」から徒歩約5分

    • JR武蔵野線 「北府中駅」から徒歩約12分

    • JR南武線・武蔵野線 「府中本町駅」から徒歩約15分

    • JR中央線 「国分寺駅」南口から京王バス(寺91 府中駅行き)で約20分、「農業高校前」下車、徒歩1分

府中市、国分寺市、小金井市、国立市、調布市など、多摩地区を中心に、23区内からも多くの生徒が通学しています。駅からのアクセスが良いため、幅広いエリアから通いやすいのが特徴です。

東京都立農業高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

東京都立農業高等学校を目指す皆さんへ。この学校は、「何かを専門的に学びたい」「好きなことを仕事にしたい」という強い気持ちを持っている人に、最高の環境を提供してくれます。普通科の高校とは違い、1年生の時から専門科目の授業や実習が始まります。だからこそ、自分が東京都立農業高等学校のどの学科で、何を学びたいのかを具体的にイメージしておくことが何よりも大切です。

受験勉強では、主要5教科の基礎を固めることはもちろんですが、ぜひ学校説明会や体験入学に積極的に参加してください。実際に学校の雰囲気を感じ、先生や先輩の話を聞くことで、面接で自分の言葉で「なぜこの学校で学びたいのか」を力強く語れるようになります。東京都立農業高等学校は、あなたの「好き」という情熱を受け止め、夢への道を切り拓く手助けをしてくれる学校です。頑張ってください!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。