石川工業高等専門学校、通称「石川高専」は、未来のエンジニアや技術者を夢見る君にとって、最高のスタートラインとなる特別な場所です。一般的な高校とは一線を画す5年一貫の教育課程を持ち、中学を卒業したその瞬間から、大学レベルの専門的な学びに触れることができます。ここは、単に知識を詰め込む場所ではなく、自らの手でアイデアを形にし、社会に貢献する力を育むための、いわば「若き技術者のための大学キャンパス」なのです。

この場所では、自由な校風の中で、学生一人ひとりの個性が尊重されます。全国から集まる同じ志を持った仲間たちと、時には助け合い、時には競い合いながら、5年間という長い時間を共に過ごします。その中で育まれる友情は、一生涯の宝物となるでしょう。石川工業高等専門学校が提供するのは、専門知識だけではありません。自主性、協調性、そして未来を切り拓くための強い意志を育む、かけがえのない時間なのです。

この記事では、そんな石川工業高等専門学校の魅力を、進学アドバイザーの視点から、中学生の皆さんや保護者の方々にも分かりやすく、具体的にお伝えしていきます。偏差値や入試のことから、学校生活のリアルな様子、そして卒業後の輝かしい未来まで、皆さんが本当に知りたい情報を余すところなくまとめました。ぜひ、最後まで読んで、自分の未来の姿を想像してみてください。

石川工業高等専門学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。正式名称や所在地などを表にまとめました。

項目 内容
正式名称 独立行政法人国立高等専門学校機構 石川工業高等専門学校
公立/私立の別 国立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒929-0392 石川県河北郡津幡町北中条タ1
代表電話番号 076-288-8000
公式サイトのURL https://www.ishikawa-nct.ac.jp/

石川工業高等専門学校の偏差値・難易度・併願校

石川工業高等専門学校への進学を考える上で、最も気になるのが学力的な難易度でしょう。ここでは、偏差値や合格に必要な内申点の目安、そして多くの受験生が併願する学校について詳しく解説します。

偏差値

石川工業高等専門学校の偏差値は、設置されている5つの学科すべてで「66」とされています。これは全国の工業高等専門学校の平均偏差値である62.2を上回る数値であり、石川県内でもトップクラスの難易度を誇ります。

難易度と内申点の目安

偏差値66という数字は、県内の進学校と比較しても高いレベルです。例えば、私立の星稜高校のAコース(偏差値67)や、金沢高校のSコース(偏差値64)などが、学力的に近い目標となります。

合格を勝ち取るためには、入試当日の学力試験が重要であることはもちろんですが、中学校での成績、つまり「内申点」も非常に大切です。特に、推薦入試での合格を目指す場合は、内申点が合否を大きく左右します。

具体的な目安としては、9教科の評定平均で4.0以上、できれば4.5近くあると安心できるラインと言われています。推薦入試の出願条件の一つに「在籍中学校での成績が上位20%以内」といった基準が設けられることもあるため、日々の授業に真剣に取り組み、定期テストで安定して高得点を取ることが、石川工業高等専門学校への道を拓く鍵となります。この学校が求めるのは、テストの点数だけでなく、継続的に努力できる学習姿勢を持った生徒なのです。

主な併願校

石川高専は国立の学校であるため、石川県の公立高校入試とは別の日程で試験が行われます。そのため、多くの受験生は滑り止めとして私立高校を併願します。主な併願先としては、偏差値が近い次の高校が挙げられます。

  • 星稜高等学校(特にAコース)

  • 金沢高等学校(Sコースや特進コース)

  • 小松大谷高等学校

  • 北陸学院高等学校

これらの私立高校の合格を確保した上で、本命の石川高専の試験に臨むのが一般的な受験パターンとなっています。

石川工業高等専門学校に設置されている学科・コース

石川工業高等専門学校には、未来の産業を支える5つの専門学科が設置されています。それぞれの学科がどんなことを学び、どんな人におすすめなのか、見ていきましょう。

  • 機械工学科

    ものづくりが好きで、自分のアイデアを形にしたい人におすすめ!機械が動く仕組みや材料について深く学び、設計から製作まで、創造力あふれる技術者を目指します。

  • 電気工学科

    私たちの生活を支える電気の力に興味がある人におすすめ!エネルギーや通信、情報技術まで幅広く学び、社会に不可欠な電気システムの専門家を目指します。

  • 電子情報工学科

    未来のIT社会を創造したい、システムクリエイター志望の人におすすめ!電子工学と情報工学を融合させた最先端技術を学び、新しいサービスやシステムを生み出す力を養います。

  • 環境都市工学科

    安全で快適な街づくりに貢献したい人におすすめ!道路や橋などの社会インフラを計画・設計する技術を学び、自然と調和した持続可能な社会の実現を目指します。

  • 建築学科

    人が集う空間や美しい建物をデザインしたい人におすすめ!建築の基礎からコンピュータを使った設計技術までを学び、機能的で創造性豊かな建築家・技術者を目指します。

石川工業高等専門学校の特色・校風

石川工業高等専門学校の最大の魅力の一つは、その独特の校風にあります。キーワードで表すなら、「自由闊達」「自主自立」「大学のような雰囲気」「個性の尊重」といった言葉がぴったりです。

学校生活のリアル

中学生の皆さんが気になる学校生活の具体的なポイントについて、在校生や卒業生の口コミを基に詳しく見ていきましょう。

  • 宿題の量

    「宿題はあまり多くない」という声が多数です。その分、授業内容をしっかりと理解することが求められます。授業は1コマ90分制で、大学の講義と同じスタイル。1日に学ぶ教科数が少ないため、一つ一つの学びに深く集中できる環境です。

  • 校則(スマホ、服装など)

    校則は非常に緩やかで、生徒の自主性が尊重されています。制服はなく、私服での通学が認められており、髪型や持ち物についても厳しい規則はほとんどありません。スマートフォンの扱いも自由で、授業によっては調べ物や小テストで活用することもあるなど、単なる通信機器ではなく学習ツールとして捉えられています。

  • 生徒たちの雰囲気

    「いろんなタイプの学生がいて、お互いを尊重し合う雰囲気がある」と言われています。共通しているのは、何かしら「ものづくり」や特定の技術分野への強い探究心を持っていること。個性豊かな仲間たちと刺激し合いながら、のびのびと学生生活を送ることができます。

  • アルバイト

    原則として禁止されていますが、長期休業中(夏休みなど)であれば、学校に申請し許可を得ることで可能です。ただし、2年生以上であること、学業に支障がないこと、高校生としてふさわしい職種であることなどの条件があります。

  • 制服の評判

    前述の通り、制服はありません。自由な服装が認められていることが、大学のような雰囲気を一層強めています。

  • 土曜授業

    基本的に土曜授業はありません。週末は部活動に打ち込んだり、自分の研究に没頭したりと、自由に時間を使うことができます。

この自由な環境は、裏を返せば「自己管理能力」が問われるということでもあります。テストの合格ラインは1〜3年生で50点、4〜5年生では60点と、一般的な高校に比べて高く設定されています。単位を落とすと留年(進級できないこと)の可能性もあるため、自由を満喫しつつも、学ぶべきことはしっかり学ぶというメリハリが大切になります。

石川工業高等専門学校の部活動・イベント

5年間という長い学生生活を彩る部活動や学校行事も、石川高専の大きな魅力です。

部活動

運動部、文化部合わせて28以上の団体があり、非常に活発に活動しています。高校の大会はもちろん、高専生だけが参加する「高専大会」や、大学生のリーグに参加することもあり、5年間を通して高いレベルで活動を続けられるのが特長です。

  • 運動部

    サッカー部、野球部、バスケットボール部、陸上競技部など、多くの運動部が全国高専大会への出場を目指して日々練習に励んでいます。特に陸上競技部やバドミントン部などは、地区大会で優秀な成績を収める強豪として知られています。

  • 文化部

    文化部も多彩なラインナップです。吹奏楽部や美術・デザイン部といった定番の部活に加え、高専ならではのユニークな部も存在します。

  • 特に有名な部活動:ロボット研究部

    石川高専の顔とも言えるのが「ロボット研究部」です。テレビでも放送される「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)」の常連校であり、地区大会での優勝や全国大会準優勝など、輝かしい実績を誇ります。学生たちが自らの知識と技術を結集させて独創的なロボットを製作し、競技に挑む姿は、まさに高専生の探究心の象徴です。

イベント

石川高専では、クラスや学年の垣根を越えて盛り上がるイベントが年間を通して盛りだくさんです。

  • 紀友祭(きゆうさい)

    毎年秋に2日間にわたって開催される学園祭で、石川高専最大のイベントです。企画から運営まで、すべて学生主体の実行委員会が行います。各クラスや部活動による趣向を凝らした模擬店や展示、ステージでのダンスやライブパフォーマンス、名物のミスター&ミスコンテストなど、キャンパス中が熱気に包まれます。フィナーレには盛大な打ち上げ花火もあり、地域住民も多く訪れる一大イベントとなっています。

  • 球技大会

    春と秋の年2回、クラス対抗の球技大会が開催されます。サッカー、バスケットボール、バドミントンなど、様々な種目で優勝を目指して白熱した戦いが繰り広げられます。学年や学科が混ざったクラスで団結力を高める絶好の機会です。

  • 研修旅行・合宿

    学年ごとに特色ある研修旅行が用意されています。1年生では入学後すぐに行われる合宿研修で、新しい仲間との絆を深めます。4年生になると、数日間にわたる研修旅行で企業や研究施設を訪問し、社会の第一線で活躍する技術に触れることで、自らの将来像をより具体的に描くことができます。

石川工業高等専門学校の進学実績

石川工業高等専門学校の卒業生は、社会から即戦力として高く評価されており、その進路は大きく分けて「就職」と「進学」の2つに分かれます。卒業生の約半数が就職し、残りの半数が大学への編入や専攻科への進学を選んでおり、ほぼ100%という驚異的な進路決定率を誇ります。

就職実績

高専生の強みは、5年間で培った高度な専門知識と実践的な技術力です。そのため、企業からの評価が非常に高く、求人倍率は20倍を超えることもあります。これは、一人の学生に対して20社以上から採用のオファーがあるということであり、まさに「引く手あまた」の状態です。地元北陸の優良企業から、全国的に有名な大手企業、官公庁まで、幅広い分野で卒業生が活躍しています。

学科 主な就職先(一部抜粋)
機械工学科 コマツ、川崎重工業、SUBARU、ヤマハ発動機、ファナック、村田製作所、YKK
電気工学科 北陸電力、関西電力、中部電力、JR西日本、JR東海、三菱電機、パナソニック、京セラ
電子情報工学科 NTTデータ、EIZO、ソニー、スクウェア・エニックス、サイバーエージェント、NEC
環境都市工学科 国土交通省、石川県庁、金沢市役所、NEXCO中日本、清水建設、大成建設
建築学科 大林組、鹿島建設、竹中工務店、大和ハウス工業、NTTファシリティーズ、石川県庁

進学実績

高専卒業後の進学の最大の特長は、4年制大学の「3年次」に編入学できる制度があることです。これは、高専での5年間の学びが、大学の1・2年次の教養課程および専門基礎科目に相当すると認められているためです。一般的な大学受験(共通テストなど)を経ずに、より専門性の高い大学の環境へスムーズに移行できる、非常に有利な進路です。

進学先は、本校に設置されている2年制の「専攻科」に進み、さらに学びを深めて学士(大卒相当)の学位取得を目指す道と、全国の国公立大学へ編入する道があります。

分類 主な進学先大学(一部抜大きな)
国公立大学 金沢大学、豊橋技術科学大学、長岡技術科学大学、福井大学、富山大学、北海道大学、東北大学、筑波大学、千葉大学、東京工業大学、大阪大学、京都工芸繊維大学など
私立大学 立命館大学、早稲田大学など

このように、石川工業高等専門学校は、安定した優良企業への就職と、難関大学への進学という、2つの輝かしい道を同時に目指せる、非常に恵まれた環境と言えるでしょう。

石川工業高等専門学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、石川工業高等専門学校ならではの強みやユニークな取り組みを7つのポイントにまとめました。

  • 5年一貫の専門教育で、好きなことをとことん究められる

    中学卒業後すぐに専門分野の学習をスタート。5年間かけてじっくりと、普通高校では決して得られない高度な知識と技術を身につけることができます。

  • 「就職」と「大学編入」を選べる、未来への二刀流

    卒業時には、大手企業への就職か、国公立大学への編入か、自分の適性や夢に合わせて最適な進路を選べます。この選択肢の広さが最大の強みです。

  • 制服なし、校則も緩やか。自由と責任を学ぶ大学のような校風

    生徒を大人として扱い、自主性を尊重する校風です。この自由な環境の中で、自己管理能力と社会で通用する責任感を自然と養うことができます。

  • ロボコンに代表される、実践的な「ものづくり」体験

    座学だけでなく、実験や実習、プロジェクト活動が豊富です。ロボットコンテストなどの大会に挑戦する中で、知識を「使える技術」へと昇華させることができます。

  • 寮生活や学生主体の行事で育まれる、一生モノの絆

    全校生徒の約4分の1が生活する学生寮や、学生が主体となって創り上げる学園祭などを通して、学年や学科を越えた固い友情と協調性が育まれます。

  • 求人倍率20倍以上!圧倒的な就職実績

    社会からの高い評価を背景に、就職率はほぼ100%。希望する業界や企業への就職が、非常に高い確率で実現します。

  • 共通テストなしで難関大学へ。有利な大学編入制度

    高専生のための特別な編入制度を利用して、多くの先輩が全国の有名国公立大学の3年生として進学しています。受験勉強に縛られず、専門性を高めながら大学進学を目指せます。

石川工業高等専門学校の口コミ・評判のまとめ

実際に通っている在校生や卒業生の声は、学校選びの貴重な参考になります。ここでは、様々な口コミを公平にまとめました。

良い点

  • 「大学みたいで本当に自由。自分の好きな研究や趣味に没頭できる時間がたくさんあるのが最高です。」

  • 「将来やりたいことが決まっている人にとっては、これ以上ない環境。専門的なことを1年生から学べるのが楽しい。」

  • 「就職にも進学にも強いので、将来に対する安心感がすごい。先生方のサポートも手厚い。」

  • 「紀友祭(文化祭)や球技大会が本気で盛り上がる。クラスの団結力が強まるし、最高の思い出になる。」

  • 「90分授業は慣れると楽。1日の科目数が少ないので、カバンも軽いし、一つのことに集中しやすい。」

  • 「個性的な人が多くて面白い。お互いの趣味や考えを尊重しあえる雰囲気がある。」

気になる点

  • 「自由な分、自分で勉強の計画を立てないとすぐにおいていかれる。留年の制度が厳しいので、自己管理ができないとつらいかも。」

  • 「5年間クラス替えがないので、最初の友達作りがうまくいかないと、少し孤独を感じることがあるかもしれない。」

  • 「学校の周りにはお店などが少なく、少し不便。寮に入らない場合、通学に時間がかかる人もいる。」

  • 「先生によって授業の進め方や厳しさにかなり差があるように感じる。」

  • 「専門科目に興味が持てなくなると、5年間続けるのが精神的にきつくなる可能性がある。」

アクセス・通学

石川工業高等専門学校への通学方法についてです。

  • 最寄り駅

    JR「津幡駅」が最寄り駅となります。

  • 駅からのアクセス

    津幡駅から学校までは、徒歩で約15分です。

  • 通学エリア

    キャンパスは石川県の津幡町にあり、富山県との県境にも近いです。最寄りの津幡駅はJR七尾線との分岐点になっているため、金沢市や小松市方面からはもちろん、能登方面や富山県からも多くの学生が通学しています。

  • 学生寮「有朋寮(ゆうほうりょう)」

    自宅からの通学が困難な学生のために、キャンパス内に「有朋寮」という学生寮が完備されています。全校生徒の約4分の1にあたる学生が寮生活を送っており、遠方からの入学者にとって心強い存在です。寮での共同生活は、協調性を育み、学年を越えた深い人間関係を築く貴重な機会となっています。

石川工業高等専門学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとう。最後に、進学アドバイザーとして、石川工業高等専門学校を目指す君にエールを送ります。

もし君が、「科学や技術の世界が大好きだ」「普通の勉強よりも、何かを自分の手で作り出すことにワクワクする」と感じているなら、石川工業高等専門学校は君の可能性を無限に広げてくれる場所です。大学まで待たなくても、すぐに専門分野の海に飛び込める。ここは、そんな知的好奇心と探究心にあふれた君を待っています。自主性を重んじる校風なので、人に言われなくても自分で目標を見つけて努力できる、そんな自立心のある生徒に特におすすめです。

受験勉強では、高専の入試で特に重視される「数学」「理科」「英語」の3教科に力を入れて対策を進めましょう。しかし、推薦入試を視野に入れるなら、他の教科も決して疎かにしてはいけません。高いレベルでのバランスの取れた内申点が、君の強力な武器になります。また、生徒会活動や部活動などでリーダーシップを発揮した経験も、自主性を評価する石川工業高等専門学校では大きなアピールポイントになります。未来は、誰かが与えてくれるものではなく、君自身が創り出すもの。この学校で、未来の自分をデザインする第一歩を踏み出してください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。