山口県熊毛郡田布施町にある田布施農工高等学校は、農業と工業の専門知識と技術を深く学べるユニークな高校です。前身である田布施農業高等学校と田布施工業高等学校の長い歴史と伝統を受け継ぎ、平成22年に新たな専門高校としてスタートしました。地域社会で活躍できる将来の職業人を育てることを目指し、生徒一人ひとりの夢の実現を力強くサポートしています。

田布施農工高等学校の最大の魅力は、農業科と工業科が同じキャンパスで学ぶことで生まれる、分野を超えた連携と探求活動にあります。 生徒たちはそれぞれの専門分野を究めるだけでなく、互いの知識や技術に触れることで、新しい価値を創造する力を養います。充実した実習設備と、地域と連携した実践的な学びの機会が豊富に用意されていることも、この田布施農工高等学校ならではの特長です。

この記事では、そんな田布施農工高等学校について、偏差値や学科の特色、部活動、学校生活の様子などを、進学アドバイザーの視点から分かりやすく解説していきます。専門的なスキルを身につけ、地域や産業の未来を担いたいと考えている中学生の皆さんにとって、きっと魅力的な選択肢の一つになるはずです。

田布施農工高等学校の基本情報

項目 内容
正式名称 山口県立田布施農工高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒742-1502 山口県熊毛郡田布施町大字波野10195番地
代表電話番号 0820-52-2157
公式サイト https://www.tabuse-at.ysn21.jp/

田布施農工高等学校の偏差値・難易度・併願校

田布施農工高等学校の偏差値は、各学科ともに44程度とされています。 これは山口県内の高校の中では、比較的入学しやすいレベルと言えるでしょう。しかし、専門的な知識や技術を学ぶ意欲が重視されるため、単に学力だけでなく、各学科への興味・関心が合格の鍵となります。

合格に必要な内申点の目安としては、中学3年間の評定合計が135点満点中、70点台後半から80点台あたりが一つの目標となりそうです。ただし、これはあくまで目安であり、部活動での実績や生徒会活動なども考慮される場合があります。田布施農工高等学校を目指すなら、日々の授業に真剣に取り組み、基礎学力をしっかりと身につけておくことが大切です。

山口県の公立高校入試では、原則として1校1学科しか出願できません。 そのため、田布施農工高等学校を第一志望とする場合、併願校は私立高校から選ぶことになります。近隣の私立高校としては、柳井市にある柳井学園高等学校などが候補に挙がることが多いようです。

田布施農工高等学校に設置されている学科・コース

田布施農工高等学校には、農業に関する3つの学科と工業に関する1つの学科、合計4つの専門学科が設置されています。 それぞれの学科で、未来のスペシャリストを目指すための特色ある学びが展開されています。

  • 生物生産科

    • どんなことを学ぶ場所か:作物の栽培や家畜の飼育を通して、安全・安心な農産物づくりに必要な知識と技術を学びます。

    • どんな生徒におすすめか:植物を育てたり、動物の世話をしたりするのが好きで、農業の未来を支えたい人におすすめです。

  • 食品科学科

    • どんなことを学ぶ場所か:パンやジャムなどの食品製造から、成分分析、微生物の利用まで、食に関する幅広い知識と技術を実践的に学びます。

    • どんな生徒におすすめか:料理やお菓子作りが好きで、食品開発や品質管理の仕事に興味がある人におすすめです。

  • 都市緑地科

    • どんなことを学ぶ場所か:環境保全や防災に配慮したまちづくりを目指し、測量や造園デザインなどの知識と技術を学びます。

    • どんな生徒におすすめか:自然や環境問題に関心があり、快適で安全な地域づくりに貢献したい人におすすめです。

  • 機械制御科

    • どんなことを学ぶ場所か:最新のコンピュータ制御工作機械や3Dモデリングソフトなどを使い、デジタル技術を活用した「ものづくり」を学びます。

    • どんな生徒におすすめか:ロボットや機械いじりが好きで、新しい技術を使ってアイデアを形にしたい人におすすめです。

田布施農工高等学校の特色・校風

田布施農工高等学校は、「地域に根ざした実践教育」と「専門性を究める探求心」を大切にする校風です。生徒たちは、それぞれの専門分野の学習に真剣に取り組む一方で、学校行事や部活動にも活発に参加し、充実した高校生活を送っています。

口コミなどを見ると、「専門的な実習が多くて楽しい」「資格取得のサポートが手厚い」といった声が多く聞かれます。宿題の量は学科や時期によって差があるようですが、専門科目の予習・復習は欠かせないようです。校則については、頭髪や服装に関する指導はありますが、他の高校と比較して特別厳しいという意見は少ないようです。スマートフォンの使用については、校内でのルールを守ることが求められます。

生徒たちの雰囲気は、真面目で落ち着いている生徒が多い一方で、実習や部活動では活発に意見を交わすなど、メリハリのある様子がうかがえます。アルバイトは原則として許可制となっていることが多いようです。制服はブレザータイプで、ボトムスはスカートとスラックス、胸元はネクタイとリボンから選べるため、自分らしい着こなしができると評判のようです。 土曜授業は基本的にありませんが、行事や実習などで登校日となる場合があります。

田布施農工高等学校の部活動・イベント

部活動

田布施農工高等学校は部活動が非常に盛んで、多くの生徒が文武両道を目指して活動に励んでいます。 運動部、文化部ともに充実しており、学科や性別を問わず、誰でも好きな部活動に参加できます。

特に、レスリング部、アーチェリー部、柔道部、そして文化系のメカトロ研究部は全国大会に出場するほどの強豪として知られています。 メカトロ研究部は、ロボット相撲やロボットアメリカンフットボールなどの大会で全国優勝や入賞の実績があり、高度なものづくり技術を競い合っています。 また、農業高校ならではの活動として、全校生徒が所属する「農業クラブ」があり、プロジェクト発表や各種競技会などを通して、日頃の学習成果を深めています。

イベント

田布施農工高等学校では、生徒たちの手で作り上げる多彩なイベントが年間を通して開催されます。中でも最大のイベントは、毎年11月に行われる「農工祭」(文化祭)です。 この日、生徒たちは実習で生産した野菜や果物、ジャムやパンなどの加工品を販売します。 特に食品科学科が製造する商品は毎年大人気で、長蛇の列ができるほどです。

体育祭(クラスマッチ)も大きな盛り上がりを見せるイベントの一つです。 クラス対抗で様々な競技に熱中し、クラスの団結力を高めます。修学旅行は例年、東京方面を訪れ、都会の文化や最先端の技術に触れる貴重な機会となっています。 この他にも、春の田植えを祝う「さのぼり」など、農業高校の伝統を受け継ぐユニークな行事も行われています。

田布施農工高等学校の進学実績

田布施農工高等学校の卒業生は、専門高校で培った知識と技術を活かし、多方面で活躍しています。進路は就職と進学がおよそ半々で、それぞれの希望に応じた手厚いサポートが行われています。

大学進学では、地元の山口大学をはじめとする国公立大学や、各種私立大学への合格実績があります。特に、農業系や工業系の学部に進学する生徒が多い傾向にあります。また、専門学校へ進学し、さらに高度な専門技術を身につける生徒も少なくありません。

就職に関しては、県内を中心に製造業、建設業、食品関連産業、農業法人など、幅広い分野の企業から求人が寄せられています。公務員を目指す生徒もおり、特に都市緑地科では消防・警察・自衛官などの公務員試験対策にも力を入れています。 多くの生徒が在学中に危険物取扱者やボイラー技士、各種技能検定など、将来に役立つ多くの資格を取得しており、それが就職活動においても大きな強みとなっています。

田布施農工高等学校の特長・アピールポイント

田布施農工高等学校には、他の高校にはないユニークな魅力がたくさんあります。

  • 農業と工業の連携学習

    • 農業科と工業科が同じキャンパスにある強みを活かし、学科の垣根を越えた連携授業や課題研究が行われています。

  • 全国で唯一、酒造りが学べる

    • 食品科学科では、校内で栽培した米を使い、日本酒「滄桑(そうそう)」を醸造しています。これは全国の高校で唯一の取り組みです。

  • 最新のデジタルものづくり設備

    • 機械制御科には、5軸数値制御機械など、県内でもトップクラスの最新設備が整っており、高度なデジタルものづくりを学ぶことができます。

  • 地域と深く連携した実践教育

    • 地域の小学校と連携した「ものづくり出前授業」や、地元のイベントへの参加など、地域社会に貢献しながら実践的に学ぶ機会が豊富です。

  • 豊富な資格取得サポート

    • 各学科に関連する専門的な資格から、漢字検定や英語検定などの共通資格まで、幅広い資格取得を学校全体で強力にバックアップしています。

  • 活気あふれる「農工祭」

    • 生徒が育てた農産物や手作りの加工品が並ぶ文化祭は、地域住民も楽しみにしている一大イベントで、実践的な学びの集大成の場となっています。

  • 全国レベルで活躍する部活動

    • レスリング部やメカトロ研究部など、全国の舞台で輝かしい実績を誇る部活動があり、高いレベルで文武両道を目指せる環境です。

田布施農工高等学校の口コミ・評判のまとめ

田布施農工高等学校に関する口コミをまとめると、専門的な学びや実践的な活動に対する高い評価が目立ちます。

  • 良い点:

    • 「実習が多く、座学だけでは学べない専門的な技術が身につく」という声が多数あります。

    • 「先生方が親身になって資格取得の指導をしてくれるので心強い」といった、サポート体制への評価も高いようです。

    • 「農工祭などの行事は生徒が主体となって作り上げるので、とてもやりがいがある」という意見も見られます。

    • 「専門分野が同じ仲間と切磋琢磨できる環境が良い」と、友人関係に満足している声も多いです。

    • 「就職率が良く、地元企業へのコネクションも強い」という点は、保護者からも評価されています。

  • 気になる点:

    • 「専門科目の勉強は予習・復習が大変で、楽ではない」という声もあります。専門性を高めるためには、相応の努力が必要なようです。

    • 「最寄り駅から少し歩くので、雨の日は少し大変」といった、アクセスに関する意見が一部で見られます。

    • 「普通科目に比べて専門科目の比重が大きいため、大学進学を目指す場合は自分で普通科目をしっかり勉強する必要がある」という指摘もあります。

アクセス・通学

田布施農工高等学校への主なアクセス方法は以下の通りです。

  • 最寄り駅:JR山陽本線「田布施駅」

    • 田布施駅から学校までは、徒歩で約6〜8分です。 駅を出て西へ進み、踏切を渡った先にあります。

通学エリアとしては、地元の田布施町、隣接する光市、柳井市、平生町、上関町などから通う生徒が多いようです。また、JR山陽本線を利用して、熊毛郡や周南市方面から通学する生徒もいます。

田布施農工高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

田布施農工高等学校は、「将来、専門的な知識や技術を身につけて社会で活躍したい」という明確な目標を持っている君に、まさにぴったりの学校です。農業や工業の分野に少しでも興味があるなら、この学校での3年間は、君の可能性を大きく広げる貴重な時間になるでしょう。特に、実験や実習、ものづくりが好きな生徒にとっては、毎日が発見と喜びに満ちた、最高の学びの場となるはずです。

受験勉強においては、まず中学校の5教科の基礎を固めることが何よりも大切です。苦手科目を作らないように、バランス良く学習を進めましょう。その上で、田布施農工高等学校がどのような人材を求めているか(アドミッション・ポリシー)を学校の公式サイトなどで確認し、面接で自分のやる気や将来の夢をしっかりと伝えられるように準備しておくことをお勧めします。君の「好き」を「強み」に変える挑戦を、心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。