立命館高等学校は、京都府内でもトップクラスの学力を誇りながら、生徒一人ひとりの自主性を尊重する「自由と清新」の校風が息づく、非常に魅力的な学校です。高校選びは、これからの3年間、そしてその先の未来を考える上でとても大切な一歩。難関大学への挑戦から、日本を代表する私立大学である立命館大学への進学まで、多様な未来を描けるこの学校が、あなたにとって最高の舞台となるかもしれません。
1905年の創立以来、1世紀以上の歴史を誇る立命館高等学校は、「平和と民主主義」を教学理念に掲げ、世界を舞台に活躍できる地球市民の育成を目指してきました。ただ偏差値が高いだけでなく、生徒が自ら考え、行動する力を育むことに重きを置いています。この記事では、そんな立命館高等学校の学びの特色から、気になる学校生活のリアルな姿まで、中学生と保護者の皆さんが本当に知りたい情報を、進学アドバイザーの視点から詳しく、そして分かりやすく解説していきます。
この情報が、皆さんの高校選びの羅針盤となり、自分にぴったりの学校を見つける手助けとなれば幸いです。さあ、一緒に立命館高等学校の扉を開けて、その魅力の核心に迫っていきましょう。きっと、あなたの心を動かす何かが見つかるはずです。
立命館高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。学校選びの第一歩は、正確な情報を把握することから始まります。
項目 | 内容 |
正式名称 | 立命館高等学校 |
公立/私立の別 | 私立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒617-8577 京都府長岡京市調子1丁目1-1 |
代表電話番号 | 075-323-7111 |
公式サイトURL | https://www.ritsumei.ac.jp/nkc/ |
立命館高等学校の偏差値・難易度・併願校
立命館高等学校は、京都府内でも屈指の難易度を誇る私立高校です。コースによって求められる学力レベルが異なるため、自分の目標に合ったコースの難易度をしっかり把握することが重要です。
最新の偏差値は以下の通りです。複数の模擬試験提供機関のデータを総合すると、おおよそ次のようになります。
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MSコース (文理特進):
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コアGJコース (文理総合 国際クラス):
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コアコース (文理総合):
これらの数値からも分かるように、非常に高い学力が求められます。しかし、立命館高等学校の入試がユニークなのは、筆記試験の点数だけで合否が決まるわけではないという点です。中学3年間の「内申点(調査書)」が非常に重視されます。実際に、2023年度入試の合格者の3年間の評定合計(135点満点)の平均は124.9点でした。これは、9教科の平均評定が5段階評価で「4.6」以上という、極めて高いレベルです。この事実は、中学1年生の最初の定期テストから、日々の授業態度、提出物に至るまで、継続的な努力が合格への鍵を握ることを示しています。一発逆転が難しいからこそ、早期からの準備が不可欠です。
同じくらいの偏差値の他の高校
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(私立)洛南高等学校、同志社高等学校
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(公立)堀川高等学校(探究学科群)、嵯峨野高等学校(京都こすもす科)、西京高等学校(エンタープライジング科)
主な併願校
立命館高等学校を受験する生徒は、学力レベルが非常に高いため、併願校の選択パターンも特徴的です。大きく分けて2つのパターンがあります。一つは、京都府のトップ公立高校である堀川高校、嵯峨野高校、西京高校などを第一志望とし、その併願校として立命館高等学校を選ぶパターン。もう一つは、立命館大学への内部進学や学校の特色に魅力を感じ、立命館高等学校を第一志望(専願)とするパターンです。
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公立併願校: 堀川高等学校、嵯峨野高等学校、西京高等学校、桃山高等学校(自然科学)など
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私立併願校: 同志社高等学校、洛南高等学校、大谷高等学校、関西大倉高等学校など
自分の学力や、高校卒業後の進路をどう考えているかによって、最適な併願戦略は変わってきます。
立命館高等学校に設置されている学科・コース
立命館高等学校の最大の特色の一つが、生徒一人ひとりの進路や興味に合わせて最適化された多彩なコース制度です。高校生活の質は、どのコースを選ぶかによって大きく変わると言っても過言ではありません。「どの立命館で学びたいか」を具体的にイメージしてみましょう。
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MSコース (Medical Science Course)
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どんなことを学ぶ?:医学部や歯学部、薬学部をはじめとする最難関国公立大学への現役合格を目指す、学内で最もハイレベルなコースです。授業は月曜から金曜まで毎日8限まであり、長期休暇中も特別授業が組まれるなど、学習量は圧倒的です。先取り学習で、高校2年生のうちに大学受験に必要な範囲を終えることを目標とします。
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どんな生徒におすすめ?:明確に高い目標を持ち、厳しい学習環境で自分を徹底的に鍛えたい、強い意志を持った生徒に最適です。
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SSコース (Super Science Course) & SSGクラス (Super Science Global Class)
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どんなことを学ぶ?:文部科学省から「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」の指定を受けており、世界レベルの理数教育が展開されます。大学や研究機関と連携した実験・実習、課題研究など、本物の科学に触れる機会が豊富です。特にSSGクラスは、海外の高校生と研究発表を行う「Japan Super Science Fair」の運営を担ったり、長期の海外科学研究ワークショップに参加したりと、よりグローバルな活動が中心となります。
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どんな生徒におすすめ?:科学や数学が大好きで、将来は研究者や技術者として世界で活躍したいと考えている探究心旺盛な生徒にぴったりです。
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GLコース (Global Learning Course)
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どんなことを学ぶ?:実践的な英語運用能力を徹底的に鍛えるコースです。国際問題について英語でディスカッションやプレゼンテーションを行ったり、模擬国連に参加したりと、生きた英語を使う場面が数多く用意されています。海外大学や国内大学の国際系学部への進学を視野に入れたカリキュラムが組まれています。
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どんな生徒におすすめ?:英語をとことん学びたい、国際的な舞台で自分の意見を発信できるようになりたい、という強い意欲を持つ生徒におすすめです。
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CEコース (Core Expression Course)
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どんなことを学ぶ?:人文科学・社会科学分野に特化したコースです。法律を学ぶ「スーパーLawプログラム」など、立命館大学と連携した専門的なプログラムを通じて、社会問題への関心を深め、論理的思考力や表現力を養います。課題研究や発表の機会も多く、自分の考えを深めて発信する力が身につきます。
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どんな生徒におすすめ?:文学、歴史、経済、法律などに興味があり、物事を深く考え、自分の言葉で表現する力を伸ばしたい生徒に向いています。
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コアコース (Core Course)
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どんなことを学ぶ?:立命館大学・立命館アジア太平洋大学(APU)への内部進学を主な目標とする、文理総合のコースです。約7割の生徒がこの制度を利用して進学します。大学受験に縛られない分、部活動や探究活動、自分の好きなことにとことん打ち込める時間的な余裕が生まれます。
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どんな生徒におすすめ?:質の高い教育を受けながら、高校生活では勉強だけでなく部活動や課外活動も思い切り楽しみたい、というバランスを重視する生徒に最適です。
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立命館高等学校の特色・校風
立命館高等学校の文化を最もよく表すキーワードは「自由と清新」「自主性」「文武両道」そして「グローバル」です。生徒一人ひとりを信頼し、その主体性に任せるという考え方が、学校全体の雰囲気に繋がっています。
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校風を一言で表すと:大学のように自由で、生徒の自主性が尊重される校風です。自分で目標を立てて行動できる生徒にとっては、これ以上ないほど成長できる環境と言えるでしょう。
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宿題の量:コースによって大きく異なります。MSコースやSSコースは、日々の課題やレポート、長期休暇中の課題も多く、かなりハードなようです。一方で、コアコースは比較的余裕があり、部活動や自分の興味がある活動に時間を使いやすいという声が多く聞かれます。
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校則(スマホ、服装など):校則は非常に緩やかです。
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スマホ:校内への持ち込みは自由です。ただし、授業中の使用は当然禁止されています。休み時間などに使用している生徒が多いようです。
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服装:高校には制服がありません。生徒は皆、思い思いの私服で登校しており、これが「自由」な校風を象徴しています。髪染めやピアスも、華美でなければある程度は許容されているようです。
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アルバイト:原則として禁止されています。ただし、家庭の事情など特別な理由がある場合は、許可を得て行っている生徒もいるようです。
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生徒たちの雰囲気:活発で、自分の意見をしっかり持った生徒が多い印象です。特にMSコースなどの上位コースでは、お互いに切磋琢磨し合う、非常に意識の高い雰囲気が形成されています。一方で、自由な校風は「諸刃の剣」でもあります。「自主性がないと、流されてしまいがち」という声も聞かれるため、自己管理能力が求められます。また、中学からの内部進学生と高校からの外部入学生との間に、入学当初は少し壁を感じるという意見も一部にあります。
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制服の評判:高校には制服がないため、制服に関する評判はありません。私服で通えることが、この学校を選ぶ大きな理由の一つになっている生徒も少なくありません。
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土曜授業:基本的に土曜日は休みで、授業はありません。ただし、MSコースの特別講座や、部活動の練習・試合などが土曜日に行われることはあります。
立命館高等学校の部活動・イベント
部活動
立命館高等学校では、学習だけでなくクラブ活動も非常に盛んで、高い入部率を誇ります。「文武両道」の精神が根付いており、全国レベルで活躍するクラブも多数存在します。
運動部、文化部合わせて43のクラブがあり、生徒たちは自分の興味に合わせて活動に打ち込んでいます。
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特に有名な強豪部活
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ラグビー部:京都府の大会で優勝するなど、輝かしい実績を誇る伝統の強豪です。
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陸上ホッケー部:男女ともに近畿大会で優勝するなど、全国でもトップレベルの実力を持っています。
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フェンシング部、ヨット部:これらのクラブも全国大会の常連で、私立ならではの特色ある強豪部活として知られています。
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その他、アメリカンフットボール部や水泳部なども活発に活動しています。
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文化部の充実度と珍しい部活動
文化部も多彩なラインナップが揃っています。吹奏楽部やダンス部、演劇部といった人気のクラブはもちろん、中高一貫のクラブとして「競技カルタ同好会」や、最先端の科学を探究する「サイエンス部」など、ユニークな活動も盛んです。内部進学制度を利用する生徒が多いため、3年生の夏以降も引退せずに活動を続ける生徒が多いのも特徴です。
イベント
生徒の自主性を重んじる立命館高等学校では、学校行事も生徒が主体となって創り上げるものが多く、非常に盛り上がります。
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文化祭・体育祭(9月・10月):高校生活のハイライトとも言える二大イベントです。文化祭ではクラスやクラブごとに趣向を凝らした展示や発表が行われ、体育祭ではクラス対抗で熱い戦いが繰り広げられます。
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芸術祭(6月):音楽や演劇、美術など、文化部の生徒たちが日頃の活動の成果を発表する晴れの舞台です。
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修学旅行(高校2年・3月):立命館高等学校の修学旅行は、他校にはない非常にユニークな伝統があります。それは、行き先や内容を生徒たち自身が企画・運営するという点です。この「生徒が創る修学旅行」は30年近く続く伝統で、この行事を体験したくて入学を志す生徒もいるほど、学校の自主性を象徴する一大イベントとなっています。
立命館高等学校の進学実績
立命館高等学校の進路は、大きく二つの柱で成り立っています。一つは、系列校である立命館大学・立命館アジア太平洋大学(APU)への内部進学。もう一つは、医学部をはじめとする最難関国公立・私立大学への挑戦です。どちらの道を選んでも、手厚いサポート体制が整っています。
2025年度の大学合格実績(判明分)は以下の通りです。
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立命館大学・APUへの進学
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立命館大学:280名
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立命館アジア太平洋大学(APU):3名
(多くの生徒が、受験のプレッシャーなく、希望の学部へ進学しています。)
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国公立大学
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京都大学:1名
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大阪大学:6名
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神戸大学:7名
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一橋大学:1名
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大阪公立大学:5名
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など、国公立大学全体で20名以上が合格しています。
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難関私立大学
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同志社大学:24名
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関西大学:13名
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関西学院大学:5名
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早稲田大学:3名
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上智大学:3名
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など、関関同立をはじめとする難関私立大学にも多数の合格者を出しています。
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進学実績を支える取り組み
これらの高い進学実績は、充実した進路指導プログラムによって支えられています。特に、大学附属校ならではの「高大連携」は大きな強みです。生徒たちは、大学のキャンパスを訪れて実際の講義を受けたり、研究室での活動を体験する「ラボステイ」に参加したりすることができます。大学教授や若手研究者による講演会も頻繁に開催され、早い段階から学問への興味を深め、具体的な将来像を描く手助けとなっています。MSコースでは、難関大学受験に特化したカリキュラムと、年間を通じて行われる補習や講習で、生徒の現役合格を強力にバックアップします。
立命館高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、立命館高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。
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スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校としての高度な理数教育
国から指定を受けた、国内トップレベルの理数教育を受けることができます。大学や企業と連携した最先端の研究に触れる機会は、科学の道を目指す生徒にとって最高の環境です。
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世界とつながる多彩なグローバル教育
語学学習にとどまらず、海外の高校生との共同研究や国際的な科学フェアへの参加、模擬国連活動など、世界を舞台に実践的に学ぶプログラムが豊富に用意されています。
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大学の学びを先取りできる「高大連携」
附属校の強みを最大限に活かし、大学の講義を聴講したり、研究室での活動を体験したりできます。将来の専門分野を高校生のうちから深く知ることができるのは、他校にはない大きなアドバンテージです。
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「自由と清新」を体現する生徒主体の校風
制服がなく、校則も緩やか。学校が生徒を信頼し、その自主性に任せる文化が根付いています。自分で考えて行動する力が自然と身につきます。
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二つのゴールを目指せる「デュアルパスウェイ(二重の進路)制度」
「立命館大学への内部進学」という安心できる道と、「最難関大学への挑戦」という厳しい道の両方が用意されており、生徒一人ひとりの多様な夢に対応できる柔軟な構造を持っています。
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生徒が創り上げる伝統の修学旅行
行き先から内容まで、すべて生徒たちの手で企画・運営される修学旅行は、まさに「探究学習」の実践の場。学校生活で最も思い出に残る行事の一つとして、多くの卒業生の心に刻まれています。
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充実した学習環境と美しいキャンパス
広々としたグラウンドや最新のICT設備が整った学習棟など、生徒が学習にも部活動にも打ち込める環境が整備されています。清潔で美しいキャンパスも、日々の学校生活の満足度を高めています。
立命館高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生から寄せられる声には、この学校の魅力と、入学前に知っておきたい注意点の両方が含まれています。公平な視点でご紹介します。
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良い点(ポジティブな口コミ)
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「自由な校風が最高。自分でやりたいことを見つけて、とことん打ち込める環境がある」
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「制服がないので、自分らしいスタイルで学校生活を送れるのが嬉しい」
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「MSコースは周りのレベルが高く、毎日刺激的。先生たちのサポートも手厚い」
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「立命館大学に進学できる安心感があるので、受験勉強に追われず部活や趣味に集中できた」
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「施設がとても綺麗で広い。大学のキャンパスみたいで毎日通うのが楽しい」
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「先生方は個性豊かで面白い人が多く、質問にも丁寧に対応してくれる」
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気になる点(ネガティブな口コミ・注意点)
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「自由な分、自己管理ができないとすぐに落ちこぼれてしまう。自主性が本当に試される」
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「中学からの内部生と高校からの外部生との間に、最初は少し雰囲気の違いを感じることがあった」
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「コースによって全く雰囲気が違う。コアコースのつもりで入ったら、MSコースの課題の多さに驚くかも」
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「先生方は基本的に『見守る』スタンスなので、手取り足取り教えてほしいタイプの人には合わないかもしれない」
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「駅から少し歩くのが、雨の日などは少し大変」
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アクセス・通学
立命館高等学校は、京都と大阪の中間に位置し、交通の便が非常に良い場所にあります。この立地から、幅広いエリアから生徒が通学しています。
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最寄り駅からのアクセス
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阪急京都線 「西山天王山」駅 東口から 徒歩約8分
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JR京都線(東海道本線) 「長岡京」駅 西口から 徒歩約15分
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主な通学エリア
JRと阪急の2路線が利用できるため、京都市内や京都府南部はもちろん、高槻市や茨木市といった大阪府北部、さらには滋賀県から通学している生徒も少なくありません。様々な地域から生徒が集まることで、多様な価値観が交わる豊かな学校文化が生まれています。
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通学時の注意点
学校は閑静な住宅街にあるため、近隣住民への配慮から、自家用車での送迎は固く禁止されています。公共交通機関を利用し、駅から歩いて通学するのがルールです。
立命館高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、立命館高等学校を目指す君たちにエールを送ります。
立命館高等学校は、「自由な環境で、自分の目標に向かって主体的に努力できる人」にとって、最高の学び舎となるでしょう。将来、立命館大学に進みたいという夢も、日本トップレベルの大学や医学部に挑戦したいという高い志も、この学校にはその両方を実現させる道が用意されています。君が本気なら、学校は全力で応えてくれます。
立命館高等学校への挑戦は、もう始まっています。合格を勝ち取るために最も大切なのは、中学3年間の「内申点」です。1年生の時から、毎回の授業、一つひとつのテストを大切にしてください。その積み重ねが、大きな力になります。そして何より、この学校の「自由」を使いこなせるかどうか、自分自身に問いかけてみてください。ルールで縛られるよりも、自分で考えて行動するのが好きな君なら、きっとこの学校で大きく羽ばたけるはずです。ぜひ一度、学校説明会や文化祭に足を運んで、その空気を肌で感じてみてください。君の挑戦を心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。