関西学院高等部は、兵庫県西宮市に広大なキャンパスを構える、キリスト教主義に基づいた教育で知られる私立高校です。大学受験に縛られず、のびのびとした3年間を過ごしながら、自分の興味や関心を深く探究したいと考えている中学生にとって、非常に魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。

この学校の最大の特長は、なんといっても関西学院大学への推薦入学制度が整っていることです。これにより、生徒は目先の受験勉強だけに追われることなく、部活動や課外活動、ボランティア、そして独自の探究型授業などに存分に打ち込むことができます。関西学院高等部が育むのは、まさに「奉仕のための練達」というスクールモットーを体現できる、豊かな人間性と幅広い教養を身につけた人物です。

この記事では、そんな関西学院高等部の偏差値や校風、部活動、進学実績といった気になる情報を、進学アドバイザーの視点から分かりやすく解説していきます。あなたの高校選びの参考に、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

関西学院高等部の基本情報

関西学院高等部の基本的な情報を表にまとめました。

項目 内容
正式名称 関西学院高等部
公立/私立 私立
共学/男子校/女子校 男女共学
所在地 〒662-8501 兵庫県西宮市上ケ原一番町1-155
代表電話番号 0798-51-0975
公式サイト https://www.kwansei.ac.jp/hs/

関西学院高等部の偏差値・難易度・併願校

関西学院高等部は、兵庫県内でもトップクラスの難易度を誇る私立高校です。大学までの一貫教育を視野に入れ、高いレベルの教育を求める生徒が集まります。

  • 偏差値:

    • 普通科:65 程度

関西学院高等部の難易度を具体的にイメージするために補足すると、同じ兵庫県内の私立高校では須磨学園高校(Ⅲ類理数・Ⅲ類英数)、神戸龍谷高校(GS)、公立高校では神戸高校、市立西宮高校(GS科)などが近いレベルとして挙げられます。合格には、中学校の成績が主要5教科でオール5に近いレベルが求められることが多いようです。

主な併願校としては、同じく難関私立である洛南高校、西大和学園高校、須磨学園高校や、地域の公立トップ校である神戸高校、兵庫高校、長田高校などを受験する生徒が多い傾向があります。

関西学院高等部に設置されている学科・コース

関西学院高等部では、大学進学を前提とした質の高い普通科教育が行われています。

  • 普通科

    • 1年生では文系・理系の区別なく、幅広い基礎学力を徹底的に固めます。2年生から文系・理系のコースに分かれ、それぞれの興味や進路希望に応じた専門的な学習を深めていきます。大学受験がない分、探究型の授業や多彩な選択科目が用意されており、自分の「好き」をとことん追求できる環境が整っています。

関西学院高等部の特色・校風

関西学院高等部の校風は「自由と自治」という言葉に象徴されます。キリスト教の教えを土台としながらも、生徒一人ひとりの自主性を最大限に尊重する文化が根付いています。

  • 校風キーワード: 自由闊達、自主自律、文武両道、グローバル、キリスト教主義

  • 宿題の量: 「大学受験がないから楽」というイメージを持たれがちですが、日々の授業のレベルは高く、レポートや課題は少なくないようです。特に、3年間の集大成として取り組む「読書科」の卒業論文は、計画的な準備が求められます。

  • 校則: 校則は比較的緩やかで、生徒の自主性に任されている部分が多いです。式典などを除けば私服での通学も認められており、髪型や持ち物に関する厳しい規定は少ないようです。スマホの校内での使用も、マナーを守ることを前提に許可されています。

  • 生徒たちの雰囲気: 穏やかで真面目な生徒が多い一方で、部活動や行事には全力で取り組む活発な一面も持ち合わせています。内部進学という共通の目標があるためか、生徒同士の仲が良く、一体感のある雰囲気が特徴です。

  • アルバイト: 原則として禁止されています。

  • 制服: 制服はありますが、普段は私服通学が認められているため、着用機会は式典などに限られます。上品で伝統的なデザインは、生徒や保護者からの評判も良いようです。

  • 土曜授業: 基本的に土曜日は休日ですが、行事などで授業が行われることもあります。

関西学院高等部の部活動・イベント

部活動

関西学院高等部は、学業だけでなく部活動も非常に盛んで、全国レベルで活躍するクラブが多数存在します。

  • アメリカンフットボール部: 全国高校選手権での優勝回数は歴代最多を誇り、高校アメフト界を牽引する名門中の名門です。大学との連携も強く、高いレベルで競技に打ち込めます。

  • ラグビー部: こちらも全国大会常連の強豪として知られています。伝統的にフィジカルの強さと組織的なプレーに定評があります。

  • サッカー部: 県内でも常に上位に位置する実力校です。人工芝のグラウンドなど、練習環境も充実しています。

  • 吹奏楽部: コンクールで常に好成績を収めている実力派です。文化祭などでの演奏は、多くの観客を魅了します。

  • グリークラブ(合唱部): 美しいハーモニーで知られ、各種コンクールで高い評価を得ています。

運動部、文化部ともに種類が豊富で、多くの生徒が部活動に加入し、文武両道を実践しています。

イベント

生徒が主体となって作り上げる行事は、どれも大きな盛り上がりを見せます。

  • 文化祭(新月祭): 毎年秋に開催される高等部最大のイベントです。クラスごとの展示やステージ発表、模擬店など、企画から運営まで生徒たちの手で行われ、キャンパスは熱気に包まれます。

  • 体育祭: クラス対抗で様々な競技に挑みます。学年を超えた応援合戦も名物で、生徒たちの一体感が生まれます。

  • 修学旅行: 近年では、北海道や沖縄などを訪れることが多いようです。平和学習や自然体験など、学びの多いプログラムが組まれています。

  • クリスマス行事: キリスト教主義の学校ならではのイベントです。礼拝やページェント(降誕劇)、クリスマスツリーの点灯式などが行われ、厳かで心温まる時間を過ごします。

関西学院高等部の進学実績

関西学院高等部の卒業生の進路は、そのほとんどが関西学院大学への推薦入学です。

2023年度の卒業生383名のうち361名が関西学院大学へ進学しており、内部進学率は約94%に達します。希望する学部へ進学するためには、3年間の学業成績が重要になります。

関西学院大学への推薦権を保持したまま、他の大学を受験することはできません。しかし、関西学院大学にない医学部などを目指す生徒や、より高いレベルの大学に挑戦したい生徒は、推薦を辞退して外部受験に臨みます。

  • 主な他大学合格実績(現役生のみ):

    • 国公立大学:大阪大学、神戸大学、滋賀大学など

    • 難関私立大学:国際基督教大学(ICU)、同志社大学、関西大学、兵庫医科大学、神戸薬科大学など

大学受験を主な目的とはしていませんが、外部受験を選択した生徒に対しても、進路指導などを通じてサポートが行われます。

関西学院高等部の特長・アピールポイント

他の高校にはない、関西学院高等部ならではの魅力をまとめました。

  • 関西学院大学への高い内部進学率: 大学受験を気にせず、3年間を自分の興味関心の探究や部活動、課外活動に集中できる最大のメリットです。

  • キリスト教主義に基づく人間教育: 毎日の礼拝や聖書の授業、人権講座などを通じて、他者への奉仕の精神や豊かな人間性を育みます。

  • 伝統の探究型授業「読書科」: 40年以上の歴史を持つ独自の科目で、3年間かけて自らテーマを設定し、調査・研究を進め、卒業論文としてまとめ上げます。論理的思考力や表現力が養われます。

  • 自由と自治を重んじる校風: 生徒の自主性を尊重する自由な雰囲気の中で、自らを律し、責任ある行動をとる力が身につきます。

  • 充実したグローバルプログラム: 海外の協定校との交流や研修プログラムが豊富に用意されており、国際感覚を磨く機会に恵まれています。

  • 大学と連携した高度な学び: 関西学院大学の授業を先行して履修できる高大連携プログラムがあり、向学心旺盛な生徒の知的好奇心に応えます。

  • 美しいキャンパスと充実した施設: 緑豊かな広大な敷地に、歴史ある校舎やチャペル、最新の設備を備えた図書館、人工芝グラウンドなどが点在し、理想的な学習環境が整っています。

関西学院高等部の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生から寄せられる声を、良い点と気になる点に分けてご紹介します。

  • 良い点:

    • 「大学受験がないので、自分の好きなことに打ち込める3年間を過ごせた」という声が圧倒的に多いです。

    • 「校則が緩く自由な雰囲気で、まるで大学のよう。生徒の自主性が尊重されている」

    • 「先生方が親身で、勉強だけでなく進路や学校生活の相談にも丁寧に乗ってくれる」

    • 「施設がとても綺麗で充実している。特に図書館は蔵書も多く、学習スペースも快適」

    • 「行事が生徒主体で非常に盛り上がり、一生の思い出になる」

    • 「穏やかで育ちの良い友人に恵まれた。いじめなどの話はほとんど聞かない」

  • 気になる点:

    • 「内部進学が前提のため、外部の難関大学を目指す生徒へのサポートは手厚いとは言えない」という意見があります。

    • 「自由な校風が合わないと、流されてしまい勉強が疎かになる可能性がある。強い自主性が求められる」

    • 「最寄り駅から坂道を15分以上歩く必要があり、アクセスが良いとは言えない」

    • 「私立なので、やはり学費は高め」

    • 「授業の質が先生によって差があるように感じる」という声も一部で見られます。

アクセス・通学

関西学院高等部へのアクセス方法は以下の通りです。

  • 阪急今津線「甲東園」駅下車、徒歩約15分、またはバスで約5分「関西学院前」下車

  • 阪急今津線「仁川」駅下車、徒歩約15分

  • JR神戸線「西宮」駅下車、バスで約15分

通学エリアは幅広く、所在地の西宮市をはじめ、芦屋市、神戸市、宝塚市などの阪神間の生徒が多いですが、大阪府から通学している生徒も少なくありません。

関西学院高等部受験生へのワンポイントアドバイス

関西学院高等部は、単に学力が高いだけでなく、「高校3年間で何をしたいか」という目的意識をしっかりと持っている生徒にこそ輝ける場所です。もしあなたが、大学受験という枠にとらわれず、知的好奇心のおもむくままに学びを深めたい、あるいは全国レベルの部活動に本気で挑戦したい、そんな熱い思いを持っているなら、関西学院高等部は最高の環境を提供してくれるでしょう。

受験勉強においては、英語、数学、国語の3教科で高い基礎学力が求められます。特に英語は配点が高い傾向にあるため、リスニングを含めてしっかりと対策しておくことが合格への鍵となります。関西学院高等部を目指すのであれば、日々の授業を大切にし、苦手分野を作らないように計画的に学習を進めてください。あなたの挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。