佐賀県立致遠館高等学校への進学を考えている中学生と保護者の皆さん、こんにちは。数ある高校の中から、自分にぴったりの一校を見つけるのは、期待と不安が入り混じる大切な時間ですよね。このページでは、佐賀県内でもトップクラスの進学校として知られる致遠館高等学校が、どのような学びの場で、どんな魅力を持っているのかを、進学アドバイザーの視点から分かりやすく、そして深く掘り下げてご紹介します。
この学校の名前である「致遠館」には、「遠くに致す学び舎」つまり、「10年後、20年後の遠い未来の自分や社会に思いを馳せ、高い志を立てて努力し、成し遂げる場所」という、とても素敵な意味が込められています。単に大学に入るための3年間ではなく、その先の長い人生を見据えた人間教育を目指す、という学校の強い意志が表れています。
偏差値や進学実績といった数字だけでは分からない、学校の本当の姿。生徒たちの活気ある日常、先生方の熱心なサポート、そして仲間たちと切磋琢磨しながら成長できる環境。この記事を読み終える頃には、「致遠館高等学校で、自分はどんな未来を築いていけるだろう?」と、具体的な高校生活をイメージできるようになっているはずです。さあ、一緒にその扉を開けてみましょう。
致遠館高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。学校選びの第一歩は、正確な情報を知ることから始まります。
項目 | 内容 |
正式名称 | 佐賀県立致遠館高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒849-0919 佐賀県佐賀市兵庫北四丁目1番1号 |
代表電話番号 | 0952-33-0401 |
公式サイトのURL | https://www.education.saga.jp/hp/chienkankoukou/ |
致遠館高等学校の偏差値・難易度・併願校
致遠館高等学校の学力レベルや、受験の難易度について具体的に見ていきましょう。
偏差値
致遠館高等学校には「理数科」と「普通科」の2つの学科があり、それぞれ偏差値が異なります。
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理数科:
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普通科:
これらの数値は、佐賀県内の公立高校の中でトップクラスに位置します。特に理数科の偏差値66は、県内でも屈指の高さです。普通科の偏差値64も非常に高く、両学科ともに合格するには高い学力が求められることが分かります。この偏差値の差は学科の専門性の違いによるもので、普通科が簡単に入れるというわけでは決してありません。致遠館高等学校全体が、非常に高いレベルの生徒たちが集まる学習環境であると理解しておきましょう。
難易度のイメージ
偏差値だけでは分かりにくい難易度を、他の高校との比較や内申点の観点から見てみましょう。
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同じくらいの偏差値の他の高校
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偏差値66の理数科は、唐津東高等学校(普通科)と同じレベルです。
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県内トップの佐賀西高等学校(普通科、偏差値71)に次ぐ難関校グループに位置づけられています。
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佐賀北高等学校(普通科、偏差値61)や武雄高等学校(普通科、偏差値61)と比べると、さらに高い学力が必要となります。
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合格に必要な内申点の目安
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具体的な基準は公表されていませんが、このレベルの高校に合格するためには、中学時代の成績が非常に重要です。通知表の9教科合計で、ほとんどの教科で最高の「5」がついていることが、安心して受験に臨むための一つの目安と言えるでしょう。日々の授業態度や提出物なども含め、高い評価を得ておくことが大切です。
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主な併願校
佐賀県の公立高校入試では、残念ながら他の公立高校を併願することはできません。そのため、致遠館高等学校を第一志望とする受験生の多くは、事前に私立高校の入試を受けて合格を確保してから、本番の公立入試に挑戦するのが一般的です。
主な併願先としては、以下の私立高校が挙げられます。
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龍谷高等学校
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佐賀清和高等学校
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東明館高等学校
これらの私立高校には、それぞれ特進コースなどが設置されています。自分の学力や目標に合わせて、どの高校のどのコースを併願するのかをしっかり検討することが、受験戦略の重要なポイントになります。
致遠館高等学校に設置されている学科・コース
致遠館高等学校には、それぞれ特色のある2つの学科が設置されています。自分の興味や将来の目標に合わせて選びましょう。
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理数科
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どんなことを学ぶ場所か:数学と理科に重点を置いたカリキュラムで、実験や研究活動(課題研究)が豊富です。国の指定するSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の中核を担う学科です。
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どんな生徒におすすめか:将来、医学・薬学・工学などの理系分野に進みたい、探究心旺盛で科学の世界を深く学びたい生徒に最適です。
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普通科
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どんなことを学ぶ場所か:文系・理系どちらの進路にも対応できる、質の高い授業を展開します。普通科でもSSHの考え方に基づいた探究活動が行われ、論理的思考力が養われます。
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どんな生徒におすすめか:高いレベルの環境で学びながら、幅広い分野への進学の可能性を残しておきたい、知的好奇心が旺盛な生徒におすすめです。
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致遠館高等学校の特色・校風
学校選びでとても大切なのが、自分に合った「雰囲気」かどうか。致遠館高等学校の特色や校風を、キーワードや在校生の声を基に詳しく見ていきましょう。
学校のキーワード
文武両道、切磋琢磨、自主自律、けじめ
口コミから見るリアルな学校生活
中学生の皆さんが本当に知りたいであろう、日々の学校生活について、様々な口コミをまとめてみました。
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宿題の量は多いか少ないか?
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「多い」という声が圧倒的です。特に理数科の生徒からは、SSHの実験レポートなどが加わるため「課題の量がすごく多い」「夜遅くまで勉強することも多い」という意見が多数聞かれます。
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これは学校側が「塾に行かなくても大学進学に必要な学力が身につくように」という方針を掲げているためで、計画的に学習を進める自己管理能力が求められます。
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校則は厳しいか緩やかか?
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これについては「緩い」という声と「厳しい」という声の両方があり、興味深い点です。これは、学校が「自主自律」を重んじていることの表れかもしれません。
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普段から真面目に学校生活を送っている生徒にとっては自由度が高いと感じられ、一方でルールを破りがちな生徒には厳しく指導が入る、という傾向があるようです。スマホの扱いなども、基本的にはマナーを守ることが前提とされています。
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生徒たちの雰囲気は?
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「真面目な生徒が多い」というのは共通した意見ですが、「勉強しかしていない集団だと思われがちだけど、そうでもない」という声もあります。
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授業中は真剣に、休み時間は友達と楽しく話す、という「けじめ」がしっかりしているようです。周りのレベルが高いため、自然と「自分も頑張ろう」という気持ちになれる「切磋琢磨」できる環境です。分からないところを教え合う文化も根付いています。
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アルバイトは可能か?
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口コミではほとんど言及されていませんが、これだけ学習量が多い進学校ですので、原則として禁止されているか、許可を得るには特別な事情が必要だと考えられます。学業に専念することが基本となります。
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制服の評判はどうか?
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特に女子の冬服は「県立で一番かわいい」と言われるほど評判が良いようです。ブレザータイプの制服です。
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ただし、卒業生からは「制服に騙されて入ってはいけない」という、見た目だけで学校を選んではいけないという的確なアドバイスも見られます。
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土曜授業はあるか?
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口コミや公式サイトの情報からは、毎週土曜授業があるという記述は見当たりませんでした。ただし、模試や特別な講座などが土曜日に行われる可能性はあります。
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致遠館高等学校の部活動・イベント
勉強だけでなく、高校生活を彩る部活動やイベントも致遠館の大きな魅力です。
部活動
致遠館高等学校は「文武両道」を掲げており、運動部・文化部ともに非常に充実しています。多くの生徒が部活動に加入し、勉強と両立しながら熱心に活動しています。
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全体の様子
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運動部、文化部ともに数多くの選択肢があり、生徒一人ひとりの興味に応える環境が整っています。中高合同で活動する部もあり、先輩後輩の繋がりが強いのも特徴です。
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特に有名な部活動・珍しい部活動
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テニス部、放送部:これらの部は全国大会に出場するなどの実績があり、強豪として知られています。
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総合文化部(吟詠剣詩舞):漢詩や和歌を詠う「吟詠」に合わせて、剣や扇を持って舞う日本の伝統芸能に取り組む、佐賀県内で唯一の非常に珍しい部活動です。設立から数年で全国総文祭に出場するなど、目覚ましい活躍を見せています。科学技術の最先端を学ぶSSHと、日本の伝統文化を継承する部活動が共存している点は、致遠館の教育の幅広さを示しています。
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ボランティア部:地域のイベント(佐賀さくらマラソン、佐賀インターナショナルバルーンフェスタなど)に積極的に参加したり、校内の花壇を整備したりと、地域貢献活動に熱心に取り組んでいます。
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イベント
致遠館の学校行事は、中高合同で行われるものが多く、学校全体の一体感が生まれます。
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致遠館祭(文化祭・体育祭)
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例年9月上旬に2日間にわたって開催される、学校最大のイベントです。1日目が文化祭、2日目が体育祭という構成で、中学生と高校生が一緒になって盛り上がります。書道部と音楽部によるオープニングセレモEニーで華やかに幕を開け、生徒たちのエネルギーが爆発します。
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芸術鑑賞会
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毎年10月中旬頃、全校生徒で佐賀市文化会館へ行き、演劇やクラシックコンサート、伝統芸能などを鑑賞します。本物の芸術に触れる貴重な機会となっています。
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修学旅行
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高校2年生の冬に実施されることが多いようです。過去には首都圏や新潟でのスキー研修などが行われました。仲間との絆を深める、高校生活最高の思い出の一つです。
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致遠館高等学校の進学実績
致遠館高等学校の最大の強みの一つが、その高い大学進学実績です。生徒たちの努力と、学校の手厚いサポート体制が見事に結実しています。
最新の大学進学実績(一例)
具体的な合格者数は年度によって変動しますが、過去の実績を見ると、非常に多くの生徒が難関大学への進学を果たしています。
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国公立大学
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九州大学には毎年多数の合格者を輩出しており、県内有数の実績を誇ります。
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地元の佐賀大学(医学部医学科を含む)にも多くの生徒が進学しています。
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その他、東京大学、京都大学、大阪大学といった旧帝大や、東北大学、名古屋大学、長崎大学、熊本大学など、全国の主要な国公立大学に合格者を出しています。
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難関私立大学
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早稲田大学、慶應義塾大学といった最難関私立大学や、GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)、関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)といった有名私立大学群にも、安定して合格者を送り出しています。
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九州の難関私立である西南学院大学や福岡大学にも、多くの生徒が進学しています。
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進学実績を支える取り組み
この輝かしい実績は、単に生徒の頑張りだけでなく、学校独自の「致遠館システム」とも言える手厚いサポート体制によって支えられています。
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質の高い授業と豊富な課題:「塾いらず」を目指す方針の下、日々の授業で大学入試に対応できる学力を養成します。その分、課題は多くなりますが、着実にこなすことで力がつきます。
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手厚い個別サポート:職員室前には質問用の長机が設置されており、休み時間や放課後には、先生にいつでも質問できる環境が整っています。分かるまで一対一で丁寧に指導してくれると評判です。
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充実した進路指導:夏休み中の学習会や、大学と連携したセミナー、学部学科研究、小論文指導など、早い段階から進路意識を高めるためのプログラムが充実しています。
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SSHでの探究活動:特に理数科の生徒は、SSHでの課題研究を通して、大学での学びに繋がる高度な探究力、論理的思考力、プレゼンテーション能力を身につけます。
致遠館高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、致遠館ならではの強みやユニークな取り組みを7つのポイントにまとめました。
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国指定SSHによる、未来を切り拓く探究学習
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学校の最大のブランドであるスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の活動を通して、答えのない問いに挑戦する本物の探究力を養います。これは理数科だけでなく、普通科の生徒も体験できる大きな魅力です。
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「致遠」の名に込められた、長期的な人間教育
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目先の受験だけでなく、生徒の10年後、20年後を見据えた教育を実践しています。校名に込められた哲学が、学校全体の文化として根付いています。
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高いレベルで切磋琢磨できる、刺激的な学習環境
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意識の高い仲間たちに囲まれることで、自然と学習意欲が高まります。互いに教え合い、高め合う文化が、生徒一人ひとりの学力を最大限に引き出します。
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塾いらずを目指す、手厚い教師のサポート体制
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熱心な先生方が多く、いつでも質問に行けるオープンな雰囲気があります。学校の授業と課題にしっかり取り組めば、塾に通わなくても難関大学を目指せるだけの力がつくよう設計されています。
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中高一貫校ならではの、豊かなコミュニティ
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中学生と高校生が同じキャンパスで学び、学校行事も合同で行うため、異年齢間の交流が活発です。後輩を思いやり、先輩を敬う、豊かな人間関係が育まれます。
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伝統と革新が共存する、多彩な部活動
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最先端の科学を学ぶSSH活動と並行して、県内唯一の「吟詠剣詩舞部」のような伝統文化を重んじる部活動も盛んです。多様な価値観に触れることができます。
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佐賀駅から徒歩圏内の、恵まれた学習環境
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JR佐賀駅から歩いて通えるというアクセスの良さは、大きなメリットです。佐賀市内に限らず、県内の広い地域から生徒が集まり、多様なバックグラウンドを持つ仲間と出会えます。
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致遠館高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生の「生の声」は、学校選びの貴重な情報源です。良い点、気になる点を公平に見てみましょう。
良い点
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「先生のサポートが本当に手厚い。分かるまで付き合ってくれる」
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「周りの友達のレベルが高いので、自分も頑張らないと、という気持ちになる」
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「授業と休み時間のメリハリがしっかりしていて、集中できる環境」
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「部活動も学校行事も本気で取り組むので、勉強一辺倒ではなく充実した高校生活が送れる」
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「女子の制服が可愛いと評判で、モチベーションが上がる」
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「佐賀駅に近くて通いやすい。学校帰りに買い物などもできる」
気になる点
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「とにかく課題が多い。特に理数科はSSHのレポートが大変で、自分の時間がなかなか取れない」
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「のんびりした『憧れの高校生活』を送りたい人には向いていないかもしれない」
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「先生方の中には、考え方が少し厳しいと感じる人もいる」
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「中学からの内部進学生と、高校からの外部進学生との間で、入学当初は少し壁を感じることがある(時間とともになじむことが多いようです)」
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「グラウンドが少し狭いと感じる」
これらの口コミから浮かび上がるのは、「高いレベルの教育を受けるためには、相応の努力と覚悟が求められる」という事実です。手厚いサポートという最大のメリットは、大量の課題という大変さと表裏一体です。この環境を「自分を成長させてくれる最高の場所」と捉えられるかどうかが、致遠館で充実した3年間を送るための鍵となりそうです。
アクセス・通学
致遠館高等学校は、佐賀県の中心地にあり、非常に交通の便が良い場所に立地しています。
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最寄り駅からのアクセス
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JR「佐賀駅」北口から徒歩で約15分~20分です。多くの生徒が駅から歩いて通学しています。
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JR「鍋島駅」からは徒歩で約55分かかります。
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バスでのアクセス
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佐賀駅バスセンター2番のりばから、佐賀市営バス「二俣・金立公民館線」に乗車し、「致遠館前」バス停で下車(乗車時間約8分)。バス停からはすぐです。
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「佐賀北警察署前」バス停からも徒歩2~3分と非常に近いです。
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通学エリア
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JR佐賀駅が最寄りという利便性の高さから、佐賀市内だけでなく、鳥栖市や唐津市など、JR長崎本線や唐津線の沿線をはじめ、佐賀県内全域から生徒が通学していると考えられます。多様な地域から生徒が集まることも、学校の魅力の一つです。
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致遠館高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
最後に、致遠館高等学校を目指すあなたへ、アドバイザーとして応援メッセージを送ります。
致遠館高等学校は、「将来、大きな目標を成し遂げたい」「高いレベルの環境で自分を試したい」と考える、知的好奇心と向上心にあふれた生徒に特におすすめの学校です。受け身で授業を聞くだけでなく、自ら「なぜだろう?」と考え、探究していく面白さを知っている人なら、きっと最高の3年間を送れるでしょう。この学校が求めているのは、単にテストの点数が良い生徒ではなく、困難な課題にも粘り強く挑戦し、仲間と協力しながら成長していける、しなやかな強さを持った人材です。
受験勉強においては、苦手科目を作らないことが何よりも大切です。佐賀県の公立高校入試は、思考力や読解力を問う問題が増えています。日々の学習から「なぜそうなるのか」を常に意識し、基礎を完璧に固めた上で、応用問題にチャレンジする習慣をつけましょう。致遠館高等学校への道は決して平坦ではありませんが、その先には、あなたの可能性を大きく広げてくれる素晴らしい学びと出会いが待っています。夢に向かって、一歩一歩、着実に努力を続けてください。心から応援しています!