福島県立白河高等学校は、100年以上の輝かしい歴史を誇り、地域からは親しみを込めて「白高(はっこう)」と呼ばれる、県南地区を代表する伝統校です。創立以来、「質実剛健」の気風のもと、多くの優れた人材を社会に送り出してきました。その名は、単なる進学校というだけでなく、深い学びと人間形成の場として、地域に根付いています。
この学校の神髄は、高い大学進学実績を誇る「進学指導重点校」としての一面と、部活動や学校行事に全力で打ち込む「文武両道」の精神が見事に両立している点にあります。この二つの柱は単なるスローガンではなく、日々の授業編成から週末の過ごし方に至るまで、学校生活のあらゆる場面に息づいています。
この記事では、そんな白河高等学校の魅力を、偏差値や進学実績といったデータから、在校生や卒業生のリアルな声、そして学校生活の細部に至るまで、多角的に掘り下げていきます。この記事が、皆さんとご家族にとって、白河高等学校が本当に自分に合った場所なのかを見極めるための、信頼できる羅針盤となることを願っています。
白河高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 福島県立白河高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒961-0851 福島県白河市南登り町54 |
代表電話番号 | 0248-24-1116 |
公式サイトURL | https://shirakawa-h.fcs.ed.jp/ |
白河高等学校の偏差値・難易度・併願校
白河高等学校の受験を考える上で、最も気になるのが学力的な難易度でしょう。ここでは、偏差値や内申点の目安、そして主な併願校について詳しく見ていきます。
学科・コース | 偏差値(2025-2026年目安) |
理数科 | 65 |
普通科 | 58 |
白河高等学校の大きな特徴は、理数科と普通科の間に見られる偏差値の差です。この約7ポイントの差は、単なる数字以上の意味を持ちます。理数科は学校内で「特別進学クラス」と位置づけられており、県内でもトップクラスの難易度を誇ります。一方、普通科も県南地区ではトップレベルの進学校であり、地域の中学生にとって大きな目標となっています。この学力差は、口コミで見られる「クラスによって生徒の雰囲気が違う」という声の一因にもなっており、入学後の学校生活をイメージする上で重要なポイントです。
難易度の目安
-
同じくらいの偏差値の他の高校
-
理数科(偏差値65前後):県立橘高校(普通科 66)や県立会津高校(普通科 66)などが学力的に近い目標となります。
-
普通科(偏差値58前後):県立福島南高校(情報会計科 58)、県立葵高校(普通科 58)、県立いわき光洋高校(文理科 58)などが同じくらいの難易度の高校として挙げられます。
-
-
合格に必要な内申点の目安
福島県の公立高校入試では、明確な内申点の合格ラインは公表されていません。しかし、過去の合格者のデータを見ると、一つの傾向が読み取れます。合格者の多くは、中学3年間の評定平均が5段階評価で4以上、9教科の合計で38~45/45点の範囲にいるようです。特に、難関の理数科を目指す場合は、40点以上、できれば42~43点以上を安定して取っておくことが望ましいでしょう。もちろん、これはあくまで目安であり、当日の学力検査の得点が最も重要ですが、日々の学習を大切にすることが合格への近道です。
主な併願校
福島県の公立高校入試制度では、基本的に公立高校同士の併願はできません。そのため、白河高等学校を受験する生徒の多くは、滑り止めとして私立高校を併願します。主な併願先としては、以下の学校が人気です。
-
日本大学東北高等学校:充実した施設と、日本大学への内部進学制度が魅力の、県内有数の大規模私立高校です。高いレベルで学習と部活動を両立させたい生徒に人気があります。
-
尚志高等学校:全国レベルのサッカー部をはじめ、部活動が非常に盛んです。多様なコース設定があり、専門的な学びや部活動に打ち込みたい生徒にとって有力な選択肢となります。
これらの私立高校はそれぞれに特色があるため、単に偏差値だけで選ぶのではなく、自分の高校生活のビジョンに合った学校を選ぶことが重要です。
白河高等学校に設置されている学科・コース
白河高等学校には、それぞれの目標に合わせて学べる2つの学科が設置されています。
-
普通科(定員160名)
-
どんなことを学ぶ場所か:国公立大学や私立大学など、幅広い進路希望に対応できるよう、文系・理系ともにバランスの取れたカリキュラムで学びます。基礎学力の定着から応用力の育成まで、着実に力を伸ばせる環境です。
-
どんな生徒におすすめか:大学進学を目標に、勉強と部活動・学校行事を両立させたい生徒に最適です。科内には、より高いレベルを目指す「錬成クラス」と基礎を固める「標準クラス」があり、進級時にクラス替えが行われます。また、近年では「保健・医療コース」も導入され、専門分野への興味にも対応しています。
-
-
理数科(定員40名)
-
どんなことを学ぶ場所か:難関大学への進学を目標とし、数学・理科を中心に高度な内容を学びます。特徴的なのは、文系志望の生徒も受け入れている点で、事実上の「特別進学クラス」として機能しています。大学見学や「理数探究」といった独自の探究学習も充実しています。
-
どんな生徒におすすめか:最難関の国公立大学、医学部、難関私立大学を目指す、高い学習意欲を持つ生徒におすすめです。理系分野に限らず、高いレベルで切磋琢磨したい文系の生徒にとっても最高の環境と言えるでしょう。
-
白河高等学校の特色・校風
白河高等学校の雰囲気を知るためのキーワードは、「文武両道」「質実剛健」「地域一番の進学校」です。伝統を重んじながらも、生徒の自主性を育む校風が根付いています。
-
宿題の量は多いか少ないか
1日7コマ授業ということもあり、日々の予習・復習は必須で、宿題の量も少なくはないようです。特に、週末には計画的な課題が出され、自主的な学習習慣が求められます。進学校ならではの学習量ですが、これをこなすことで着実に学力が身につきます。
-
校則は厳しいか緩やかか
口コミでは「厳しすぎず、緩すぎず、ちょうど良い」という声が多数を占めています。生徒の自主性を尊重する範囲で、高校生らしい品位を保つためのルールが定められているようです。スマホの校内での使用ルールや服装の規定などは、学校説明会で直接確認するのが良いでしょう。
-
生徒たちの雰囲気
「真面目で落ち着いた生徒が多い」という印象の一方で、「面白くて優しい子が多い」という声もあり、多様な生徒が集まっていることがうかがえます。理数科や普通科の錬成クラスは学習意欲が高い生徒が集まり、一方で学校全体としては活発な生徒も多く、クラスや所属する部活動によって雰囲気は少しずつ異なるようです。
-
アルバイトは可能か
進学校という特性上、学業に専念することが推奨されており、原則としてアルバイトは許可されていない可能性が高いです。特別な事情がある場合は、学校への相談が必要になるでしょう。
-
制服の評判はどうか
制服は近年リニューアルされ、特に女子生徒からは「可愛くなった」と評判が良いようです。清楚で知的なデザインは、白高生であることの誇りの一つになっています。
-
土曜授業はあるか
白河高等学校の大きな特色の一つが、土曜授業を原則として実施しない方針を貫いていることです。これは、「文武両道」を真に実現するため、週末は部活動に思う存分打ち込んでほしいという学校側の明確な意図の表れです。この方針により、多くの生徒が部活動に加入し、高いレベルで活動しながらも、9割以上が現役で4年制大学へ進学するという素晴らしい実績につながっています。
白河高等学校の部活動・イベント
部活動
白河高等学校の「文武両道」を象徴するのが、活発な部活動です。多くの生徒が部活動に所属し、学習との両立を見事に果たしています。
運動部は16、文化部は8つあり、その他に同好会も活動しています。特に全国レベルで活躍する部も少なくありません。
-
剣道部:70年以上の歴史を誇る名門です。特に女子はインターハイ連続出場を果たすなど、県内では敵なしの強豪校として知られています。全国大会でもベスト16に入るなど、輝かしい実績を誇ります。
-
自転車競技部:数多くのプロ競輪選手を輩出している伝統ある部活動です。高いレベルで競技に打ち込みたい生徒が集まっています。
-
その他の部活動:弓道部や、元気な挨拶が印象的な野球部なども地域で知られています。陸上部やサッカー部、バレーボール部なども盛んに活動しています。
文化部も、吹奏楽部、書道部、美術部などが学校行事の中心となって活躍しています。どの部も、限られた時間の中で集中して活動し、充実した高校生活を送っています。
イベント
白河高等学校には、生徒たちの心に深く刻まれる、伝統的でユニークな学校行事がたくさんあります。
-
登龍祭(とうりゅうさい):3年に一度、地域の他の高校と持ち回りで開催される大規模な文化祭です。生徒会や文化部によるステージ発表、各クラスの出店などで大変な熱気に包まれます。中でも、白河の街を練り歩く「仮装行列」は圧巻で、この日のためにクラス一丸となって準備を進めます。
-
体育祭・スポーツ大会:7月に行われる校内スポーツ大会や、秋の体育祭では、リレーや大玉送り、綱引きといった種目でクラス対抗の熱戦が繰り広げられます。学年を超えて応援し合い、クラスの団結力が一気に高まる一日です。
-
郡内一周クラス対抗駅伝大会:10月に行われる、白河高校ならではの名物行事です。学校周辺のコースをクラス全員でタスキをつなぐこの駅伝は、体力と精神力が試される過酷なイベントですが、走り終えた後の達成感と仲間との絆は、何物にも代えがたい宝物になります。
-
修学旅行:関西方面などを訪れることが多く、仲間との忘れられない思い出を作る貴重な機会となっています。
白河高等学校の進学実績
県南地区の進学指導重点校として、白河高等学校は毎年安定して高い大学進学実績を誇ります。特に国公立大学への進学率の高さは、この学校の教育力の証です。
進路分類 | 主な進学先大学 | 合格者数(近年の傾向) |
国公立大学 | 東北大学、福島大学、山形大学、新潟大学、茨城大学、福島県立医科大学など | 毎年100名前後 |
難関私立大学(GMARCHなど) | 法政大学、立教大学、中央大学、明治大学、青山学院大学、学習院大学など | 各大学に多数の合格者を輩出 |
その他私立大学 | 日本大学、東洋大学、東北学院大学、白鴎大学など | 多くの生徒が進学 |
主な大学進学実績(2023年~2024年入試の主な合格者数・延べ人数)
-
国公立大学:東北大学(9名)、福島大学(41名)、山形大学(7名)、新潟大学(18名)、茨城大学(5名)、福島県立医科大学(19名)、千葉大学(11名)、埼玉大学(8名)、宇都宮大学(13名)など、東北・関東圏の大学を中心に多数の合格者を出しています。
-
難関私立大学:法政大学(24名)、立教大学(15名)、中央大学(11名)、明治大学(7名)、青山学院大学(7名)など、GMARCH合計で60名以上の合格実績があります。
-
その他:地元の医療を支える白河厚生総合病院附属高等看護学院への進学者や、専門学校、就職など、多様な進路選択も実現しています。
進学実績を支える取り組み
この高い進学実績は、学校の明確な目標設定と手厚いサポート体制によって支えられています。白河高校は「毎年、国公立大学に100名以上合格」という具体的な目標を掲げており、その達成のために、生徒一人ひとりの進路希望に応じたクラス編成やカリキュラムを提供しています。また、課題発見・解決能力を養う「探究活動」に力を入れ、大学での学びにつながる思考力を育成しています。先生方の熱心な個別指導や進路相談も、生徒が安心して受験に臨める大きな支えとなっています。
白河高等学校の特長・アピールポイント
数ある高校の中で、白河高等学校が持つ独自の強みや魅力をまとめました。
-
県南地区を牽引する進学指導重点校
県から「進学指導重点校」に指定されており、質の高い授業と大学進学に向けた手厚いサポート体制が整備されています。
-
「文武両道」を徹底する週末課外なしの方針
あえて土日の課外授業は行わず、生徒が部活動に全力で打ち込める環境を保障しています。これは「文武両道」が単なる理想論ではないことの証明です。
-
理数科という名の「特別進学クラス」
理数科は、理系だけでなく文系の難関大学志望者も受け入れる「特別進学クラス」として機能しており、高いレベルで切磋琢磨できる環境があります。
-
生徒を熱くする伝統の学校行事
3年に一度の「登龍祭」や、名物の「郡内一周駅伝大会」など、他校にはないユニークで大規模な伝統行事が、一生の思い出と強い愛校心を育みます。
-
高い国公立大学進学率と明確な目標
全校生徒の約半数が国公立大学へ進学するという高い実績は、「国公立100名以上」という学校全体の明確な目標によって支えられています。
-
卒業生の先生も多い「白高愛」
教員の中に白河高校の卒業生が多く、母校への強い愛情と誇りを持って生徒一人ひとりに親身に向き合ってくれる、温かい文化があります。
-
未来を拓く「探究活動」の重視
カリキュラムに「総合的な探究の時間」がしっかりと組み込まれており、自ら課題を見つけて解決する力を養うことで、大学以降も通用する主体的な学習者を育てます。
白河高等学校の口コミ・評判のまとめ
ここでは、在校生や卒業生から寄せられたリアルな声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。白河高校の学校生活は、どのクラスに所属し、どう過ごすかによって、感じ方が大きく変わるという特徴があるようです。
良い点
-
「先生方のサポートが手厚い」という声が非常に多く聞かれます。特に大学受験の際には、親身な添削指導や個別相談など、熱心なサポートが受けられるようです。
-
「目標を持った仲間と高め合える環境」である点も高く評価されています。特に理数科や普通科の錬成クラスでは、自然と勉強する雰囲気ができあがっているようです。
-
「学校行事が本当に楽しい」という意見も目立ちます。登龍祭や駅伝大会などを通して、クラスの団結力が強まり、最高の思い出が作れるとの声が多いです。
-
「校則がちょうどよく、制服も可愛い」など、比較的自由で過ごしやすい校風を評価する声もあります。
気になる点
-
「施設が少し古い」という意見が一部で見られます。公立高校であるため、最新の私立高校と比べると見劣りする部分があるかもしれません。
-
「『白高ブランド』のプレッシャーを感じる」という声もあります。地域で一番の進学校であるため、周囲からの期待を負担に感じてしまう生徒もいるようです。
-
「クラスによる学力やモチベーションの差が大きい」という指摘は、この学校を理解する上で重要なポイントです。どのクラスに所属するかで、学習環境や雰囲気が大きく異なると感じる生徒が少なくありません。
-
「一部に心ない生徒や、合わない先生もいる」といった、人間関係に関するネガティブな意見も少数ですが存在します。いじめ対策としてアンケートなどを実施しているとのことですが、これはどの学校でも起こりうる問題として、心に留めておく必要があるでしょう。
アクセス・通学
白河高等学校への通学方法です。
-
電車でのアクセス
-
JR東北本線「新白河駅」から徒歩約15~20分
-
JR東北本線「白河駅」から徒歩約20分
-
-
バスでのアクセス
-
福島交通バス「白河高校」バス停が学校の目の前にあり、新白河駅や白河駅からの路線が利用できます。
-
JRバス関東の白棚線などを利用して、磐城棚倉駅方面から通学する生徒もいます。
-
白河市内だけでなく、西郷村、泉崎村、中島村、矢吹町といった県南地域全域から多くの生徒が通学しています。塙町など、少し遠方の地域からはバスを乗り継いで通学している生徒もいるようです。
白河高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、白河高等学校を目指す皆さんへ応援メッセージを送ります。
白河高等学校は、「高い目標に向かって、勉強も部活も行事も、全部に本気で挑戦したい!」と考える君にこそ、ぴったりの学校です。自主性を重んじる校風なので、自ら学ぶ意欲を持ち、仲間と切磋琢磨しながら成長したいという強い意志があれば、これ以上ないほど充実した3年間が待っています。この学校で得られるのは、大学合格切符だけではありません。一生付き合える仲間と、何事にも全力で取り組む姿勢、そして「白高生」としての誇りです。
受験勉強では、まず5教科の基礎を徹底的に固めましょう。苦手科目を作らないことが合格への鍵です。その上で、さらに高みを目指すなら、特に理数科の特色選抜では数学と英語の得点が1.5倍になるため、この2教科に力を入れると大きな強みになります。白河高等学校で過ごす未来の自分を想像しながら、最後まで諦めずに頑張ってください。応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。