江戸川女子高等学校は、90年以上の豊かな歴史を誇り、「教養ある堅実な女性の育成」を建学の精神に掲げる伝統ある私立女子校です。ここで学ぶ生徒一人ひとりが、社会に出てからも自分の力で道を切り拓いていける「自立した人」になることを最終目標として、日々の教育が行われています。長い年月をかけて培われてきた品格ある校風は、今も多くの生徒たちに受け継がれています。
しかし、その魅力は伝統だけにとどまりません。特に評価が高い英語教育は、2025年度から「国際英語科」へとさらに進化し、世界を舞台に活躍できる人材の育成に力を注いでいます。充実した海外研修プログラムや独自のカリキュラムを通じて、江戸川女子高等学校は、古き良き伝統を守りながらも、常に未来を見据えた教育を実践しているのです。
勉強、部活動、そして一生の思い出となる学校行事。この学校で、あなたはどのような高校生活を送り、どんな未来を描くのでしょうか。この記事では、江戸川女子高等学校の持つ多面的な魅力を、中学生の皆さんや保護者の方々が具体的にイメージできるよう、詳しく、そして分かりやすくご紹介していきます。
江戸川女子高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 江戸川女子高等学校 |
公立/私立の別 | 私立 |
共学/男子校/女子校の別 | 女子校 |
所在地 | 〒133-8552 東京都江戸川区東小岩5-22-1 |
代表電話番号 | 03-3659-1241 |
公式サイトのURL | https://www.edojo.jp/ |
江戸川女子高等学校の偏差値・難易度・併願校
高校選びで気になるのが、やはり偏差値や難易度ですよね。江戸川女子高等学校は、東京都内でも学力レベルの高い「難関校」の一つに位置づけられています。
学科やコースによって偏差値は異なりますが、複数の受験情報サイトによると、おおむね以下のようになっています。
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普通科Ⅲ類: 67~68
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国際英語科: 66
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普通科Ⅱ類: 64~65
もちろん、偏差値は模試の種類によって多少変動しますが、江戸川女子高等学校を目指すなら、60台後半の学力を目標に設定するのが一つの目安となるでしょう。同じくらいの偏差値の高校としては、国府台女子学院(高等部)、順天(特進コース)、國學院などが挙げられます。これらの学校と江戸川女子を比較検討してみるのも、志望校選びの参考になります。
次に、合格に必要な内申点の目安についてです。ここで一つ注意点があります。インターネットで検索すると「都立江戸川高校」の情報と混同しやすいのですが、こちらは私立の女子校です。都立高校の入試で重視される「換算内申」とは評価の仕方が異なります。私立高校、特に江戸川女子のような難関校の推薦入試を考える場合は、5教科の通知表評価で合計23~25(5段階評価)、9教科で40~42程度が目安となることが多いようです。一般入試では、当日の学力試験の得点が最も重要になります。
多くの受験生が、江戸川女子高等学校と合わせて以下のような学校を併願校として選ぶ傾向があります。
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主な併願校(公立): 小松川高校、国府台高校(千葉県)、小金高校(千葉県)、江戸川高校など
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主な併願校(私立): 中央大学附属高校、専修大学附属高校、東洋高校、豊島学院高校、中村高校など
私立高校なので、東京都の公立高校や千葉県の公立高校、あるいは他の私立高校と自由に組み合わせて受験プランを立てることができます。
江戸川女子高等学校に設置されている学科・コース
江戸川女子高等学校では、入学時から生徒一人ひとりの目標に合わせた専門的な学びができるよう、3つのコースが設置されています。それぞれのコースでどんなことを学び、どんな人におすすめなのか見ていきましょう。
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普通科Ⅲ類
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どんなことを学ぶ場所か:国公立大学や医学部など、最難関大学への現役合格を目指すコースです。大学入学共通テストで高得点を取るために、最大で6教科8科目を深く学びます。
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どんな生徒におすすめか:明確に「国公立大学に進学したい」「医療の道に進みたい」という強い意志を持ち、ハイレベルな学習環境で自分を磨きたい人におすすめです。
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普通科Ⅱ類
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どんなことを学ぶ場所か:早慶上理やGMARCHといった難関私立大学への現役合格に照準を合わせたコース。志望大学の入試科目に特化した効率的なカリキュラムで、着実に実力を伸ばします。
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どんな生徒におすすめか:「あの私立大学で学びたい」という目標があり、受験に必要な科目に集中して取り組みたい人にぴったりです。
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国際英語科
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どんなことを学ぶ場所か:40年近い歴史を持つ英語科が進化。高い英語運用能力に加え、異文化理解を深める「グローバルスタディーズ」などの独自科目が魅力です。多彩な海外研修も用意されています。
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どんな生徒におすすめか:英語が大好きで、将来は海外で活躍したい、あるいは語学力を活かした仕事に就きたいと考えている人に最適なコースです。
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江戸川女子高等学校の特色・校風
学校全体の雰囲気は、「伝統と革新」「文武両道」「面倒見が良い」「落ち着いた雰囲気」といったキーワードで表すことができます。伝統を重んじながらも新しい教育を取り入れ、勉強だけでなく部活動や行事にも真剣に取り組む生徒が多いようです。ここでは、中学生の皆さんが特に気になるポイントを、口コミや評判を基に詳しく見ていきましょう。
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宿題の量は多いか少ないか
多くの在校生や卒業生が「宿題や課題の量は多い」と答えています。これは、高い進学実績を維持するため、日々の学習習慣を確立させるという学校の方針の表れと言えるでしょう。授業の予習・復習はもちろん、週末課題などもあり、計画的に学習を進める力が自然と身につく環境です。
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校則は厳しいか緩やかか
校則は「厳しい」という意見が目立ちます。特に、服装や頭髪、持ち物に関する指導は丁寧に行われるようです。スマートフォンの使用については、校内でのルールが定められており、授業中の使用はもちろん禁止されています。この規律ある環境を「集中して勉強できる」と肯定的に捉える声がある一方で、「もう少し自由がほしい」と感じる生徒もいるようです。自分にとってどちらの環境が合っているか、学校説明会などで雰囲気を感じてみると良いでしょう。
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生徒たちの雰囲気
「真面目で穏やかな生徒が多い」という評判が一般的です。女子校ならではの和気あいあいとした雰囲気で、いじめも少ないという声が多く聞かれます。趣味の合う友達を見つけやすく、お互いを尊重し合える環境のようです。もちろん、活発な生徒もいれば、物静かな生徒もいますが、全体的には落ち着いた校風の中で、安心して学校生活を送れるでしょう。
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アルバイトは可能か
学業に専念することを重視しているため、原則としてアルバイトは認められていないようです。特別な事情がある場合は学校に相談が必要となります。
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制服の評判はどうか
2022年度にリニューアルされた制服は、在校生からも受験生からも非常に評判が高いです。ノーカラーのジャケットが特徴的で、スタイリッシュで洗練されたデザインです。スカートのチェック柄も上品で可愛らしく、夏服にはポロシャツ、冬服にはスラックス(パンツスタイル)も選択できるなど、機能性も考慮されています。
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土曜授業はあるか
はい、土曜日も授業があります。毎週土曜日の午前中に4時限の授業が組まれており、1週間の授業時間数をしっかり確保しています。学習時間を大切にする、江戸川女子の教育姿勢がここにも表れています。
江戸川女子高等学校の部活動・イベント
勉強だけでなく、仲間と共に何かに打ち込む時間も高校生活の大切な一部です。江戸川女子の部活動やイベントには、どんな魅力があるのでしょうか。
部活動
運動部、文化部合わせて約35の部活動があり、多くの生徒が学業と両立させながら熱心に活動しています。特に全国レベルで活躍する部活動もあり、学校全体の活気につながっています。
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放送部
江戸川女子を代表する部活動の一つで、その実績は全国でもトップクラスです。なんと、NHK杯全国高校放送コンテストに19年連続で出場という輝かしい記録を持っています。生徒たちが脚本から撮影、編集まで全てを手がけるドキュメンタリーやラジオドラマは非常にレベルが高く、数々の賞を受賞しています。表現することやメディアの世界に興味がある人には、最高の環境です。
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バトン部
華やかさと高い技術力で知られるバトン部も、全国大会常連の強豪です。文化祭や地域のイベントでのパフォーマンスは常に注目の的。仲間と息を合わせ、一つの演技を創り上げる経験は、協調性や忍耐力を育む貴重な機会となるでしょう。卒業生の中には、部活動で培った経験が社会に出てからも役立っていると語る人もいます。
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弦楽部・吹奏楽部
この二つの音楽系部活動は、後述する学校最大の伝統行事「第九演奏会」でオーケストラ演奏を担当するという重要な役割を担っています。プロのソリストと共演する大舞台を目指して日々練習に励んでおり、非常に高い演奏技術を誇ります。
イベント
江戸川女子の学校生活を彩る、個性的でスケールの大きなイベントをご紹介します。
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かたばみ祭(文化祭)
毎年11月に行われる、学校最大のイベントです。企画から運営まで生徒会が中心となって行い、生徒の自主性が存分に発揮されます。中庭のパティオステージで繰り広げられる各部活動の発表は大変な盛り上がりを見せ、高校2年生が担当する「かたばみ食堂」の食べ物も人気です。クラスごとの研究発表や展示もレベルが高く、日頃の学習の成果を発表する場にもなっています。
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ベートーヴェン第九発表会
これぞ江戸川女子、と言える最もユニークで感動的な伝統行事です。高校1年生全員が、1年間の音楽の授業を通して、ベートーヴェンの交響曲第九番「歓喜の歌」を原語(ドイツ語)で歌えるように練習します。そして学年の終わりには、サントリーホールなどの有名なコンサートホールで、プロのソリストや指揮者を招き、本格的な演奏会を開催するのです。さらに、合唱の男性パートは生徒のお父さんや男性の先生方が担当する「父娘(おやこ)の共演」となっており、会場全体が一体感と感動に包まれます。
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修学旅行・海外研修
高校2年生になると、普通科の生徒はカナダへ8泊9日の修学旅行に出かけます。広大な自然や文化に触れるだけでなく、2泊3日のホームステイも体験でき、生きた英語や異文化を肌で感じる貴重な機会となります。国際英語科の生徒はさらに選択肢が豊富で、ニュージーランド(10週間)、イギリス(4週間)、オーストラリア(2週間)など、多彩な語学研修プログラムから自分の目的に合ったものを選ぶことができます。
江戸川女子高等学校の進学実績
手厚い学習サポートと生徒自身の努力の結果として、江戸川女子高等学校は毎年非常に高い大学進学実績を誇っています。特に国公立大学や難関私立大学、そして医療系の学部への進学に強みを持っています。
以下は、2025年春の最新の大学合格実績(既卒生を含む)の概要です。
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国公立大学:33名合格
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主な合格大学:千葉大学(13名)、東京外国語大学(3名)、筑波大学(2名)、お茶の水女子大学(1名)など。2024年には東京大学への合格者も出ています。
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難関私立大学
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早稲田、慶應義塾、上智、東京理科、ICU:合計65名合格
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GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政):合計155名合格
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医療・看護・薬学系
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医学部医学科:7名合格
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薬学科:27名合格(現役生)
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看護学科:40名合格(現役生)
この数字は、理系、特に将来医療の道に進みたいと考えている生徒へのサポートが非常に手厚いことの証明です。
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これらの素晴らしい実績を支えているのが、学校独自の進路指導プログラムです。夏休みや冬休みには希望者向けのハイレベルな講習が開かれ、高校2年生の冬には進路指導課の先生と全生徒が「進路面接」を行い、一人ひとりの目標を明確にします。また、卒業生が自らの受験体験を綴った冊子「現役合格へのパスポート」は、先輩の成功例や失敗談から具体的に学べる貴重な資料として、後輩たちに受け継がれています。
江戸川女子高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、江戸川女子ならではの強みやユニークな取り組みを7つのポイントにまとめました。
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日本の伝統文化に触れる情操教育
高校の授業とは別に、茶道、筝、華道といった日本の伝統文化を学ぶ時間が設けられています。礼儀作法や美しい所作を身につけることで、豊かな感性と品性を育みます。
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一生の宝物になる「第九演奏会」
30年以上続く学校最大の伝統行事。高校1年生全員がドイツ語で第九を歌い、父親や先生方と共にサントリーホールなどの大舞台に立つ経験は、他では決して味わうことのできない感動的な体験です。
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世界へ羽ばたく本格的な国際英語プログラム
40年の歴史を持つ英語科を母体とする「国際英語科」では、長期の海外研修が選択できるなど、真のグローバル人材を育成するための環境が整っています。
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一人ひとりの夢を叶える、きめ細やかな進路指導
個人面接や特別講習はもちろん、卒業生が残すリアルな体験談集など、生徒一人ひとりの志望校合格を全力でバックアップする体制が整っています。
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「自立」を育む生徒主体の学校行事
文化祭である「かたばみ祭」は、企画から運営まで生徒会が中心となって作り上げます。イベントを成功させる過程で、計画性や協調性、リーダーシップなど、社会で役立つ実践的な力が養われます。
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医療系に強い、充実した理系教育
医学部や薬学部、看護学部への高い進学実績が示す通り、理系科目のサポートが非常に手厚く、将来医療分野で活躍したい生徒にとって最適な環境です。
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安心して学びに集中できる女子校という環境
落ち着いた雰囲気の中、生徒たちは伸び伸びと学校生活を送っています。同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨し、深い友情を育むことができるのも女子校ならではの魅力です。
江戸川女子高等学校の口コミ・評判のまとめ
実際に通っている生徒や卒業生、その保護者からはどのような声が寄せられているのでしょうか。良い点と、少し気になる点を公平にご紹介します。
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良い点
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「先生方のサポートが手厚い」という声が非常に多いです。授業で分からないことがあれば、休み時間や放課後に親身になって教えてくれる先生が多く、生徒との距離が近いようです。
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「目標が高い友達に囲まれて、勉強へのモチベーションが上がる」という意見もあります。真面目に学習に取り組む生徒が多いため、大学受験に向けて集中できる環境が整っています。
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「いじめが少なく、安心して通える」という評判も目立ちます。穏やかな生徒が多く、規律が保たれているため、保護者からも信頼されています。
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「施設が綺麗で快適」特にトイレなどが清潔に保たれている点や、ヨーロッパの古城をイメージした美しい校舎を評価する声もあります。
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気になる点
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最も多く聞かれるのが「校則が厳しい」という点です。服装や頭髪に関する規則が細かく、窮屈に感じたり、「キラキラした女子高生ライフ」をイメージしているとギャップを感じたりする生徒もいるようです。
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「課題が多くて大変」という声も少なくありません。高い学習レベルを維持するため、日々の予習・復習が欠かせず、勉強についていくのが大変だと感じることもあるようです。
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「先生によって指導の質に差がある」という意見も一部で見られます。熱心な先生が多い一方で、相性が合わないと感じるケースもあるようです。
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中学からの内部進学生と高校からの入学生との間に、少し雰囲気の違いを感じるという声も聞かれます。これは多くの中高一貫校に共通する点かもしれません。
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アクセス・通学
江戸川女子高等学校への主なアクセス方法は以下の通りです。
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JR総武線「小岩駅」から徒歩約10分
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京成線「江戸川駅」から徒歩約15分
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京成バス「南小岩八丁目」バス停からもアクセス可能です。
通学している生徒のエリアを見ると、興味深い特徴があります。学校が江戸川を挟んで千葉県と隣接しているため、実は東京都内から通う生徒よりも、千葉県から通学してくる生徒の方が多い傾向にあります。都内では、地元の江戸川区の生徒が多く通っています。JR総武線を利用すれば、千葉駅からは約28分、船橋駅からは約13分とアクセスも良好です。
江戸川女子高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、江戸川女子高等学校を目指す皆さんへメッセージを送ります。
江戸川女子高等学校は、「将来こんなことを学びたい」「こんな自分になりたい」という明確な目標を持ち、その実現のために努力を惜しまないあなたにぴったりの学校です。先生方の手厚いサポートと、同じ志を持つ仲間に囲まれた環境は、あなたの夢を力強く後押ししてくれるでしょう。受験勉強では、奇をてらった問題よりも、まずは教科書レベルの基礎を完璧に固めることを意識してください。江戸川女子高等学校が求めているのは、しっかりとした学力の土台です。
ドイツ語で第九を歌うという特別な経験、世界に視野を広げる海外研修、そして仲間と一つの目標に向かって努力する日々。この学校には、あなたを「自立した素敵な女性」へと成長させてくれる、かけがえのない3年間が待っています。自分の可能性を信じて、挑戦してください。心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。