千葉市立稲毛高等学校は、1979年の創立以来、地域社会に貢献する多くの卒業生を送り出してきた歴史ある進学校です。しかし、その歩みは決して止まることなく、2022年には千葉県初の公立中等教育学校を併設し、6年一貫の新たな教育ステージへと進化を遂げました。この大きな変革は、これまでの伝統を大切にしながらも、未来を切り拓く人材を育てるという強い意志の表れと言えるでしょう。
校訓である「真摯・明朗・高潔」の精神は、今も生徒たちの学びの根幹に息づいています。この言葉が示すように、真面目に物事に取り組み、明るく前向きな心を持ち、気高く品格ある人間を目指す教育が、ここ稲毛高等学校では実践されています。グローバル化が進む現代社会で活躍するために必要な、確かな学力と豊かな人間性を育む環境がここにはあります。
この記事では、そんな魅力あふれる稲毛高等学校について、偏差値や校風、部活動、進学実績といった様々な角度から詳しく解説していきます。皆さんが高校選びをする上で、本当に知りたい情報を分かりやすくまとめました。この記事を読み進めることで、きっと稲毛高校での3年間が、どれほど充実したものになるか具体的にイメージできるはずです。
稲毛高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 千葉市立稲毛高等学校・稲毛国際中等教育学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒261-0003 千葉市美浜区高浜3-1-1 |
代表電話番号 | 043-277-4400 |
公式サイトURL | www.city.chiba.jp/school/hs/001/index.html |
稲毛高等学校の偏差値・難易度・併願校
稲毛高等学校の学力レベルは、千葉県内でもトップクラスに位置します。しかし、単に偏差値の数字を見るだけでなく、合格に必要な内申点や、どのような高校とよく比較されるのかを知ることで、より具体的な目標設定ができます。
学科・コース別偏差値
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国際教養科: 66~67
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普通科: 66
これらの偏差値は、複数の情報源から見ても安定しており、高い学力が求められることが分かります。
難易度のイメージ
偏差値66という数字は、千葉県内の公立高校で言うと、市立千葉高校、船橋東高校、小金高校などが同じくらいのレベルの学校として挙げられます。これらの高校を目指す受験生たちと競い合うことになるため、しっかりとした準備が必要です。
合格を勝ち取るためには、内申点も非常に重要です。目安としては、5段階評価で「35~40」あたりが目標となります。実際に合格した先輩の中には、42や45といった非常に高い内申点を持っている人もいるようです。千葉県の公立高校入試では、調査書の評定が135点満点で評価されますが、稲毛高等学校の選抜では、それに加えて最大30点分の「その他の加点」項目があります。この加点項目では、特に英語検定などの資格が評価される傾向があります。これは、学校が単なる学力だけでなく、国際社会で活躍するための意欲や実績を重視していることの表れです。つまり、英検などの資格取得は、単なる「おまけ」ではなく、合格に向けた重要な戦略の一つとなり得るのです。
主な併願校
千葉県の公立高校が第一志望の場合、併願校は私立高校から選ぶのが一般的です。稲毛高等学校を受験する生徒が併願先として選ぶことが多いのは、以下のような高校です。
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八千代松陰高等学校
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日本大学習志野高等学校
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昭和学院秀英高等学校
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市川高等学校
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成田高等学校
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江戸川女子高等学校
これらの学校は、いずれも高いレベルの教育を提供しており、万が一の場合でも安心して進学できる選択肢として人気があります。
稲毛高等学校に設置されている学科・コース
稲毛高等学校には、それぞれ特色の異なる2つの学科が設置されています。自分の興味や将来の目標に合わせて、最適なコースを選ぶことが大切です。
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普通科
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どんなことを学ぶ場所か:3年次から文系・理系に分かれ、国公立大学や難関私立大学への進学を目指すための、質の高いバランスの取れたカリキュラムで学びます。
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どんな生徒におすすめか:特定の分野に絞らず、幅広い教養を身につけながら、大学進学に向けてじっくりと自分の進路を考えたい人におすすめです。
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国際教養科
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どんなことを学ぶ場所か:英語でのディベートやエッセイライティング、第二外国語(ドイツ語、フランス語、中国語)など、国際理解を深める専門的な授業が豊富です。
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どんな生徒におすすめか:将来、海外で活躍したい、語学力を徹底的に鍛えたいという強い意志を持つ人におすすめです。1学年1クラスという少人数環境で、同じ志を持つ仲間と深く学べます。
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特筆すべきは、国際教養科のために配置されているネイティブの先生や、CALL教室(語学学習支援システム)といった充実した設備が、普通科の生徒にも共有されている点です。英語の授業では、全学年で少人数習熟度別授業が実施されており、普通科の生徒でも非常に手厚い英語教育を受けることができます。つまり、稲毛高等学校では、学科を問わず学校全体がグローバルな雰囲気に満ちているのです。
稲毛高等学校の特色・校風
学校選びでは、偏差値だけでなく、学校全体の雰囲気や文化、つまり「校風」が自分に合うかどうかが非常に重要です。
校風を表現するキーワード
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真摯・明朗・高潔
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文武両道
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グローバル
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真面目で落ち着いた雰囲気
生徒たちのリアルな声
中学生の皆さんが本当に知りたい、日々の学校生活について、口コミなどを基に詳しく見ていきましょう。
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宿題の量は多い?少ない?
「多い」「課題に追われる」という声が圧倒的に多いです。特に、最近導入された年8回の定期考査は、常に勉強への意識を高く持つことが求められます。自主的に勉強するのが苦手な生徒にとっては、やらざるを得ない環境が学力向上につながるという肯定的な意見もありますが、自分のペースでじっくり探究したい生徒にとっては、負担に感じることもあるようです。
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校則は厳しい?緩やか?
「厳しい」と感じる生徒が多いようです。
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スマホ:高校生はマナーを守れば校内での使用は可能ですが、授業中の使用はもちろん禁止です。
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服装:制服の着こなしには細かな規定があります。スカート丈は膝丈から膝下20cm程度と定められており、セーターやカーディガンの色も黒・紺・白・グレーなどの単色無地と指定されています。
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頭髪:染髪やパーマは禁止です。化粧やピアスなどのアクセサリーも認められていません。
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生徒たちの雰囲気は?
「真面目な生徒が多い」というのが共通した意見です。しかし、ただ静かなだけでなく、「明るく話せる感じの子が多い」「ギャグ線が高くて面白い人が多い」といった声もあり、知的なユーモアにあふれた活気ある雰囲気のようです。
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アルバイトは可能?
原則として禁止されています。やむを得ない事情がある場合は、学校の許可を得て行う必要があります。
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制服の評判は?
男女ともにブレザータイプで、評判は良いようです。2023年度からは、性別に関わらずスラックスとスカート、ネクタイとリボンを自由に組み合わせることができるようになり、現代的な配慮がなされています。
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土曜授業はある?
年間行事予定には記載がなく、基本的には週5日制のようです。
稲毛高等学校の校風は、一見すると「厳しいルールの中で、ひたすら勉強する学校」と映るかもしれません。しかし、その背景には、「規律正しい環境の中で基礎を徹底的に固めることこそが、将来、社会で自律的に活躍するための本当の力になる」という教育哲学があると考えられます。この環境が自分を成長させてくれると感じるか、窮屈に感じるかは人それぞれ。自分に合うかどうかをしっかり見極めることが大切です。
稲毛高等学校の部活動・イベント
勉強だけでなく、高校生活を彩る部活動やイベントも稲毛高等学校の大きな魅力です。
部活動
運動部、文化部ともに約25の部があり、多くの生徒が熱心に活動しています。
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ヨット部
海に近いという立地を活かした、公立高校では非常に珍しい部活動です。全国大会の常連校であり、インターハイ出場など輝かしい実績を誇ります。中高合同で活動しており、先輩から後輩へと技術と精神が受け継がれる素晴らしい環境です。
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ダンスドリル部
ヨット部と並ぶ、全国トップレベルの実力を持つ部です。全国高等学校ダンスドリル選手権大会で優勝経験もあり、そのパフォーマンスは圧巻の一言。新入生歓迎会や文化祭など、学校行事でも中心的な存在として活躍しています。
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その他の注目部活動
文化部では、珍しい弦楽オーケストラ部があり、本格的な演奏活動を行っています。また、ESS(英語研究部)や放送部、華道部なども全国大会に出場経験があり、様々な分野で高いレベルの活動が行われています。
部活動全体を見ると、特にヨット部やダンスドリル部のように、全国レベルでの活躍を目指す「高みを目指す」活動が目立ちます。一方で、学校行事に対する熱量には少し温度差があるようで、体育祭などは比較的落ち着いた雰囲気だという声もあります。自分のエネルギーを注ぎたいと思える部活動を見つけることが、充実した学校生活を送る鍵となりそうです。
イベント
一年を通して、生徒たちの思い出に残る様々なイベントが開催されます。
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飛翔祭(文化祭)
6月に行われる、稲毛高校で最も盛り上がるイベントです。近年は中止されていましたが、一般公開が再開され、地域の人々も訪れる活気あるお祭りとなっています。オーケストラ部やダンスドリル部による圧巻のステージ発表のほか、演劇やお化け屋敷といったクラス企画など、生徒たちの創意工夫が詰まった出し物が満載です。
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体育祭
秋(10月または11月)に開催されます。全校生徒が一体となって競い合う一日ですが、口コミでは「文化祭に比べると落ち着いている」という意見も見られます。
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修学旅行・海外語学研修
高校2年生の10月には修学旅行が実施されます。さらに、稲毛高校の特色とも言えるのが海外語学研修です。国際教養科は全員、普通科は希望者がアメリカやカナダへ赴き、現地の文化や言語に直接触れる貴重な体験をします。
稲毛高等学校の進学実績
厳しい学習環境の先にあるのが、輝かしい大学進学実績です。稲毛高等学校の生徒たちが、3年間の努力を経てどのような進路に進んでいるのか、最新のデータを見てみましょう。
2025年 大学合格実績(抜粋)
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国公立大学:40名
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主な合格大学:京都大学(1)、一橋大学(2)、大阪大学(1)、東北大学(1)、北海道大学(2)、千葉大学(17)など、全国の難関大学に多数合格しています。
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難関私立大学
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早慶上理(早稲田・慶應義塾・上智・東京理科):合計91名
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早稲田大学 25名、慶應義塾大学 18名、上智大学 26名、東京理科大学 22名
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GMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政):合計324名
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明治大学 103名、立教大学 76名、法政大学 78名など、圧倒的な合格者数を誇ります。
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進学実績を支える取り組み
これらの素晴らしい実績は、生徒一人ひとりの努力はもちろん、学校の手厚いサポート体制によって支えられています。年8回の定期考査によるこまめな学力チェック、英語や数学での習熟度別少人数クラスによる個別最適化された指導、そして夏休みなどに行われる夏期講習などが、生徒たちの学力を着実に引き上げています。
特に注目すべきは、GMARCHや早慶上理といった難関私立大学への圧倒的な合格者数です。これは、稲毛高等学校の教育システムが、知識の定着と応用力を高いレベルで要求する私立大学の入試に、非常によく適合していることを示しています。難関私立大学を目指す受験生にとって、稲毛高等学校はまさに最適な環境と言えるでしょう。
稲毛高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、稲毛高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。
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ネイティブ講師が常駐する本格的なグローバル教育環境
複数のネイティブ講師によるチームティーチングや、第二外国語の授業、海外語学研修など、日常的に世界に触れられる環境が整っています。
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全国レベルで活躍できるユニークな部活動
全国でも珍しいヨット部や、全国優勝経験のあるダンスドリル部など、高いレベルで打ち込める部活動があり、文武両道を体現できます。
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トップ私立大学への圧倒的な進学実績
GMARCHや早慶上理といった難関私立大学に、毎年多くの合格者を輩出する、実績に裏打ちされた進学指導体制が強みです。
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未来を見据えた6年一貫教育への進化
2022年から中等教育学校を併設し、より長期的で体系的な教育プログラムへと進化しました。常に未来を見据え、教育改革に取り組む先進的な姿勢が魅力です。
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個々の力に合わせた、きめ細やかな習熟度別クラス編成
主要科目である英語と数学で少人数・習熟度別クラスを導入しており、一人ひとりの学力に合わせた丁寧な指導を受けることができます。
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ジェンダーに配慮した新しい制服選択制度
性別に関係なくスラックス・スカート、ネクタイ・リボンを自由に選べる制服制度は、生徒の多様性を尊重する学校の姿勢の表れです。
稲毛高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生の声をまとめることで、学校のリアルな姿が見えてきます。良い点と気になる点の両方を知って、総合的に判断しましょう。
良い点
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英語力が飛躍的に伸びる
「ネイティブの先生と話す機会が多く、英語の力が本当に伸びた」「英語の授業がとにかくすごい」といった、英語教育の質の高さを評価する声が多数あります。
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学習意欲の高い仲間と切磋琢磨できる
「真面目で勉強熱心な友達に囲まれて、自然と自分も頑張れる」「レベルの高い環境で刺激を受けられる」など、周囲の学友から良い影響を受けられる点を挙げる声が多いです。
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課題が多くても自己管理能力が身につく
「課題をこなすうちに、時間の使い方が上手くなった」「厳しい環境だからこそ、計画性が身についた」と、大変さを乗り越えた先に得られる成長を実感している生徒もいます。
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生徒は明るく面白い人が多い
勉強一辺倒ではなく、「知的で面白い人が多い」「話していて楽しい友達がたくさんできた」という声も多く、充実した人間関係を築けるようです。
気になる点
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課題や小テストが多く、自分のペースで勉強しにくい
最も多く聞かれるのが、「とにかく課題が多くて大変」「常に何かに追われている感じがする」という意見です。自分の興味をとことん探究する時間を確保するのが難しいと感じる生徒もいるようです。
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校則が厳しく、自由度が低いと感じる声も
服装や頭髪に関する規定が細かく、「もう少し自由だったら良いのに」と感じる生徒も少なくありません。
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学校行事は期待しすぎない方が良いという意見
「体育祭はあまり盛り上がらない」など、文化祭以外の学校行事については、少し物足りなさを感じるという声もあります。
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施設が少し古いという指摘がある
校舎の古さが気になるという意見も見られます。
これらの口コミから分かるのは、稲毛高等学校が「合う人」と「合わない人」がはっきりと分かれる学校だということです。学校が提供する厳しいけれど手厚い環境を、自分を成長させるための最高のステージだと捉えられる生徒にとっては、これ以上ない学校でしょう。一方で、より自由な環境で、自分のペースで物事を進めたい生徒にとっては、少し窮屈に感じてしまうかもしれません。
アクセス・通学
稲毛高等学校への通学方法です。
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所在地
千葉市美浜区高浜3-1-1
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最寄り駅からのアクセス
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JR総武線「稲毛駅」西口から、千葉海浜交通バス「海浜公園プール」行き、または「高浜車庫」行きに乗車し、「稲毛高校」バス停で下車、徒歩約1分。
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JR京葉線「稲毛海岸駅」南口から、千葉海浜交通バス「稲毛駅」行きに乗車し、「稲毛高校」バス停で下車、徒歩約1分。
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千葉市内を中心に、市外からも多くの生徒が通学しています。バスの本数や所要時間は時間帯によって変動するため、実際に通学する時間に合わせて一度ルートを確認してみることをお勧めします。
稲毛高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、稲毛高等学校を目指す皆さんへ応援メッセージを送ります。
稲毛高等学校は、「高い目標に向かって、仲間と切磋琢磨しながら努力し続けられる人」、そして「語学や国際交流に強い興味を持ち、世界を舞台に活躍したいという夢を持っている人」に特におすすめの学校です。もしあなたが、学校のルールや多くの課題を「自分を成長させてくれるための頼もしいレール」だと考えられるなら、この学校で過ごす3年間は、間違いなくあなたを大きく飛躍させてくれるでしょう。
受験勉強では、5教科の学力を高いレベルで完成させることはもちろんですが、ぜひ「英語検定」などの資格取得に力を入れてみてください。稲毛高等学校の入試では、そうした意欲や実績が評価される傾向があります。これは、合格への大きなアドバンテージになるはずです。大変な道のりだと思いますが、その先には素晴らしい学びと出会いが待っています。自分を信じて、頑張ってください!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。